以下の例では、「Consumer Prices.jmp」サンプルデータを例に、グループ変数列の使い方とシフトグラフについて説明します。
消費者物価指数をまとめたこのデータテーブルには、17種類の商品に関する月次データが含まれています。期間は商品によって異なります。17種類の製品名は、「系列」という列に含まれています。この「系列」という列をグループ変数に指定すれば、製品別に集計できます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Consumer Prices.jmp」を開きます。
2. [分析]>[スクリーニング]>[工程のスクリーニング]を選択します。
3. 「価格」を選択し、[工程変数]をクリックします。
4. 「系列」を選択し、[グループ変数]をクリックします。
これで、「系列」の各水準が個別の工程として扱われるようになります。
5. 「日付」を選択し、[時間]をクリックします。
6. 「管理図の種類」として[XBar-R管理図]を指定します。
7. 「サブグループの標本サイズ」を「3」に設定します。
月次のデータなので、3という標本サイズは四半期に相当します。
8. [OK]をクリックします。
9. Altキーを押しながら「工程のスクリーニング」の赤い三角ボタンをクリックします。
メニューのオプションをすべて含んだウィンドウが開きます。このウィンドウは、複数のオプションを一度に選択したいときに便利です。
10. [最大の上昇シフト]、[最大の下降シフト]、[シフトグラフ]を選択します。
11. [OK]をクリックします。
「最大の上昇シフト」、「上昇シフト 日付」、「最大の下降シフト」、「下降シフト 日付」が要約表に加わります。これらのシフトは、1群内シグマを超えるシフトのうちで最大のものです。シフトの位置は、時間変数として指定された「日付」で表されています。シフトの大きさと位置を参照してください。
「シフトグラフ」も表示されます。「シフトグラフ」には、「シフトの閾値」(デフォルトは3)に群内シグマをかけた値を超えるシフトがすべてプロットされています。シフトグラフを参照してください。緑色は上昇シフト、赤色は下降シフトを示します。
要約表の「Gasoline, All」を見ると、「最大の上昇シフト」と「最大の下降シフト」の両方に数値があります。ただし、「最大の下降シフト」は1.8296となっており、3を下回っています。「シフトグラフ」には、群内シグマの3倍以上となっているシフトしか描かれないため、「Gasoline, All」の「最大の下降シフト」は「シフトグラフ」にはプロットされません。
また、「Tomatoes」は「シフトグラフ」に含まれていません。なぜなら、「Tomatoes」には、群内シグマの3倍以上のシフトが1つも検出されなかったからです。
12. 「シフトグラフ」の横軸をダブルクリックすると、「X軸の指定」ウィンドウが開きます。
13. 「目盛り/棒の間隔」パネルで、「補助目盛りの数」を「1」に設定します。
14. 「ラベルの階層」を「2」に設定します。
15. [OK]をクリックします。
図22.7 シフトグラフ
ほとんどの系列で上昇シフトが検出されていますが、「価格 Coffee」は上昇シフトと下降シフトを順番に繰り返しています。この系列について調べるため、管理図を作成してみましょう。
16. 「シフトグラフ」で「価格 Coffee」の右側にあるいずれかの点を選択し、[工程の選択]をクリックします。
これで、要約表でも「Coffee」の行が選択されます。
17. 要約テーブルで選択した工程を右クリックし、[選択した項目の管理図]を選択します。
図22.8 「Coffee」の管理図
管理図から、「シフトグラフ」で検出された上下のシフトがどうなっているかが分かります。
要約表を見ると、1994年9月で最大の上昇シフト(群内シグマの25.399倍)が検出されています。これは、図22.8の管理図で59の位置にあるサブグループです。さらに要約表からは、1981年3月に最大の下降シフト(群内シグマの9.1674倍)が生じていることがわかります。これは、管理図で5の位置にあるサブグループです。
なお、「工程のスクリーニング」におけるシフトの検出では、外れ値が除外され、また、指数加重移動平均(EWMA)法で平滑化された系列が使われています。そのため、検出されるシフトは、Shewhart管理図の見た目で判断されるシフトとは必ずしも一致しません。