以下に述べるオプションのうち、最初のほうのものは、正準プロットや三次元正準プロットの外観に関するオプションです。その他のオプションは、正準プロットに関連する計算の詳細を表示するものです。
メモ: [三次元正準プロット]は、共変量が3つ以上あり、グループ変数に4つ以上のカテゴリがある場合にのみ使用できます。
点の表示
正準プロットおよび三次元正準プロットにおいて、点の表示/非表示を切り替えます。
平均の信頼限界楕円の表示
正準プロットおよび三次元正準プロットにおいて、各グループの平均に対する95%信頼楕円の表示/非表示を切り替えます。この信頼楕円は、正規分布に従うと仮定して求められています。
正規50%等高線の表示
正準プロットおよび三次元正準プロットにおいて、各グループにおける50%等高線を示す楕円の表示/非表示を切り替えます。各楕円は、多変量正規分布に従っている場合にデータの50%を含むと推定される領域を2次元上に射影したものです。同様に、三次元正準プロットでの各楕円は、多変量正規分布に従っている場合にデータの50%を含むと推定される領域を3次元上に射影したものです。
バイプロット線の表示
正準プロットおよび三次元正準プロットにおけるバイプロット線の表示/非表示を切り替えます。バイプロット線は、正準空間における共変量の方向を示します。また、バイプロット線は、共変量の各正準変数に対する関連の度合いを示します。
バイプロット線の位置
正準プロットおよび三次元正準プロットにおけるバイプロット線の位置と半径のスケールを指定します。
– デフォルトでは、バイプロット線は全体平均を示す点(0,0)を出発点とした直線で表されています。正準プロットでバイプロット線をドラッグして移動するか、またはこのオプションによって出発点の座標を指定できます。
– 正準プロットに表示されるデフォルトの半径のスケールは、バイプロット線を表示するために調整の必要が生じない限り、1.5です。半径のスケールは、標準化スコア係数に対するものです。
プロット点の色分け
正準プロットおよび三次元正準プロットにおいて、X変数の水準ごとに色を付けます。また、このとき、データテーブルの行に対しても、色のマーカーが設定されます。これは、[行]>[列の値による色/マーカー分け]でX変数の列を選択するのと同じです。また、グラフを右クリックして[行の凡例]を選択し、X変数の水準ごとに色を設定するのとも同じです。
正準の詳細を表示
「正準の詳細」レポートの表示/非表示を切り替えます。正準の詳細を表示を参照してください。
正準構造の表示
「正準構造の表示」レポートの表示/非表示を切り替えます。正準構造の表示を参照してください。ただし、このオプションも、[線形 横長データ]の判別法では使用できません。
正準スコアの保存
データテーブルに新しい列を作成し、各データ行の正準スコア計算式を保存します。k番目の正準スコアの列は、Canon[<k>]という名前になります。
ヒント: スクリプトの場合は、DiscriminantオブジェクトにSave to New Data Tableコマンドを送ると、正準変数のグループ平均、標準化スコア係数の半径スケール1.5のバイプロット線、および正準スコアが新しいデータテーブルに保存されます。ただし、このオプションも、[線形 横長データ]の判別法では使用できません。
「正準の詳細」レポートには、共変量とグループ変数Xの関係を示す検定が表示されます。レポートの下部に、関連する行列が表示されます。
図5.13 「Iris.jmp」の正準の詳細
メモ: この正準分析で使用される共分散行列は、常にプールした群内共分散行列(グループ内共分散行列)です。どの判別法を選択したとしても、「正準の詳細」レポートでは、プールした群内共分散行列が常に使われます。そのため、「正準の詳細」レポートの統計量や検定は、すべての判別法で共通です。
「正準の詳細」レポートには、固有値がリストされ、「固有値がゼロである」という帰無仮説に対する尤度比検定が表示されます。また、「正準相関がゼロである」という帰無仮説に対して、4つの検定が表示されます。
固有値
グループ間共分散行列(群間共分散行列)と、グループ内共分散行列(群内共分散行列)の逆行列を掛け合わせた行列の固有値。固有値は、大きい順に表示されます。固有値の大きさは、その次元における、判別で説明される分散の量を反映しています。
寄与率
固有値の合計に対する、該当の固有値が占める割合。
累積寄与率
寄与率の累積合計。
正準相関
カテゴリカル変数Xのグループと、共変量との間の正準相関。まず、Xのグループから、指示変数(ダミー変数)を作成します。そして、一方の変数の組を指示変数とし、もう一方の変数の組を共変量として、正準相関分析を行います。「正準相関」に表示されている値は、この正準相関分析における正準相関の値です。
尤度比
現在の次元以降の母正準相関がすべてゼロかどうかを調べる検定の尤度比統計量。この尤度比統計量は、現在の次元以降に関して、(1 - 正準相関2)を掛け合わせたものです。
検定
「共変量の平均はグループ間で等しい」という帰無仮説に対する検定で、WilksのΛ、Pillaiのトレース、Hotelling-Lawleyのトレース、およびRoyの最大根の4つが計算されます。多変量検定および近似F検定を参照してください。
近似のF検定
対応する検定のF値。一部の検定では、F値は近似値または上限値です。近似F検定を参照してください。
分子自由度
対応する検定の分子自由度。
分母自由度
対応する検定の分母自由度。
p値(Prob>F)
対応する検定のp値。
レポートの下部に、正準構造に関連する4つの行列が表示されます。行列を表示するには、それぞれの名前の横にある開閉アイコンをクリックしてください。また、非表示にするには、行列の名前をクリックしてください。
グループ内共分散行列
プールしたグループ内共分散行列(群内共分散行列)。
グループ間共分散行列
グループ間共分散行列(群間共分散行列)、SB。群間共分散行列を参照してください。
スコア係数
生データから正準スコアを計算する際に使用する係数。この係数が、[正準オプション]>[正準スコアの保存]オプションに使用されます。これらの計算方法の詳細については、SAS Institute Inc.(2020b)の「CANDISC Procedure」章を参照してください。
標準化スコア係数
標準データから正準スコアを計算する際に使用する係数。この係数は、一般に、正準重み(canonical weight)と呼ばれています。これらの計算方法の詳細については、SAS Institute Inc.(2020b)の「CANDISC Procedure」章を参照してください。
「正準構造」レポートには、正準変数と共変量との間の相関を示す3つの行列が表示されます。また、グループ変数の各水準における平均も表示されます。行列を表示するには、それぞれの名前の横にある開閉アイコンをクリックしてください。また、非表示にするには、行列の名前をクリックしてください。
図5.14 「Iris.jmp」の相関構造
全体の正準構造
正準変数と共変量との間の相関。負荷量ともいいます。
グループ間正準構造
正準変数のグループ平均と共変量のグループ平均との間の相関。
プールしたグループ内正準構造
グループ変数によって調整された、正準変数と共変量との間の偏相関。
正準変数のクラス平均
グループ変数の各水準における、各正準変数の平均。