端点計画においては、「因子」パネルにおける制約または線形制約によって、1つ以上の因子に対して制約が課せられている必要があります。端点計画は、制約における端点(頂点)と、指定された次数までのそれらの端点の平均での配合で構成されます。2つの隣接する端点が直線で結ばれているとき、その重心点は2次の重心となります。複数の端点が平面を共有しているとき、その重心点は3次の重心となります。
端点計画の例を作成するには、次の手順に従います。
1. [実験計画(DOE)]>[古典的な計画]>[配合計画]を選択します。
2. 「因子」アウトラインで、追加する因子の数として「2」と入力し、[追加]をクリックします。
3. 図13.12のように5因子の範囲を設定し、[続行]をクリックします。
図13.12 5因子の範囲
4. 「次数」テキストボックスに「4」と入力し、[端点計画]をクリックします。
図13.13 端点計画の「計画の表示と変更」パネル
この4次の5因子端点計画の実験回数は、デフォルトで116回となっています。これは、因子の範囲に制約がある状態での端点と、4次までのそれらの端点を5因子で平均した点とを合わせた個数です。JMPでは、このデフォルトの計画を候補の実験点として使用して、より小さいD-最適化計画を生成できます。
5. (オプション)この例の結果と一致させる場合は、[配合計画]の赤い三角ボタンをクリックして[乱数シード値の設定]を選択し、「1409」と入力します。
6. 「希望の標本サイズを選択」テキストボックスに「10」と入力し、[サブセットの検索]をクリックして計画を生成します。
注: [サブセットの検索]は、(座標交換ではなく)行交換によって最適な行のサブセットを探します。
図13.14 実験回数10のD-最適化端点計画
7. [テーブルの作成]をクリックします。
8. 計画のデータテーブルで、[グラフ]>[三角図]を選択します。
9. X1、X2、X3、X4、X5を選択し、[X、プロット]をクリックし、[OK]をクリックします。
図13.15 5因子計画の三角図(一部)
配合成分が3つ以上あると、複数の三角図が表示されます。各図には、2成分を示す2つの軸と、その他の成分の合計を表すもう1つの軸があります。制約のある領域は陰影で表されます。陰影のない部分は、実行可能な領域を表します。三角図の詳細については、三角図の概要を参照してください。
Snee(1979)とPiepel(1988)による典型的な例を見てみましょう。因子はX1、X2、X3の3つです。因子に対する5つの境界と、3つの線形制約を指定します。
この例の端点計画を作成するには、次の手順に従います。
1. [実験計画(DOE)]>[古典的な計画]>[配合計画]を選択します。
2. 図13.16のとおりに、X1、X2、X3に値を入力し、[続行]をクリックします。
図13.16 SneeとPiepelの例の因子の値と線形制約
3. [線形制約]を3回クリックします。図13.16のとおりに制約を入力します。
4. [端点計画]ボタンをクリックします。
5. [テーブルの作成]をクリックします。
6. 計画のデータテーブルで、[グラフ]>[三角図]を選択します。
7. X1、X2、およびX3を選択し、[X、プロット]をクリックし、[OK]をクリックします。
図13.17 制約を追加したPiepelの例の三角図
三角図には、因子に対する制約と線形制約によって定義された実行可能な領域が表示されます。計画は、6つの端点(頂点)、それらの端点の中点、全体の重心から構成されています。三角図の詳細については、三角図の概要を参照してください。
端点計画に線形制約がある場合、JMPでは、R.E.Wheelerによって考案されたCONSIMアルゴリズムを使って計算が行われます。CONSIMアルゴリズムは、Snee(1979)によって提唱されたもので、Piepel(1988)はCONVRTと呼んでいます。Cornell(1990、Appendix 10a)も論じているこの計算方法は、複数の制約を組み合わせ、端点がそれに反しているかどうかを調べます。制約に反している端点は採用されず、新しい端点が計算されます。重心点を計算するCONAEVという方法は、Piepel(1988)が発案したものです。
範囲制約だけを指定し、線形制約を指定しない場合、端点計画は、Snee and Marquardt(1974)およびSnee(1975)が開発したXVERT手法を使って作成されます。端点を見つけた後、単体重心法によって指定の次数までの端点の組み合わせが生成されます。
XVERT手法は、まず、範囲が狭いほうからnf – 1個までの因子の下限と上限を使い、実験数2nf – 1の完全実施計画を作成します。次に、因子の合計が1であるという制限に基づいて残りの1因子の値を計算します。因子範囲の外にある点が維持されます。値が範囲外であれば、その値を範囲の中に納まるように増加または減少させ、他の各因子を同じ大きさだけ減少または増加させます。この手法は、当初の制約を満たしている点をすべて維持します。
このアルゴリズムによって、因子の制約によって定義された単体の中で、実行可能な領域を構成する各端点を形成します。Snee(1975)は、実行可能な領域の頂点と面の重心も含めることが役立つことを示しました。n次元の実行可能な領域の面は、nf – n個の境界によって定義され、面の重心はその面を構成する端点の平均値として定義されます。このアルゴリズムは考えられるすべての境界条件を生成し、そこで生成された端点全体の平均を生成することになります。