データの前処理が終わったら、「関数データエクスプローラ」の赤い三角ボタンの「モデル」メニューにあるオプションでモデルをあてはめます。利用可能なモデルについては、モデルを参照してください。異なる種類のモデルをデータにあてはめるたびに、そのモデルの結果がレポートに追加されます。モデルに関する各レポートは、次のようなレポートで構成されます。
• モデルの設定
• モデル選択
• 診断プロット
• 関数の要約
• 基底関数係数
• ランダム係数
• 関数主成分分析
「モデルの設定」レポートでは、あてはめるモデルを指定します。指定されたいくつかのモデルの結果は「モデル選択」レポートで比較することができます。「モデルの設定」レポートで指定できる設定は、あてはめるモデルの種類によって異なります。
B-スプラインモデルおよびP-スプラインモデルをあてはめるときには、次の設定を指定できます。
節点の個数
スプライン曲線で用いる節点の個数を、追加・削除できます。また、追加する節点の個数を範囲で指定することもできます。節点はゼロ以外の整数でなければなりません。
メモ: B-スプラインモデルで指定できる節点の最大個数は、1関数における観測値数または1関数における一意な入力値の個数です。P-スプラインモデルで指定できる節点の最大個数は、1関数における一意な入力値の個数よりも2少ない数です。これらの最大個数よりも大きな数を指定すると、警告メッセージが表示されます。
スプライン次数
チェックボックスにより、「モデル選択」レポートから該当のスプライン次数の結果を追加・削除できます。
Fourier基底モデルに対しては、次の設定を指定することができます。
Fourier基底ペアの個数
Fourier基底モデルにおける、正弦と余弦のペアの個数を追加・削除できます。また、追加するペアの個数を範囲で指定することもできます。
周期
関数の周期を変更します。
モデルの設定を指定後、[実行]をクリックすると、「モデル選択」レポートのモデルが更新されます。
ヒント: モデルをあてはめる前にモデルの設定を指定するには、Shiftキーを押しながら「関数データエクスプローラ」の赤い三角ボタンをクリックし、目的のモデルを選択します。モデルを参照してください。
「モデル選択」レポートには、全体的な予測プロット、グリッド形式の個々の予測プロット、モデル選択規準統計量のプロット、適合度統計量の表が表示されます。個々の予測プロットのグリッドは「データ処理」レポートにある個々のプロットのグリッドと同じレイアウトであり、矢印のボタンなど同様のコントロールがあります。一度に表示できるプロットの最大数は20個です。ドロップダウンメニューと矢印を使って、表示する個々の予測プロットのグループを変更できます。モデル選択規準統計量のプロットには、モデル設定ごとにモデル選択規準統計量がプロットされています。このプロットでデフォルトでプロットされる統計量は、BIC(ベイズ情報量規準; Bayesian Information Criterion)です。モデルレポートのオプションを参照してください。B-スプラインモデルとP-スプラインモデルについては、次数ごとの折れ線が、指定された節点の個数を横軸にしてプロットされます。Fourier基底モデルについては、正弦と余弦のペアの個数を横軸にしてプロットされます。このプロットに描かれるモデルの設定を変更するには、「モデル設定」を使用します。
現在、選択されているモデルは、モデル選択規準統計量のプロットで垂直の点線で示されています。デフォルトでは、モデル選択規準統計量が最小になっているモデルが選択されています。垂直の点線をドラッグして移動すると、現在のモデルを変更できます。垂直の点線をドラッグして移動すると、「モデル選択」レポートのプロットや情報が自動的に更新されます。
適合度統計量の表に表示されている結果は、現在のモデルに対するものです。対数尤度を-2倍したもの、AICc、BIC、GCVが表示されます。また、「<Y変数名> 標準偏差」に、標準偏差が表示されます。この標準偏差は、現在のモデルにおける誤差の標準偏差(の推定値)です。P-スプラインモデルにおいては、ペナルティパラメータl (ラムダ)も表示されます。
予測プロットでは、データ値が点としてプロットされ、また予測値の曲線が描かれています。検証セットがある場合、検証セット内の関数の予測曲線は表示されません。スプラインモデルでは、デフォルトで選択されているモデルは、次数と節点個数が最適になっているものです。モデル選択規準統計量のプロットで折れ線を選択すると次数を変更できます。また、垂直の縦線をドラッグして移動すると、節点の個数を変更できます。全体の予測プロットに描かれている曲線は、複数の関数の予測値を平均したものです。個々の予測プロットに描かれている曲線は、各々の関数の予測値です。B-スプラインモデルに対する全体の予測プロットには、節点の位置も表示されます。この全体の予測プロットにおける垂直の青線をドラッグして移動することにより、節点の位置を変更できます。節点を新しい位置に移動したモデルのレポートに更新するには、[モデルの更新]ボタンをクリックします。節点をデフォルトの位置に戻すには、[節点のリセット]ボタンをクリックします。
「診断プロット」としては、「予測値と実測値のプロット」と「予測値と残差のプロット」が表示されます。これらのプロットは、現在のモデルがデータにどの程度あてはまっているかを評価するのに役立ちます。「診断プロット」レポートは、デフォルトでは閉じています。
「関数の要約」レポートの「FPC」には、ID変数の各水準に対して、関数主成分(Functional Principal Component)の情報が表示されています。データ変動の1%以上を説明する主成分だけが、デフォルトで表示されます。平均、標準偏差、中央値(メディアン)、最小値、最大値、平均差、積分2乗誤差平方根(RISE)、および積分2乗関数平方根(RIFS)も表示されます。平均差と積分2乗誤差平方根(RISE)の要約値は、ID特有の関数が全体的な平均値関数とどのくらい異なるかを判断するのに使用されます。積分2乗誤差平方根(RISE)の要約値は、最適な曲線のあてはめに使用されます。「関数の要約」の詳細を参照してください。「関数の要約」の赤い三角ボタンのメニューには、以下のオプションがあります。
関数の要約をカスタマイズ
「関数の要約」レポートに表示する、FPC(関数主成分; Functional Principal Component)の個数や、要約統計量の種類を選択するウィンドウが開きます。表示されるFPCの個数を指定すると、「関数主成分分析」レポートも更新されます。[グラフの保存]チェックボックスもあります。このチェックボックスを使って、各関数のグラフを[要約の保存]オプションで作成されたデータテーブルに含めるかどうかを指定できます。
ヒント: 同様のレポートが複数ある場合、Ctrlをクリックして[関数の要約をカスタマイズ]を選択することにより、「関数の要約」レポートをすべてカスタマイズすることができます。
要約の保存
「関数の要約」レポートで表示されている要約統計量を新規作成されたデータテーブルに保存します。新規作成されたデータテーブルの名前は、あてはめられたモデルの種類を説明しています。このデータテーブルは、固有関数・平均・予測式・条件付き予測式を求める計算式列を含んでいます。また、生データと各関数へのモデルのあてはめを示したグラフのイメージを含む列もあります。このデータテーブルには、予測式や条件付き予測式を描くスクリプトが付随しています。予測式や条件付き予測式の計算式は、入力変数・ID変数・固有関数値の関数になっています。
「基底関数係数」レポートには、基底関数に対する係数の推定値と、その標準偏差が表示されます。これらの係数はすべての水準のID変数にわたって共通であり、混合モデルの枠組みにおける固定効果に対する推定値です。係数の信頼区間と標準誤差を表示するには、テーブル内で右クリックし、[列]を選択します。
「ランダム係数」レポートには、関数ごとに各基底関数に対するランダム係数の推定値が表示されます。ランダム係数の推定値は、ID変数の水準ごとに計算され、混合モデルの枠組みにおける変量効果に対する推定値です。
「関数主成分分析」レポートには、推定されたモデルに対する関数主成分分析の結果が表示されます。「関数主成分分析」レポートには、関数主成分(FPC; Functional Principal Component)の固有値が大きい方から順に記載されています。また、各FPCが説明する変動のパーセントおよび累積パーセントが、棒グラフと一緒に表示されます。平均値関数のグラフと、各成分のグラフがあります。成分のグラフには、固有関数の値が表示されます。
「関数主成分分析」レポートでモデル選択を行うと、選択した数の関数主成分を精査できます。関数主成分の次元数とBayesの情報量規準(BIC)を示すモデル選択規準統計量のプロットが表示されます。このプロットには、関数主成分の現在の次元数が縦の点線で示されています。関数主成分の数が異なるモデルでも同様の結果になる可能性があります。そのため、モデル選択規準統計量のプロットにはゾーンが表示されます。これはBIC統計量の値の範囲を示すものです。緑のゾーンと黄色のゾーンがあります。緑のゾーンは、最小BICから最小BIC+4までの範囲、黄色のゾーンは、最小BIC+4から最小BIC+10までの範囲です。デフォルトでは、緑のゾーン内にある最小数の関数主成分を持つモデルが選択されます。関数主成分の数は、縦線をドラッグすることで変更できます。縦線をドラッグすると、「関数主成分分析」レポート内の他の情報も自動的に更新されます。
メモ: これらのゾーンはプロット上で線のように狭い範囲として表示されることがあります。その場合は、Y軸をズームインすると、ゾーンが見やすくなります。
直接関数主成分分析を実行した場合は、全体の予測プロットとグリッド形式の個々の予測プロットも表示されます。個々の予測プロットのグリッドは「データ処理」レポートにある個々のプロットのグリッドと同じレイアウトであり、矢印のボタンなど同様のコントロールがあります。一度に表示できるプロットの数は20個で、ドロップダウンメニューと矢印を使って、表示する個々の予測プロットのグループを変更できます。関数主成分の数を更新すると、予測プロットも自動的に更新されます。
予測プロットでは、データ値が点としてプロットされ、また予測値の曲線が描かれています。検証セットがある場合、検証セット内の関数の予測曲線は表示されません。全体の予測プロットに描かれている曲線は、指定された数の関数主成分で、複数の関数の予測値を平均したものです。個々の予測プロットに描かれている曲線は、指定された数の関数主成分での各関数の予測値です。
メモ: モデリングされる関数が1つだけの場合には、「関数主成分分析」レポートは表示されません。また、関数主成分分析を実行したけれど計算に失敗した場合、「関数主成分分析」レポートにはエラーメッセージが表示されます。
「関数主成分分析」の赤い三角ボタンのメニューには、以下のオプションがあります。
診断プロット
「予測値と実測値のプロット」と「予測値と残差のプロット」の表示と非表示を切り替えます。これらのプロットは、選択された数の関数主成分でモデルがデータにどの程度あてはまっているかを評価するのに役立ちます。
スコアプロット
関数主成分スコアのスコアプロットの表示/非表示を切り替えます。「スコアプロット」の各軸にどのFPCをプロットするかは、[成分の選択]の下のリストで変更できます。FPCが1つしかない場合、関数主成分スコアは直線y = x上にプロットされ、成分を変更するためのリストは表示されません。スコアプロットは、他の関数とは異なった傾向をもつ関数を見つけ出すのに役立ちます。外れ値となっている点の関数は、他の関数とは異なった傾向になっている可能性があります。スコアプロット内の点を選択すると、関数主成分プロファイルがその関数のスコアに設定されます。
ヒント: スコアプロットの点の上にカーソルを置くと、ID変数のその水準に対する、あてはめた曲線の予測プロットが表示されます。
関数主成分プロファイル
関数主成分スコアの表示/非表示を切り替えます。関数主成分プロファイルには、入力変数の列と各関数主成分スコアの列が含まれます。指定された各目標関数について、それぞれ追加のプロファイルが2つあります。1つは目標関数からの差異を表し、もう1つは目標関数からの積分誤差を表します。「関数主成分プロファイル」の赤い三角ボタンのメニューの詳細については、『プロファイル機能』のプロファイルを参照してください。
関数主成分の次元数を変更
関数主成分分析に表示する関数主成分スコアの数を指定します。また、このオプションで関数主成分スコアの数を指定すると、「関数の要約」レポートが更新されます。