一般には、いくつかの2因子間交互作用の効果があることを想定して、モデルをあてはめることが多いでしょう。また、2乗項をモデルに含めたい場合、完全な2次モデルをあてはめたい場合、特定の2次項だけを含むモデルをあてはめたい場合などもあるかもしれません。
2因子間交互作用や2乗項を含めたモデルをあてはめる場合、決定的スクリーニング計画の次の2つの性質に注意する必要があります。
• 2因子間交互作用効果と2乗効果との間には、(多くの場合)相関がある。
• 2因子間交互作用効果と2乗効果をすべて含んだモデルは、推定できない。
図7.22の8つの連続尺度の因子に対する計画の相関のカラーマップを図7.23に示します。このカラーマップは、完全な2次式に対するものです。8つの2乗効果は一番右端に位置しています。このカラーマップを作成するには、[実験計画(DOE)]>[計画の診断]>[計画の評価]で、「交絡項」のリストに該当する項を入力します。交絡項を参照してください。
図7.23 完全な2次式モデルの相関のカラーマップ
効果間の相関の絶対値を見るには、カラーマップのセルの上にカーソルを置きます。主効果と、2因子間交互作用や2乗効果との間には、相関がありません。黒いセルが対角線上だけにあることから、他の効果と完全に交絡している効果がないこともわかります。ただし、2因子間交互作用同士の相関の中には、0.75という大きなものもあります。2因子間交互作用と2乗効果の間の相関の絶対値は、0か0.3118のどちらかです。
主効果と2乗効果だけが重要な場合においては、主効果と2乗効果だけを含む飽和モデルが推定可能です。この飽和モデルは、3次以上の効果がまったくない場合、推定値が不偏となっています。
2因子間交互作用を含むモデルをあてはめるときは、それらや2乗項の間には相関があることから、慎重になる必要があります。使用できる分析手法には以下のものがありますが、最初のものがより望ましいと言えます。
• 決定的スクリーニング計画を分析する方法としては、効果的モデル選択(effective model selection)が良いでしょう。特に重要な効果が多数ある場合に効率的です。決定的スクリーニング計画の効果的モデル選択を参照してください。
• 変数増加法、または、可能な全組みわせによる変数選択は、以下の条件が成立する場合、適切な結果を得られます。
– 応答に影響している効果(有効な効果)の数が実験回数の半分以下である。
– 有効な2因子間交互作用の数が2つ以下であるか、または有効な2乗効果の数が1つ以下である。
変数増加法や総あたり法による変数選択を参照してください。
変数増加法や総あたり法などの変数選択法を行うには、まず、「モデルのあてはめ」の起動ダイアログにおいて、完全な応答曲面モデルの効果を指定します。その後、次のいずれかを行います。
• ステップワイズ回帰で変数増加法を行う。このとき、「停止ルール」を[最小AICc]とする。また、「ルール」を[組み合わせ]にしてモデルの親子関係を維持する。
• ステップワイズ回帰で[すべてのモデル]オプションを行う。このとき、親子関係の制限を課し、モデル選択規準としてはAICcを使用する。
実験回数がパラメータ数より少ないため、完全な応答曲面モデルをあてはめることはできません。そのため、ここでのステップワイズ回帰は、重要な効果の数が実験数より小さいという「効果の希薄性」を前提としています。この方法には、以下の制約があります。
• 応答に影響している効果の個数が実験回数の半分を超える場合は、ステップワイズ法と総あたり法の変数選択法のいずれでも、適切なモデルを見つけることは困難です。
• 中程度の2乗効果に対する検出力が低いです。検出力が0.9を超えるには、2乗効果の大きさが誤差の標準偏差の3倍を上回っていなければいけません。
• なお、効果が相関しているので、いくつかのモデルが同程度の適合度になる場合があります。そのような交絡を解決するには、追加の実験が必要です。