図11.14 各列に対する詳細レポート
正規分布に従う変数の「各列に対する詳細レポート」には、ヒストグラム、工程に関する要約の詳細、工程能力指数と不適合率の統計量が表示されます。ヒストグラムには、上側および下側の仕様限界、(指定されている場合は)工程の目標値、あてはめられた確率分布の密度曲線が表示されます。各列に対する詳細レポートのヒストグラムに見られる2本の正規分布密度曲線のうち、一方は標準偏差の全体推定値、他方は標準偏差の群内推定値に基づいています。
工程に正規分布をあてはめた場合は、「工程の要約」に工程の安定性を示す「安定指数」が含まれます。安定指数は、次のように定義されます。
図11.15 「工程 1」の詳細レポート
さらに、パラメトリックな非正規分布を選択した場合は「パラメータ推定値」、ノンパラメトリックな分布を選択した場合は「ノンパラメトリック密度」レポートが表示されます。第 “パラメータ推定値”および第 “ノンパラメトリック密度”を参照してください。
工程の分布を比較するコントロールパネルを表示します。第 “分布の比較”を参照してください。
正規分布・ベータ分布・指数分布・ガンマ分布・Johnson分布・対数正規分布・Weibull分布の各確率分布のパラメータと確率密度関数については、第 “非正規分布の工程能力指数: パーセント点法とZ-スコア法”に説明があります。これらの確率分布のパラメータ表現は、「一変量の分布」プラットフォームで使用されているものと同じです。ただし、「工程能力」プラットフォームの確率分布は、閾値パラメータをサポートしていません。『基本的な統計分析』の「一変量の分布」章を参照してください。
(分布として[ノンパラメトリック]を選択した場合に使用できます。)ノンパラメトリックな分布のあてはめに使用されるカーネルのバンド幅を調整するための「ノンパラメトリック密度スライダ」レポートを表示します。カーネルのバンド幅は、次の式で求められます。nは標本サイズ(観測値の個数)、Sはnで割って求めた標本標準偏差です。
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正規分布の確率プロットを表示した「分布の比較」は、「Process Measurements.jmp」サンプルデータの「工程 1」の「分布の比較」レポートです。対数正規分布が選択されており、正規分布と比較されています。「比較の詳細」レポートには、両確率分布の適合度統計量が表示されます。
確率プロットを表示するには、「分布の比較」の赤い三角ボタンのメニューから[確率プロット]を選択します。正規分布の確率プロットを表示した「分布の比較」の正規分布の確率プロットを見ると、点が線に沿って並んでいません。これは、適合度が悪いことを示します。
図11.16 正規分布の確率プロットを表示した「分布の比較」
各確率分布のAICc・BIC・(-2)*対数尤度の値が表示されます。『基本的な回帰モデル』の付録「統計的詳細」を参照してください。(ノンパラメトリックな確率分布では使用できません。)
あてはめたパラメトリックな確率分布それぞれの確率プロットの表示/非表示が切り替わります。正規分布の確率プロットを表示した「分布の比較」を参照してください。グラフの横軸は、観測されたデータ値です。グラフの縦軸の座標は、そのデータ値の順位に対応した、あてはめた確率分布の分位点です。正規分布の場合、全体シグマの推定値を使って正規分布が決められます。
データが選択されたパラメトリックな確率分布に従うと仮定したとき、真の確率関数が含まれる同時信頼水準を95%とする同時経験的信頼限界の表示/非表示を切り替えます。この同時経験的信頼限界は、すべての点において等しい推定精度を持ちます。この信頼限界から、選択したパラメトリックな確率分布がデータによくあてはまっているかどうかを判断できます。Nair(1984)とMeeker and Escobar(1998)を参照してください。
あてはめた確率分布の累積分布関数に対する信頼限界は、可能であれば、確率分布Fを位置-尺度分布族として扱って、つまり、F(y) = G(z)として扱って算出されます。ここで、z = (y - μ)/σです。そして、zに対する標準誤差を、デルタ法によって計算します。その後、その標準誤差を使い、zの信頼区間をWald法で計算します。累積分布関数Fに対する信頼限界は、そうして求められたzに対するWald法の信頼限界をGによって変換したものです。なお、場合によっては、端に近いところで適切な信頼限界を求めるには、特別な調整が必要なことがあります。