「非線形回帰」プラットフォームで計算される、パラメータの上側信頼限界は、解の最小SSEよりも特定の分だけ大きいSSEをもつという制約の中で、その他のパラメータを自由に動かしたときに、当該のパラメータ値が最大となる点です。下側信頼限界は、同様の条件で、パラメータ値が最小となる点です。これら2つのSSEの差が、F分布(もしくはカイ2乗分布)の値になるように信頼限界を求めます。このようにして求められた信頼区間は、尤度信頼区間またはプロファイル尤度信頼区間と呼ばれます(Bates and Watts 1988, Ratkowsky 1990)。
プロファイル信頼限界は、目標SSE(goal SSE)から決定されます。目標SSEとは、F検定の結果、与えられたα水準において、解のSSEと有意に異なると判断される誤差平方和(または損失関数和)です。損失関数を負の対数尤度として指定したときは、F分布ではなくカイ2乗分布の分位点が使用されます。各パラメータの上側信頼限界を見つける際、パラメータ値はSSEが目標SSEに達するまで引き上げられます。ただし、該当するパラメータが目標SSEになるように変更されるに合わせて、他のパラメータは最小2乗推定値になるように調整されます。プロファイル尤度の定義から考えれば、すべてのパラメータごとに、反復計算による最適化を複数回行えば求めることができます。ただし、JMPの内部計算では、すべてのパラメータごとに、Johnston and DeLongによって開発された1セットだけの反復計算法が使用されています。『SAS/ETS User’s Guide』(SAS Institute Inc. 2018)を参照してください。
図14.20にある輪郭は目標SSE(または負の対数尤度)を表し、塗りつぶされた領域はSSE(または負の対数尤度)がそれ以下になる領域を表します。
• 漸近標準誤差によって近似される領域は楕円です。また、この近似による信頼区間は、楕円の極値(水平接線と垂直接線での値)になります。
• プロファイル信頼限界の場合、近似による楕円ではなく、真の領域の極値におけるパラメータ値が求められます。
図14.20 パラメータの信頼限界の図
プロファイル尤度の信頼区間は、近似標準誤差から計算された信頼区間より信用できます。プロファイル尤度の信頼限界が見つからなかった場合、その信頼限界の計算は打ち切って、次の信頼限界の計算へと移ります。なかなか収束しないときは、次のような作業を行ってください。
• αを大きくする。区間が短くなり、計算できる可能性が高くなります。
• 信頼限界の収束基準を緩める。