線形回帰モデルのモデル式は、Y = Xβ + εです。通常、Xの第1列は切片を表し、要素がすべて1のベクトルになっています。第2列以降は、モデルの各効果を表します。モデルが切片を含めp個の項から成る場合、Xはn × pの行列になります(nは標本サイズです)。パラメータ推定値のベクトルbは、通常、次式によって求められます。
しかし、この式では、X′X−1 が存在しなければいけません。言い換えれば、p × pの行列X′Xは、逆行列が存在するためにフルランクでなければいけません。Xの列の間に一次従属性があると、X′Xがランク落ちし、上式ではパラメータ推定値を求められません。現実では、一次従属が生じるような状況はよくあります。
一次従属がある場合、X′X行列は特異であり、「最小2乗法によるあてはめ」レポートに「特異性の詳細」レポートが出力されます。「特異性の詳細」レポートでは、一次従属性の関係式が表示されます。このレポートで報告される項は、その関係式で表されている項と交絡しています。
図3.65は、「Reactor 8 Runs.jmp」サンプルデータのレポートです。これらのレポートを作成するには、「反応率(%)」をYに指定します。また、「送り速度」、「触媒」、「攪拌速度」、「温度」、「濃度」、「触媒*攪拌速度」、「触媒*濃度」、「送り速度*触媒」をモデル効果に指定します。
図3.65 一次従属性がある時の「特異性の詳細」と「パラメータ推定値」レポート