MaxDiff法は、選択実験データに対する統計手法です。MaxDiff法は、「最良-最悪スケーリング」Best-Worst Scaling (BWS)とも呼ばれています。MaxDiff法の実験では、複数の選択肢から最良のものと最悪のものを回答者に選んでもらいます。MaxDiff 法では、好きなものだけを選んでもらった実験に比べ、選好についてより詳しい情報が得られます。MaxDiff法については、Louviere et al.(2015)を参照してください。選択モデルの背景については、Louviere et al.(2015)、Train(2009)、Rossi et al.(2005)を参照してください。
MaxDiffモデルは、「各自の効用に基づいて、いずれかの選択肢を確率的に人々は選択している」と仮定しています。一つひとつの選択肢に、その人にとっての価値(効用)があると仮定しています。MaxDiff法は、その効用を推定します。推定された効用に基づいて、ある選択肢が他の選択肢より好まれる確率も推定できます。モデルとしては、条件付きロジスティック回帰が仮定されます。McFadden(1974)を参照してください。
メモ: 1因子のMaxDiff調査は、「MaxDiff計画」プラットフォームで計画することができます。『実験計画(DOE)』のMaxDiff計画を参照してください。
マーケットリサーチ(市場調査)では、選好のパターンによって、消費者(被験者)をグループに分けたい場合があります。しかし、通常のモデルで被験者ごとのパラメータ推定値を求めるには、被験者1人あたりに多くのデータが必要です。被験者1人あたりに多くのデータがあるなら、被験者IDを「応答データ」セクションで[By]変数に指定するか、被験者IDをモデル項として含めることができます。ただし、後者の方法は、被験者数が多いと計算が難しくなります。これに代わる統計手法として、統計学の文献では、Bayesモデルや混合モデルなどが提案されています。
[By]変数が指定できるほどのデータがない場合は、[被験者ごとの勾配を保存]オプションを使って被験者をクラスターに分け、セグメント化することができます。このオプションは、ヘッセ行列で尺度化した各パラメータの傾きを被験者ごとに平均し、新しいデータテーブルに表示します。例として、セグメント化の例を参照してください。傾きの値の詳細については、勾配を参照してください。
MaxDiff法では、階層型Bayesモデルを使って被験者効果を推定することもできます。このBayes法による統計分析も、マーケットのセグメント化に役立ちます。