両側CUSUM管理図を解釈するには、点を、Vマスクとして描かれている決定限界の線と比較します。Vマスクは、V字を横に寝かせた形で、両側CUSUM管理図に描かれています。このV字形は決定限界を示しています。最も新しくプロットされた点を原点として、そこから横軸上を戻るように線が引かれます(Figure 14.9)。データが収集されるにつれて一連の累積和が更新され、原点が新しい点に移動します。
メモ: VマスクCUSUM管理図の例も参照してください。
図14.9 両側CUSUM管理図のVマスク
平均がシフトすると、CUSUM管理図上では点の傾きが変化するので、平均がシフトしたことがすぐにわかります。傾きが変化している点がシフトの生じた点です。前にプロットされた点の中にVマスクの上下にはみ出ているものがあるときは、工程が管理外であると判断できます。下の線から点がはみ出ている場合は、平均が上昇していることを示し、上の線から点がはみ出ている場合は、平均が下降していることを示します。
CUSUM管理図と、通常のShewhart管理図には、次のような違いがいくつかあります。
• 通常の管理図では、点が、そのサブグループ内の情報だけに基づいてプロットされます。CUSUM管理図の点には、以前に取ったすべてのサブグループ(現在のものも含む)の値が影響しています。
• 通常の管理図では、管理外であることを示す点があるかどうかを判断するのに、管理限界を示す水平な線を基準にします。CUSUM管理図では、Vマスクか、水平線で決定限界が描かれます。
• 通常の管理図では、管理限界として3sの値を設定するのが標準的です。CUSUM管理図では、決定限界は平均連長で決まります。
CUSUM管理図は、工程平均における小さなシフトを検出する際により効果的です。Vマスクでは、1sのシフトを通常の管理図に比べて4倍の速度で検出できると言われています(Lucas 1976)。