決定的スクリーニング計画のデータに標準的なモデル選択手法を適用すると、重要な効果を見落とす恐れがあります。Errore et al.(2017)を参照してください。また、標準的なモデル選択手法は、決定的スクリーニング計画がもつ特有の性質を利用していません。「決定的スクリーニングのあてはめ」プラットフォームは、決定的スクリーニング計画の特性を利用した「決定的スクリーニング計画の効果的モデル選択」(Effective Model Selection for DSDs)という分析方法を採用しています。
Jones and Nachtsheim(2016)は、乱数シミュレーションによって、効果的モデル選択と標準的なモデル選択を比較しており、次のような結果が報告されています。決定的スクリーニング計画に含まれる因子と偽因子が、全部でcであるとします。応答に影響している主効果(有効な主効果)が4個以上ある場合は、ほとんどの状況で、c/2個までの有効な2次効果を確実に特定できます。また、有効な主効果が3個以下の場合は、効果間の強い親子関係(strong effect hiredity)を前提とすると、すべての有効な2次効果を確実に特定できます。ここで、「確実に特定する」とは、誤差の標準偏差よりも3倍以上の大きさをもつ効果において、その検出力が0.80を超えている、という意味です。
「決定的スクリーニングのあてはめ」プラットフォームは、効果間の強い親子関係(strong effect hiredity)を前提としています。「効果間の強い親子関係」とは、主効果AとBの両方がモデルに含まれる場合にのみ、A×Bの交互作用を含めるかどうかを考慮する、という原則です。強い親子関係を仮定した場合、ある効果がモデルに含まる場合には、その効果のすべての低次の効果もモデルに含まれている必要があります。効果的モデル選択では、効果間の強い親子関係を前提として、どの2次効果が影響しているかを特定します。確実に特定できる重要な2次効果の個数は、前述のとおりです。
決定的スクリーニング計画では、すべての2次効果は主効果とは直交しています。効果的モデル選択では、決定的スクリーニング計画におけるこの直交性を利用します。応答が分布する空間は、主効果に対応する空間と、それに直交する補空間に分けることができます。Miller and Sitter(2005)は、主効果に対応する線形空間を奇空間(odd space)と呼んでいます。なぜなら、この空間には、主効果、3因子効果、5因子効果など、奇数の効果に関する情報がすべて含まれるからです。また、奇空間に対する直交補空間を偶空間(even space)と呼んでいます。この空間には、切片、2因子効果、4因子効果など、偶数の効果に関する情報がすべて含まれます。