メモ: 「分析方法」に[EMP]、「ばらつき図の種類」に[範囲]を選択し、1因子または2因子交差モデルを選択した場合で、かつ、データのバランスが取れている場合には、範囲に基づいたEMP分析が行われます。それ以外の場合は、標準偏差に基づいたEMP分析が行われます。
「EMP分析」レポートには、測定システムの評価や等級付けに関する統計量が表示されます。このレポートにより、次のようなことが分かります。
• 管理図による工程監視を行うとき、どの程度、測定誤差が影響を与えるか?
• 管理図のどのテストを行えばいいか?
• 工程からの信号が、どの程度、減衰するか?
• バイアス要因がシステムに与える影響の大きさ。バイアス要因によって、級内相関がどの程度、減少しているか?
「EMP分析」レポートには、次のような統計量が表示されます。
繰り返し誤差
同じ測定条件でも生じるばらつき、つまり、併行精度(repeatabiity)を示します。繰り返し誤差は、「セル内誤差」(within error)、または「純粋誤差」(pure error)とも呼ばれています。
自由度
繰り返し誤差の推定に使われた情報量を示します。
公算誤差
“probable error”(確率誤差、蓋然誤差)です。繰り返し誤差(の絶対値)の中央値です。測定の分解能を示す統計量で、測定の有効桁数を決める上で参考になります。測定の有効桁数を参照してください。
級内相関
製造業の測定システム分析においては、この級内相関は、変動全体に占める部品による変動の割合です。測定のばらつきが小さくなるほど、値は1に近づきます。
級内相関 (バイアス除去後)
バイアス要因や交互作用を考慮せずに計算した級内相関です。
級内相関 (バイアス含む)
バイアス要因(測定者、測定器など)を考慮に入れて計算した級内相関です。
級内相関 (バイアスと交互作用を含む)
バイアス要因と交互作用を考慮に入れて計算した級内相関です。この値は、交差モデルを用いて、かつ、範囲ではなく標準偏差に基づき推定した場合にのみ表示されます。
バイアスの影響
バイアス要因によって級内相関が小さくなる度合いです。
バイアスと交互作用の影響
バイアス要因と交互作用によって級内相関が小さくなる度合いです。この値は、交差モデルを用いて、かつ、範囲ではなく標準偏差に基づき推定した場合にのみ表示されます。
測定システムの「等級」もレポートされます。「等級」を理解するには、「工程監視の等級分けについて」という凡例に記載されている情報を、まず理解する必要があります。
図4.6 工程監視の等級分けについて
この凡例は、第1級から第4級までの等級について説明しています。等級ごとに次のような情報が表示されます。
• 各等級に対応する級内相関の値
• 工程からの信号の減衰量
• Wheeler(2006)で説明されている方法で(ルール1だけを用いた場合、または、ルール1~4のすべてを用いた場合)、10個のサブグループによって、3シグマの変化を検出できる確率
Wheeler(2006)では、ウェスタン・エレクトリック(Western Electric)の8つのテストのうち、4つだけを用いています。「変化検出プロファイル」では、8つのテストすべてを選択できます。なお、Wheeler(2006)において、ルール1, 2, 3, 4と呼ばれているものは、ウェスタン・エレクトリックにおける、1, 5, 6, 2番のテストです。
ヒント: 凡例を非表示にするには、「測定システム分析」プラットフォームの環境設定で[工程監視の等級を示す凡例の表示]をオフにします。