「混合モデル」レポートの「バリオグラム」は、観測値間の空間的な(もしくは時間的な)相関を距離(もしくは時間)で表したグラフで、準分散(semivariance)を距離(もしくは時間)の関数として描きます。準分散は、一定の距離(もしくは時間)だけ離れた位置にある応答値の差の分散を2分の1にしたものです。準分散が大きくなると、相関は小さくなります。つまり、特定の距離だけ離れた値の準分散が大きい場合、その距離における相関は小さくなります。
等方性の共分散構造([AR(1)]・[空間的構造]・[空間的構造(ナゲットあり)])を「モデルのあてはめ」ウィンドウで指定した場合、もしくは、[構造]として[残差]を指定した場合は、赤い三角ボタンのメニューから[バリオグラム]オプションを選択すると、バリオグラムの計算に使う連続尺度の列を選択することができます。データの空間的または時間的構造を表す列を、任意の数だけ含めることができます。
最初の「バリオグラム」レポートには、経験的準分散を距離に対してプロットしたグラフが表示されます。その他の背景や詳細については、先行依存共分散構造を参照してください。
バリオグラムでは、等方性の共分散構造である[AR(1)]・[べき乗]・[指数]・[Gauss]・[球型]の曲線を描くことができます。等方性の空間的構造では、ナゲットありのモデルとナゲットなしのモデルの曲線を描けます。
バリオグラムの曲線は、対応するモデルの共分散パラメータ推定値から算出されます。ここで使用されている変換式については、Chilès and Delfiner(2012)およびCressie(1993)を参照してください。
経験的バリオグラムの点と、モデルに基づいて計算された曲線を比べて、選択した共分散構造がデータにあてはまっているかどうかを判断します。なお、起動ダイアログにて[構造]として[残差]を選択した場合も、経験的バリオグラムは描かれます。経験的バリオグラムにより、データに空間的構造が見られるかどうかを判断することができます。経験的バリオグラムの点が水平線上に並んでいるならば、それは相関が距離によって左右されないことを意味しているため、無相関構造([残差]構造)が適切です。点にパターンが見られるようなら、いくつかの等方性構造のモデルをあてはめることにより、より適した反復構造を見つけられる可能性があります。
ナゲット(nugget; 塊)とは、距離がゼロの位置において、準分散がゼロではなく、ジャンプしている状態を指します。ナゲットがある場合、バリオグラムは、原点の部分においてゼロではない値となっています。距離がゼロの位置における準分散の値がナゲットです。
AR(1)
共分散構造がAR(1)であるモデルのバリオグラムを描きます。
空間的構造
共分散構造が[指数]・[Gauss]・[べき乗]・[球型]であるモデルのバリオグラムを描きます。
空間的構造(ナゲットあり)
共分散構造がナゲット付きの[指数]・[Gauss]・[べき乗]・[球型]であるモデルのバリオグラムを描きます。