公開日: 09/19/2023

「正規プロット」レポート

「最小2乗法によるあてはめ」レポートの「正規プロット」タイトルバーの下で、[正規プロット]または[半正規プロット](Daniel 1959)のいずれかを選択できます。両プロットとも、効果の希薄性、つまり、わずかな因子だけが重要で効果があるという前提に基づいています。その前提に基づき、重要でない効果はランダムな誤差として、それらから疑似標準誤差(PSE; Pseudo Standard Error)が計算され、プロットが作成されます。大きさが小さいほうのパラメータ推定値を使って分散(s2)の近似値が求められ、そこからPSEが算出されます。JMPでは、分析対象のデータセットからブートストラップ標本を10,000個使ってPSEの分布をシミュレーションするという方法で、重要な効果を選択しています。正規確率プロットにおいて、重要でない効果は傾きがsの直線付近にプロットされ、重要な効果はその直線から離れた位置にプロットされます。

メモ:

稀薄性の前提が成立しておらず、重要な効果が多数ある場合、正規プロットによっては、重要な効果のいくつかを検出できにくくなります。

非常に大きい効果が1つある場合、それ以外の効果は小さいと見なされます。

正規プロットは、完全実施要因計画または標準の一部実施要因計画を前提としています。それ以外の計画では、曖昧な結果になりやすいです。

大きな効果を視覚的に特定する方法としては、正規プロットのほかにも、効果のパレート図があります。

正規プロット

パラメータ推定値を変換する必要がない場合、正規プロットの縦軸は推定値、横軸は正規分位点です。重要でない効果の点は、傾きがsの直線の近くにプロットされます。sの推定値としてはLenthの疑似標準誤差が使用され、それに対応した直線は青色で描かれます。

直交化の変換が適用された場合、縦軸は正規化された推定値です。これらの値は、「パラメータ推定値の母集団」レポートにある「直交t値」です(「直交t値」は、直交化された推定値を、コード化されたスケールのLenthの標準誤差で割ったものです)。

t値スケールの推定値は、正規化されているため、重要でない効果に対応する点が、場合によっては、傾き1の直線にも近づくことが期待されます。傾き1の赤い直線が、Lenthの標準誤差を示す青い直線とともに、プロットに表示されます。

正規プロットの点には、「パラメータ推定値の母集団」レポートのp値に基づいて、p値が0.20以下である推定値にラベルが付けられます。

半正規プロット

半正規プロットでは、推定値そのものではなく、推定値の絶対値がプロットされます。軸や参照線は、正規プロットのものと同じ性質をもちます。

Figure 3.39は、「Bicycle.jmp」サンプルデータの「正規プロット」レポートです。この例の結果は変換を必要としません。そのため、正規プロットには生の推定値がプロットされています。青色の直線は、その傾きがLenthの標準誤差である直線です。この正規プロットからは、「ギヤ」「電動モーター」「座標位置」が重要な因子であることがわかります。

正規プロットの例

1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Bicycle.jmp」を開きます。

2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。

3. 「時間」を選択し、[Y]をクリックします。

4. 「ハンドル」から「朝食」までを選択して[追加]をクリックします。

5. [実行]をクリックします。

6. 「応答 時間」の赤い三角ボタンをクリックし、[要因のスクリーニング]>[正規プロット]を選択します。

次のような正規プロットが表示されます。

図3.39 正規プロット 

正規プロット

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).