ここでは、測定システム分析計画を作成して、使用している測定システムに測定装置(instrument)や測定者(operator)に起因するばらつきがどれほど生じているかを調べます。実験室が3つあり、それぞれに重量計があります。各実験室で、2人の測定者が調査に参加します。測定対象として標準的な部品を5種類用意しました。それぞれの測定者に両方の重量計を使って各部品を6回ずつ測定してもらいます。
1. [実験計画(DOE)]>[特殊な目的]>[測定システム分析計画]を選択します。
2. 「N個の因子を追加」に「3」と入力し、[因子の追加]をクリックします。
3. 「X1」という名前を「Part」(部品)に変更し、「MSA 役割」の「なし」をクリックして[部品]に変更し、「水準の数」列に「5」と入力します。
4. 「X2」という名前を「Operator」(測定者)に変更し、「MSA 役割」の「なし」をクリックして[オペレータ]に変更し、「水準の数」列に「2」と入力します。
5. 「X3」という名前を「Lab」(実験室)に変更し、「MSA 役割」の「なし」をクリックして[ゲージ]に変更し、「水準の数」列に「3」と入力します。
6. 「反復の回数」ボックスに「5」と入力します。
反復の回数を5とした場合、1組の組み合わせに対して6回の測定が行われることになります(つまり、全部での測定数は180回となります)。
7. 「実験の反復方法」は「完全無作為化」のままにします。
図26.2 因子設定
8. 「因子水準の表示」(「因子」セクションにあるチェックボックス)をオンにします。
9. 因子の値をFigure 26.3のように編集します。
図26.3 因子の値
メモ: 乱数シード値(step 10)を設定すると、この例の計画と診断統計量が再現されます。
10. (オプション)「測定システム分析」の赤い三角ボタンのメニューから[乱数シード値の設定]を選択し、「123」とタイプします。
完全交差モデルを作成するには、[計画の作成]をクリックします。計画の構造を指定しなかった場合、完全交差モデルが採用されます。この例では、測定者は1つの実験室で作業を行い、部品は各実験室に固有であるため、測定者と部品が実験室の中で枝分かれする計画を指定します。枝分かれ計画、または枝分かれした交差計画を指定するには、プラス印のボタンを使って項をモデルに加えます。
11. プラス印のボタンをクリックして[Lab](実験室)を選択します。
12. 「Lab」のボックスにあるプラス印のボタンをクリックし、[Operator](測定者)を選択します。
13. 「Lab」のボックスで「Operator」の右側にあるプラス印のボタンをクリックし、[Part](部品)を選択します。
これにより、実験室から部品と測定者が枝分かれし、それら部品と測定者は交差するモデルが作成されます。
図26.4 測定システム分析計画の構造
14. [計画の作成]をクリックします。
メモ: [テーブルの作成]をクリックすると、データを収集するためのデータテーブルが生成されます。計画のデータテーブルに含まれる分析用スクリプトについては、測定システム分析計画のデータテーブルを参照してください。
15. 下方向にスクロールして「計画の診断統計量」セクションを表示し、グレーの開閉アイコンをクリックします。
「計画の診断統計量」レポートには、1,000回のシミュレーションに基づいたGauge R&R推定量とEMP推定量が表示されます。これらの推定値を使って、測定システム分析計画が評価されます。
16. 「分散成分推定量の振る舞い」のグレーの開閉アイコンをクリックしてレポートを開きます。
図26.5 測定システム分析計画の診断統計量
17. 診断統計量は、乱数シミュレーションに基づいています。各因子の平均2乗を乱数によって生成し、そこから診断統計量を求めています。そのため、実行する度に、診断統計量の結果は少し異なってきます。各因子のシミュレーションの設定に変更を加え、計画の診断統計量にどのように影響するかを調べることができます。
メモ: 診断統計量は、完全無作為化計画(completely randomized design)に基づいて計算されます。しかし、現実において測定システム分析を実施する際には、完全にランダムな順番ではなく、何かしらの順番に従って反復を行わなければならない場合もあるでしょう。