[多重比較]オプションを選択したときの多重比較の方法のひとつとして、[すべてのペアの比較 – 同等性検定]があります。このオプションは、実質的に同等とみなせる範囲に平均差が収まっていることを調べます。このオプションを選択すると、同等性検定が行われます。実質的に意味がある範囲内に平均差があることを検証したい場合には、同等性検定が役立ちます。この検定においては、まず、特定の閾値を設定します。そして、その閾値内に母平均の差が収まっている場合には「母平均は実質的に等しい」と見なします。つまり、2つのグループの母平均の差が閾値以下である場合は、それらは同等であると見なします。
ダイアログで閾値を設定して分析を実行すると、「同等性検定」レポートが表示されます。指定した閾値は、レポートの上部に表示されます。レポートは、同等性検定の表とグラフで構成されます。同等性検定と信頼区間は、Studentのt分布に基づいて計算されています。
同等性検定には、2回の片側検定法(TOST metod; Two One-Sided Tests metod)を用いています(Schuirmann, 1987)。この方法では、「真の差は、閾値を超えている」という帰無仮説を検定します。検定には、プールした分散に基づく片側t検定を2回、行います。2回の検定が両方ともこの帰無仮説を棄却すれば、「母平均の差は、上限値と下限値のどちらの閾値も超えていない」とみなします。そして、「母平均の差は実質的に等しい」とみなします。どちらか一方だけしか棄却されなかった場合、または、どちらの検定も棄却されなかった場合は、統計的に有意ではありません(「同等である」とは主張できません)。
「TOST検定」レポートには、各比較について次の情報が表示されます。
差
平均の差の推定値。
下限値t値、上限値t値
閾値の下限値および上限値に対する片側t検定のt値。
下限値p値、上限値p値
閾値の下限値および上限値に対する片側t検定のp値。
最大p値
2つの片側t検定のp値のうち大きい方の値。
下側90%、上側90%
平均の差に対する1−2a信頼区間の下限および上限。
判定
指定した有意水準に対する仮説検定の判定。
この散布図では、実質的な同等性に関して、有意な比較と有意でない比較を色分けして示します。このプロットは、ディフォグラム(diffogram)や、平均-平均散布図(mean-mean scatterplot)などとも呼ばれています。
図には、対角線と、影のついた帯が描かれます。対角線から帯までの領域が、実質的に差がないとみなす範囲(実質的に同等であるとみなす範囲)を表しています。線分上の中点の座標は、差の点推定値を表しています。対角線上に3つ目の軸があると見なすことができ、各線分は、差に対する1-2α信頼区間を表しています。これらの点にカーソルを置くと、グループ名と差の推定値を示したツールヒントが呼び出されます。対角線上の帯の中に完全に線分が含まれている場合、平均が実質的に同等であることを示しています。
同等性検定の散布図には次のオプションがあります。
参照線の表示
散布図上の点の参照線を表示します。散布図の点が多い場合、これは推奨できません。カーソルを点の上に置くとツールヒントに比較対象が表示されます。点が多い場合にはこちらを推奨いたします。
フォレストプロットには、平均の差または標準偏差の比に対して、比較の信頼区間がプロットされます。この区間は、平均の差また標準偏差の比の尺度でプロットされます。また、同等の区間が色分けで示されます。
ヒント: 点にマウスポインターを置くと、比較対象のグループと、差または比の推定値が表示されます。
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