「Bayesプロット」では、正規プロットとは別の方法で、どの効果が重要かを見極めることができます。このレポートは、Box and Meyer(1986)によって紹介された、Bayes(ベイズ)流の方法で事後確率を計算します。この方法では、Box and Meyer(1986)により、推定値が2つの分布の混合分布から抽出されていると仮定します。一方の分布は、重要でない効果を表し、その分散がs2の正規分布であるとします。もう一方の分布は、重要な効果を表し、分散がs2のK倍である正規分布であるとします。後者の分布は、不純物分布(contaminating distribution)と呼ばれています。
項
パラメータ推定値に対応するモデル項。
推定値
パラメータ推定値。Bayesプロットは、標準偏差(標準誤差)が1になるように変換された推定値に対して作成されます。推定値が無相関の場合、t値が使用されます。推定値に相関がある場合、直交t値が使用されます。
事前確率
重要である効果の割合を指定できます(つまり、推定値が不純物分布から来る事前確率)。この事前確率は、通常、どの推定値にも等しい値が設定されます。デフォルトでは一般的に推奨される0.2という値がいずれの推定値にも設定されていますが、これを変更することができます。
係数K
重要でない効果の分散に対する、重要である効果の分布(不純物分布)の分散の比。デフォルトでは、Kは一般的に推奨される10に設定されています。
標準誤差尺度
標準誤差の推定値に自由度がある場合、この値は1に設定されます。Bayesプロットで使われる推定値は変換され、その標準偏差(標準誤差)が1になるように尺度化されているからです。誤差分散が推定できない飽和モデル(誤差自由度が0であるモデル)では、この値が0に設定されます。このフィールドに何らかの数値を指定するときは、推定値がRMSEの何倍になっているかを指定してください。
DFE
誤差の自由度。
図3.46は、「Bicycle.jmp」サンプルデータに対するデフォルトにおけるBayesプロットの設定です。このウィンドウで[実行]をクリックすると、各項の事後確率と棒グラフが表示されます(図3.47)。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Bicycle.jmp」を開きます。
2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。
3. 「時間」を選択し、[Y]をクリックします。
4. 「ハンドル」から「朝食」までを選択して[追加]をクリックします。
5. [実行]をクリックします。
6. 「応答 時間」の赤い三角ボタンをクリックし、[要因のスクリーニング]>[Bayesプロット]を選択します。
図3.46 Bayesプロットの設定
7. [実行]をクリックすると、事後確率が計算されます。
図3.47 「Bayesプロット」レポート
「Bayesプロット」レポートの下の注釈には、効果に不純物が1つもない事後確率が表示されます。事後確率は、重要な効果がない事後確率であり、事前確率とデータから計算されています。事後確率0.0144は小さいので、重要な効果があることを示唆しています。「事後」確率列を見ると、少なくとも「電動モーター」と「ギア」が重要な効果であることがわかります。