反復測定データの分析などでは、多変量検定を一変量型に置き換えても、正確な検定が実行できる場合があります(Huynh and Feldt 1970)。多変量なのに一変量検定が妥当であるのは、次の条件を満たす場合です。
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M行列における各変換の係数が合計してゼロになっていること。
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球面性の条件が満たされていること。球面性の条件とは、M行列で変換した後の応答に相関がなく、かつ、応答の分散が等しいことを指します。つまり、M'ΣM(Σは、Y変数の分散共分散行列)が、単位行列に定数を掛けた行列になることが条件です。
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上のような条件が成立している場合、E行列とH行列の対角要素を合計したものが、一変量のF検定における分子平方和および分母平方和として使われます。条件が成立していない場合は、エラーメッセージが表示されます。「Golf Balls.jmp」の分析では、単位行列をM行列として指定しました。単位行列は、列合計をゼロにした後、直交正規化すると、フルランクではなくなります。そのため、一変量検定は行われません。
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[ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Dogs.jmp」を開きます。
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[分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。
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「手法」として[MANOVA]を選択します。
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[実行]をクリックします。
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[一変量検定も行う]チェックボックスをオンにします。
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[応答の選択]メニューで[反復測定]を選択します。
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「Y名」には「時間」と入力し、[一変量検定も行う]を選択します。
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[OK]をクリックします。
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図9.8 球面性の検定
球面性の検定では、Mauchlyの規準を使って、球面性の仮定が検定されます。球面性の仮定が成立している場合、個体内効果に対する一変量F検定は、調整を加えなくても正確な値になります(Anderson 1958)。なお、球面性の検定と一変量検定では、列の合計が0になるように中心化し、かつ、正規直交化したM行列が常に使用されます。球面性の検定は、次のように解釈します。
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真の共分散構造が球型である場合は、未調整の一変量F検定を使用できます。
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一変量検定のF統計量は、球面性が成り立っていなくてもF分布で近似できるように調整したものです。F分布で近似できるように、分子および分母の自由度をイプシロン(ε)によって調整しています。Box(1954)、Geisser and Greenhouse(1959)、Huynh-Feldt(1976)によって、εを使った自由度調整の方法が考案されています。Muller and Barton(1989)は、検出力を調べた結果、Greenhouse-Geisserによる方法を推奨しています。
JMPでは、ε調整を加えた検定が2つサポートされています。これらの結果は、「G-G」(Greenhouse-Geisser調整)および「H-F」(Huynh-Feldt調整)として表示され、「値」の列に、調整に使用したεの値が表示されます。