X′Xが特異な場合、先ほどの式で、逆行列ではなく、一般化逆行列(一般逆行列)を使って推定値を求めます。JMPで使われている一般化逆行列では、一次従属性があった場合、一部のパラメータだけ推定値を求めて、それ以外のパラメータ推定値は0に固定します。この方法では、推定値が求められるパラメータは、指定された効果の順番に依存します。後ろのほうで指定された効果のパラメータが推定されず、0に固定されます。「パラメータ推定値」レポートで、推定されたパラメータには推定値が表示され、推定されなかったパラメータは0とされます。
ただし、一次従属性に関係する項のパラメータ推定値は一意には決められません。一次従属性の関係にある項は交絡しているので、残差平方和を最小にするパラメータ推定値の組は無限にあります。一次従属性がある場合、「パラメータ推定値」レポートにおいて、一次従属となっている項のパラメータ推定値の左側に「バイアスあり」と表示されます。一方、一次従属となっている項でパラメータ推定値が0に固定されたものについては、「パラメータ推定値」レポートの左に「ゼロに固定」と表示されます。例として、図3.65を参照してください。
誤差に自由度があり、誤差分散が推定できるのであれば、上記の方法で求められたパラメータ推定値に対してt検定が実施されます。ただし、上記の方法で求められた推定値は、一意ではなく、バイアスがあります。これらの検定の解釈には注意が必要です。