この例では、「Car Physical Data.jmp」サンプルデータを使用します。あるタイヤメーカーが、エンジンの排気量(in3)からエンジンの馬力を予測しようとしています。2つの変数には直線関係があるとし、傾きについて推測するとします。直線の傾きがわかれば、排気量の増加に伴う、馬力の増加が分かります。
この例では、回帰分析で信頼限界を求めるときの前提である等分散性が満たされていません。そのため、回帰モデルの傾きに対する信頼限界が、不適切である可能性があります。そこで、この会社では、ブートストラップ法を用いることにしました。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Car Physical Data.jmp」を開きます。
2. [分析]>[二変量の関係]を選択します。
3. 「馬力」を選択し、[Y, 目的変数]をクリックします。
4. 「排気量」を選択し、[X, 説明変数]をクリックします。
5. [OK]をクリックします。
6. 「排気量と馬力の二変量の関係」の赤い三角ボタンをクリックし、[直線のあてはめ]を選択します。
傾きの推定値は0.503787(約0.504)です。
7. (オプション)「パラメータ推定値」レポートを右クリックし、[列]>[下側95%]を選択します。
8. (オプション)「パラメータ推定値」レポートを右クリックし、[列]>[上側95%]を選択します。
回帰分析における傾きの信頼限界は、0.4249038および0.5826711となっています。
9. 「パラメータ推定値」レポートの「推定値」列を右クリックし、[ブートストラップ]を選択します。
図11.2 [ブートストラップ]オプション
[選択された列の分割]オプションを選択する場合は、どの列で右クリックしたかによって、分析対象となる列が変わる点に注意してください。「ブートストラップ」ウィンドウのオプションを参照してください。
10. 「ブートストラップ標本数」に「1000」と入力します。
11. (オプション)図11.3の結果と一致させるには、「乱数シード値」に「12345」と入力します。
12. [OK]をクリックします。
ブートストラップ処理が行われ、傾きと切片の結果を積み重ねていない「ブートストラップ結果」データテーブルが作成されます。
次に、ブートストラップによって生成された傾きの分布を分析します。
13. 「ブートストラップ結果」テーブルで、「一変量の分布」スクリプトを実行します。
「一変量の分布」レポートには、「ブートストラップ信頼限界」レポートが含まれます。
図11.3 ブートストラップのレポート
傾きの推定値(ステップ6)は、0.504です。ブートストラップで求めた95%の信頼水準に基づくと、傾きは0.40028~0.61892であると推定できます。つまり、排気量が1単位増加すると、95%の信頼水準で、馬力は0.40028~0.61892だけ増加すると言えます。ブートストラップによる傾きの信頼区間(0.400~0.619)は、通常の回帰分析(ステップ7およびステップ8)による信頼区間(0.425~0.583)に比べ、わずかに広くなっています。
メモ: 「ブートストラップ信頼限界」レポートの「BC 下側」列および「BC 上側」列は、バイアス修正済み(bias-corrected)の信頼限界です。バイアス修正済みの信頼限界を参照してください。