「逐次検定」レポートは、モデルに効果を1つずつ追加していったときの平方和を計算し、それを検定します。追加していく順番は、「モデルのあてはめ」起動ウィンドウの「モデル効果の構成」リストでの表示順に従います。図3.25のレポートは「Drug.jmp」サンプルデータのものです。
図3.25 「逐次検定」レポート
逐次検定のベースとなる平方和は、「タイプI平方和」とも呼ばれます。タイプI平方和は、モデルに1つずつ順番に効果を追加していって計算されます。ある効果のタイプI平方和を求めることを考えてみましょう。そのためには、まず、その効果の前に指定されたすべての効果を含むモデルの平方和を計算します。次に、そのモデルに該当の効果を追加して、平方和を計算します。タイプI平方和は、これら2つのモデルの平方和の差です。
「Drug.jmp」サンプルデータの逐次平方和(タイプI平方和)を示す図3.25を例に説明します。このレポートを作成するにあたり、「モデルのあてはめ」起動ウィンドウでは、「薬剤」が最初に指定され、その後に「x」が指定されました。「薬剤」だけでのモデル平方和は293.6です。また、「x」をモデルに追加すると、モデル平方和は871.4974になります。これら2つのモデルの平方和の差である577.8974が、「x」のタイプI平方和となります。
「逐次(タイプ1)検定」レポートに表示される検定は、「タイプIの検定」などと呼ばれています。この検定は、逐次平方和(タイプI平方和)から計算されたF値に基づいています。この検定は、該当する効果より以前に指定されている効果をもつモデルと、それに該当する効果を追加したモデルとを比較するものです。
タイプI平方和の和は、モデル全体の平方和となります。他の望ましい特徴として、各効果に対する仮説検定が、互いに直交している点が挙げられます。しかし、検定の結果が、効果の指定順に依存するため、タイプIの検定は多くの場合、適切ではありません。
タイプIの検定は、次のような状況では適切です。
• 分散分析において、釣合い(バランス)が取れており、かつ、効果が適切な順序で指定してある場合(ここで、「適切な順序」とは、「モデル効果の構成」リストにおいて、2因子間交互作用が必ず主効果の後に並んでいるなどの条件が満たされていることを指します)
• 純粋な枝分かれモデル(枝分かれ効果しかないモデル)を適切な順序で指定してある場合
• 多項式回帰モデルを適切な順序で指定してある場合
「パラメータ推定値」レポートおよび「効果の検定」レポートでの検定は、タイプIII平方和に基づいています。タイプIII平方和は、該当の効果だけを除いたモデルの平方和と、すべての効果を加えたモデルの平方和との差です。