「最小2乗法によるあてはめ」レポートの[多重比較]オプションを用いると、ある群と別の群との平均を比較し、その差の信頼区間を求めることができます。多重比較法の目的は、複数の平均差を比較すると全体において第1種の誤りを犯す確率が大きくなるので、その多重性を調整することです。[多重比較]オプションでは、全体平均との比較(ANOM型の比較)や、コントロール群との比較(Dunnett型の比較)が行えます。また、すべてのペアを比較する検定として、TukeyのHSD検定とStudentのt検定が行えます。また、同等性検定も行えます。同等性検定では、実質的にゼロとみなす差を指定する必要があります。
Studentのt検定および同等性検定は、1つ1つの比較の第1種の誤りしか制御しません。そのため、これらの検定は、「多重比較」の手法とはいえないでしょう。Studentのt検定および同等性検定以外の手法は、比較全体における第1種の誤りを制御します。言い換えると、Studentのt検定および同等性検定以外の手法は、p値や信頼区間の計算において、多重性を調整しています。
名義尺度や順序尺度の効果に対しては、[最小2乗平均の推定値]を使って比較するか、または[ユーザ定義の推定値]を使って特定の比較を定義できます。連続尺度の効果に対しては、[ユーザ定義の推定値]しか使えません。
ヒント: [最小2乗平均の推定値]は、連続尺度の効果には使えません。各水準の最小2乗平均を比較したいのであれば、そして、その因子の水準数が少ないのであれば、連続尺度ではなく、順序尺度(または名義尺度)にして再分析するのも1つの手でしょう。
ここでは、次のようなトピックを扱います。
• 全体平均との比較
• 同等性検定