検出力とは、特定の大きさをもつ効果を検出できる確率のことです。「検出力分析」レポートは、現在の計画によって重要な効果を検出できるかどうかを評価および比較するのに役立ちます。「検出力分析」レポートは、各計画について、「モデル」の効果に対する検定の検出力を計算します。
個々のモデルパラメータと効果全体に対する検定の検出力が計算されます。なお、このレポートには、「検出力プロット」と「標本サイズと検出力」プロットも表示されます。
検出力は、実験の回数、有意水準、誤差分散などによって決まります。検出力の計算方法については、検出力の計算を参照してください。
図16.20 3つの計画の「検出力分析」アウトライン
図16.20は、異なる実験回数の計画で作成された3つの計画の「検出力分析」アウトラインです。この例では、「モデル」に2つの2因子間交互作用も追加しています。
検出力の計算には「有意水準」や「RMSEの予想値」の設定も使われます。それらの数値を変更すると、それらの変更した情報が検出力の計算に反映されます。また、「係数の予想値」に検出したい差に対応した係数を指定してください。「係数の予想値」に新しく指定した数値に基づいてすべての結果を更新するには、[係数の予想値に基づき変更]をクリックしてください。
有意水準
「効果なし」という帰無仮説が真のときに、その帰無仮説を誤って棄却する確率。検出力の計算結果は、値を入力するとすぐに更新されます。
RMSEの予想値
誤差の標準偏差(誤差分散の平方根)。「RMSEの予想値」を入力すると、すぐに検出力の計算結果が更新されます。
検出力の数値は、[係数の予想値に基づき変更]の下に表示されるカラーグラデーションで色付けされます。「検出力分析」の赤い三角ボタンのメニューで、色の設定を変更できます。カラーバーを参照してください。
検出力プロットの詳細については、検出力プロットを参照してください。
メモ: 比較する計画の中に、推定されるパラメータ数が実験回数を越える過飽和実験計画が含まれる場合には、「検出力分析」アウトラインには推定可能な効果だけが設定されます。
「項」の列には、モデル項が一覧表示されています。「係数の予測値」には、それらの項に対するパラメータ値が含まれます。「検出力」の列に含まれている値は、「係数の予想値」が真の係数の値であるときの、「係数が0である」という帰無仮説に対する検定の検出力です。
項
検定される係数に対応しているモデル項の名前。
係数の予想値
モデル項に対応している係数の値。この値は、検出力の計算に使われます。「係数の予想値」列に新しい値を入力し、[係数の予想値に基づき変更]ボタンをクリックすると、「検出力」の計算結果が更新されます。
メモ: 「係数の予想値」のデフォルト値は、連続尺度の効果に対しては、1です。カテゴリカルな効果に対しては、1と-1が交互に現れます。
検出力
指定した「係数の予想値」が真の係数の値である場合に、「効果はない」という帰無仮説を棄却できる確率。
– 連続変数の主効果に対しては、低値と高値における応答平均の差は、係数に2を掛けた値です。
– カテゴリカル因子の係数の場合、因子の全水準における(モデルに基づく)応答平均の変化は、係数の予想値の絶対値に2を掛けた値になります。カテゴリカル因子の検出力については、3水準以上のカテゴリカルな効果に対する検定を参照してください。
検出力の計算には、「有意水準」と「RMSEの予想値」も考慮されます。検出力の計算については、1つのパラメータに対する検出力を参照してください。
係数の予想値に基づき変更
「係数の予想値」列に新しい値を入力し、[係数の予想値に基づき変更]ボタンをクリックすると、「検出力」の列が更新されます。
3水準以上のカテゴリカルな効果がモデルに含まれている場合は、[係数の予想値に基づき変更]ボタンの下に次の列が表示されます。
効果
カテゴリカルな効果の名前。
検出力
「効果がない」という帰無仮説に対する検定の検出力。なお、この帰無仮説は、「因子のすべての水準において、応答平均は等しい」、つまり、「効果に関係するすべてのモデルパラメータはゼロである」というものです。検出したい応答平均の差は、「係数の予想値」列によって決められます。「係数の予想値」によって定義された応答平均の差をもとに、検出力が計算されます。
検出力の計算には、「有意水準」と「RMSEの予想値」も考慮されます。検出力の計算については、カテゴリカルな効果に対する検出力を参照してください。
「検出力プロット」には、「検出力分析」から得た検出力の値がグラフで描かれます。このグラフは、各効果の検出力を横並びの棒グラフで描いたものです。
図16.21 3つの計画の検出力プロット
図16.21の「検出力プロット」は、異なる実験回数の計画で作成された3つの計画の主効果に関するものです。
「標本サイズと検出力」プロットは、比較する計画の実験回数が異なる場合のみ表示されます。モデルの各効果において、標本サイズが検出力に及ぼす影響がわかります。「検出力プロット」のグラフと同様の情報ですが、異なる形式で情報を描きます。「標本サイズと検出力」プロットでは、整数の標本サイズに対して、検出力が折れ線で描かれています。
図16.22 3つの計画の「標本サイズと検出力」プロット