計画・実験・分析は、6つのステップで構成されます。全ステップにおいて、エンジニアリングや工程に関する深い知識が必要です。
図3.2 実験計画のフレームワーク
最初の3ステップは「実験計画(DOE)」プラットフォームで行います。そして、作成された計画に基づき、実験室や現場にて実験を行います。3つのステップの詳細は、実験計画の手順: 問題の把握、モデルの指定、計画の作成を参照してください。
問題の把握
実験の目標を決定します。応答と因子を特定します。
実験を行う目的には、重要な因子を特定すること、最適な因子設定を特定すること、予測モデルを作成すること、などがあるでしょう。
モデルの指定
問題とする物理現象を適切に表すであろうモデルを仮定します。
ここで仮定するモデルは、推定したい効果をすべて含んでいるのが望ましく、分析を行うときの出発点となります。一部のプラットフォームでは、仮定するモデルを計画の段階で明示的に指定できます。その他のプラットフォームでは、ユーザが行う選択に基づいて、特定のモデルが暗黙的に仮定されます。たとえば、「スクリーニング計画」プラットフォームでは、レゾリューションを選択します。選択されたレゾリューションによって、モデルに含まれる効果の交絡が決まります。効果が交絡していると、それらの効果が影響しているのかどうかを調べることができなくなります。
計画
仮定したモデルに従って計画を作成します。計画の長所と短所を把握するために、また、指定したモデルと目標に関する必要な情報が得られるかどうかを判断するために、計画を評価します。
「実験計画(DOE)」プラットフォームの「計画の評価」や「計画の診断統計量」アウトラインによって、計画の特徴を把握できます。
その次のステップでは、制御された状況下で実験を行い、データを収集します。
収集
各実験を実施し、応答の値を記録します。
実験の実施後、データテーブルに保存されたスクリプトを使い、「モデルのあてはめ」や「スクニーリング計画」などのプラットフォームでモデルをあてはめることができます。これらのモデルに基づいて、重要な効果を探し出したり、最適な因子設定を見つけたりします。
あてはめ
仮定したモデルを実験データにあてはめます。
JMPのモデル化プラットフォームを使って、モデルをあてはめ、改良します。モデルに曖昧な点がある場合は、計画を拡張し、追加の実験を実施します。
予測
改良したモデルを使って、実験の目標を追求します。
重要な効果を特定したり、応答を最適化する因子の水準を見つけたり、予測モデルを作成したりします。
工程や現象に関する知識を得るには、一般的に、実験を段階的に実施します。まず、スクリーニング計画によって、重要と考えられる因子を絞り込みます。次に、交互作用と2次効果を調べる計画を作成し、絞り込んだ因子を検討します。影響を及ぼすかどうかが曖昧な因子がある場合は、それを解決するために追加で実験を行います。この節で紹介したステップは一巡だけになっていますが、これらのステップを何回も繰り返して実験することが必要になる場合もあります。
コーヒーの濃度に関する実験の例は、実験計画の手順を具体的に説明しています。また、データテーブルのスクリプトによって実験データを分析する方法も示しています。また、本書『実験計画(DOE)』で紹介している多数の例のおいても、実験を計画する手順と、その実験で得られたデータの分析方法を解説しています。