パラメータ推定値は、説明変数の尺度に大いに依存します。説明変数の値をグラムからキログラム換算すると、単位を変えただけにもかかわらず、パラメータ推定値は1,000倍になります。多項式の2乗項に対するパラメータ推定値は、100万倍にもなります。
効果の大きさをよりよく理解し、比較するためは、尺度不変な(スケールに左右されない)値で検討しなければなりません。パラメータ推定値の大きさを効果の大きさだと考えられるような値を求めることが必要です。それにはいろいろな方法があります。
レポートの赤い三角ボタンから[要因のスクリーニング]>[尺度化した推定値]オプションを選択すると、平均を0、範囲を2に尺度化した要因に対する係数が計算されます。要因は、平均を0、範囲を2に尺度化されます。図3.42は、「Drug.jmp」のレポートを示しています。
ある説明変数の値が、最大値、中間値、最小値から構成されており、その平均が中間値に一致している場合、尺度化した要因は–1、0、1となります。–1、0、1とする尺度化は、実験計画の分野でよく使われているコード変換と同じです。なお、尺度化した推定値は、説明変数が最小値から最大値まで移動したときに応答の予測値が変化する量の半分になっています。
尺度化した推定値は、単位や尺度が異なるモデル項の影響を評価するのに重要です。通常の直交計画では、尺度化した推定値は、元の推定値と一致します。
注: データテーブルの列において「コード変換」列プロパティを設定すると、その列に対する結果は、–1 ~ 1に尺度化したものに対する結果になります。この列プロパティを設定していれば、パラメータ推定値は尺度化されて算出されるため、[尺度化した推定値]オプションを改めて用いる必要はありません(ただし、「コード変換」列プロパティを用いた場合、[尺度化した推定値]オプションとは異なり、尺度化された説明変数の平均は必ずしも0にはなりません)。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Drug.jmp」を開きます。
2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。
3. 「y」を選択し、[Y]をクリックします。
4. 「薬剤」と「x」を選択し、「モデル効果の構成」リストに追加します。
5. 「強調点」を「最小レポート」に変更します。
6. [実行]をクリックします。
7. 「応答 Y」の赤い三角ボタンをクリックし、[要因のスクリーニング]>[尺度化した推定値]を選択します。
レポートには、連続尺度の要因xを平均で中心化し、範囲/2で尺度化したことが示されています。
図3.42 「尺度化した推定値」レポート
このモデルは、「薬剤」の各群に1本ずつ、合わせて3本の平行な回帰直線になっています。xは、3~21の範囲です。xの尺度化した推定値は、8.8846543になっています。この値は、「薬剤」のいずれの群において、x = 21の予測値からx = 3の予測値を引いた差の半分です。このことは、レポートの赤い三角ボタンのメニューから[列の保存]>[予測式]を選択し、「薬剤」のいずれかの群でx = 21 およびx = 3 である行を追加して予測値を求めれば確認できます。
この結果からxの値が最小値から最大値に変化すると、応答の期待値は約17.8だけ変化します。元データに対するxのパラメータ推定値は0.9871838ですが、この値だけからは応答に関する直接的な解釈はできません。