JMPでは、「モデルのあてはめ」起動ウィンドウで回帰モデルをあてはめるときに、名義尺度の列を–1、0、1という値をもつダミー変数に変換します(名義変数をコード変換する方法には、他にもいろいろな方法が存在します。JMPで採用されている方法は、そのうちの1つです)。名義尺度の列にn個の水準がある場合、n–1個のダミー変数が必要となります(これは、名義尺度の主効果の自由度がn–1であることを意味しています)。詳細は、名義尺度の因子を参照してください。
ヒント: メインレポートの赤い三角ボタンから[列の保存]>[コーディングのテーブルを保存]を選択することにより、コーディングを表示できます。コーディングのテーブルを保存を参照してください。
4水準がある名義尺度の列を例にしましょう。「Cholesterol.jmp」サンプルデータの「処置群」の列には、「A」、「B」、「コントロール」、「プラシボ」の4つの水準があります。この場合、最初の3水準が、内部的にはダミー変数に変換されます。レポートにおいて、それらの3つのダミー変数の名前は、「処置群[A]」、「処置群[B]」、「処置群[コントロール]」とされます。
これらのダミー変数には、該当する水準には1が、最後の水準には–1が、他の水準には0が割り当てられます。Table 3.1に、4水準でのダミー変数を示します。たとえば、処置群[A]を見てみましょう。Table 3.1に示すように、このダミー変数には次のように値が割り当てられます。
• 「処置群」が「A」である行には、1が割り当てられます。
• 「処置群」が「B」や「コントロール」の行には、0が割り当てられます。
• 「処置群」が「プラシボ」の行には、–1が割り当てられます。
データの値 |
処置群[A] |
処置群[B] |
処置群[コントロール] |
---|---|---|---|
A |
1 |
0 |
0 |
B |
0 |
1 |
0 |
コントロール |
0 |
0 |
1 |
プラシボ |
-1 |
-1 |
-1 |
水準の順序は、「値の順序」列プロパティが割り当てられている場合はその順序で、それ以外の場合は、JMPによるデフォルトの順序で並べられます。デフォルトの順序は、通常、数値の場合は数字の順、文字データの場合はアルファベット順です。ただし、月の名前(「一月」、「二月」…)などは、デフォルトでも適切に並べられます。値の順序の詳細については、『JMPの使用法』の値の表示順序を参照してください。
なお、これらのダミー変数は、メモリやハードディスク上に実際のデータとして作成されるわけではありませんが、これらのダミー変数に対する推定値は「パラメータ推定値」などのレポートに表示されます。JMPで採用されている方法以外にもさまざまなコード変換が使われています。JMPの方法で求められた推定値は、実用的で解釈しやすいのが特長です。
順序尺度効果のコード変換については、順序尺度の因子を参照してください。