「カスタム計画」プラットフォームを使って配合物の配合計画を作成します。
ケーキに使う材料について調べてみましょう。ケーキに使う粉類は、小麦粉・砂糖・ココアです。また、液体は、牛乳・溶かしバター・卵です。液体と粉類は、最初は別々に混ぜ合わせ、後で一緒にするため、2つの配合物と考えることができます。Table 5.1に、実験に用いる因子と、それらの因子の範囲を示します。
配合 |
材料 |
下限と上限 |
---|---|---|
粉類 |
ココア |
0.1 - 0.2 |
砂糖 |
0 - 0.15 |
|
小麦粉 |
0.2 - 0.3 |
|
液体 |
バター |
0.1 - 0.2 |
牛乳 |
0.25 - 0.35 |
|
卵 |
0.05 - 0.20 |
粉類(ココア・砂糖・小麦粉の混合物)が全体の45%、液体(バター・牛乳・卵の混合物)が55%を占めることがわかっています。
メモ: 粉類および液体の制約があるため、配合モデルに6つの因子すべてを含めると、モデルに特異性が生じます。
この実験の目的は、「味」の評価を最大にすることです。「味」は、10を最もおいしいとして、1~10の10段階で評価されます。
主効果モデルをあてはめるために、実験回数10回の計画を作成します。粉類全体と液体全体の割合が固定されているので、特異性を回避するために、「モデル」セクションで5つの因子のみを含めます。どの因子を含めるかは自由です。
この例は、2つの節に分かれています。
• 計画の作成
• 実験結果の分析
1. [実験計画(DOE)]>[カスタム計画]を選択します。
2. 「応答名」の欄の「Y」をダブルクリックして、「味」と入力します。
「目標」はデフォルト値の[最大化]となっています。ここでは、「味」の評価を最大化したいので、このままにします。
3. 「下側限界」の欄をクリックして「0」とタイプします。
最も望ましくない評価は0です。
4. 「上側限界」の欄をクリックして「10」と入力します。
最も望ましい評価は10です。
5. 「重要度」の欄は空白にしておきます。
応答が1つだけなので、デフォルトで、その応答に重要度1が割り当てられます。
6. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Cake Factors.jmp」を開きます。
7. 「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[因子のロード]を選択します。
図5.54 設定後の「応答」および「因子」
因子がすべて配合因子であることに注目してください。実験の設定範囲を定義する値は、因子によって異なります。
8. 「因子の制約を定義」セクションで、[線形制約を指定]を選択します。
9. 「線形制約」パネルで、[追加]を2回クリックします。
10. Figure 5.55のとおりに制約を入力します。
図5.55 因子の制約を定義
ここで、2つ目の制約は、「ココア」、「砂糖」、「小麦粉」の因子の合計が0.45以上であると指定しているのと同義です。このように2つの制約を指定すると、「ココア」、「砂糖」、「小麦粉」の因子が全体のちょうど45%を構成し、液体の因子が残りの55%を構成するようになります。
11. 「モデル」セクションで、「卵」を選択し、[項目の削除]をクリックします。
先ほど指定した等号制約があるため、6つの効果を含むモデルの計画行列は特異になってしまいます。
12. [ユーザ定義]の横のボックスに「10」と入力します。
今回の実験では、10個のケーキを焼きます。
メモ: 乱数シード値(step 13)と開始点の数(step 14)を設定すると、以下の数値例と同じ実験設定が得られます。同じ結果でなくても良い場合は、これらの手順は不要です。
13. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「12345」と入力して[OK]をクリックします。
14. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンのメニューから[開始点の数]を選択し、「40」と入力して[OK]をクリックします。
15. [計画の作成]をクリックします。
因子に対するいくつかの制約は等号制約と等価で、モデル効果を慎重に選ばなければ、計画が特異になる可能性があるという警告が表示されます。粉類全体の割合は意図的に45%に制約しているので、今回はこの警告を気にしなくて構いません。
16. [OK]をクリックして、警告を閉じます。
17. [テーブルの作成]をクリックします。
図5.56 配合物の配合計画
粉類(「ココア」、「砂糖」、「小麦粉」)の割合を合計すると45%になり、液体(「バター」、「牛乳」、「卵」)の割合を合計すると55%になります。また、これらの割合は、「因子」セクションで指定された上側限界と下側限界の範囲内にあります。
「Cake Data.jmp」サンプルデータに、この実験の結果が含まれています。計画のデータテーブルには、「モデル」スクリプトが含まれています。このスクリプトを実行すると、「モデルのあてはめ」ウィンドウが開き、「実験計画(DOE)」の「モデル」セクションで指定した5つの主効果が表示されます。計画の「モデル」セクションには、「卵」の主効果が含まれていない点に注目してください。卵の水準は、他の5つの因子の設定と、粉類の制約に基づいて決まります。このスクリプトは、データテーブルの作成時に保存されたものです。
1. 「Design Experiment」フォルダにある「Cake Data.jmp」サンプルデータを開きます。
2. 計画のデータテーブルにおけるテーブルパネルで、「モデル」スクリプトの横にある緑の三角ボタンをクリックします。
「卵」の主効果は含まれていません。モデルの特異性を回避するため、「カスタム計画」ウィンドウの「モデル」セクションで「卵」は除外されています。5つの効果は、「応答曲面」と「配合」の効果として指定されています。
3. [実行]をクリックします。
与えられた制約に対する実現可能な解がないため、プロファイルは表示されないという警告が表示されます。
4. [OK]をクリックして、警告を閉じます。
「パラメータ推定値」レポートから、「砂糖」と「小麦粉」が0.05の水準において有意であることがわかります。
図5.57 「パラメータ推定値」レポート