多変量検定では、仮説と誤差の平方和に相当するものが、単一の値ではなく、平方和と交差積和を要素とする行列の形式で表されます。仮説平方和積和行列(HまたはSSCP)が、残差平方和積和行列(E)に比べてどの程度大きいかは、いろいろな方法で測定できます。JMPでは、統計の本で広く紹介されている4つの多変量検定がレポートされます。これらの検定統計量を使って正確な検定を行う必要があるなら、文献を調べて棄却値が記載されている表を探さなければなりません。しかし、これらの4つの検定は、F分布で近似することができます。また、応答変数が計画行列によって1つの変数にまとめられる場合や、1応答あたりの効果の自由度が1である場合には、4つの検定が等しくなり、正確なF検定となります。その場合、JMPでは、統計量の列に「正確なF検定」というラベルがつき、それ以外の場合には「近似のF検定」というラベルがつきます。
ゴルフボールの例には効果が1つしかないため、「モデル全体」と「ブランド」の検定結果は同じになり、それぞれの表に近似のF検定を使った4つの多変量検定が表示されます。切片の自由度は、1応答あたり1なので、切片に対するF検定は「正確なF検定」になります(応答が2つあるため、F検定の自由度は2になっています)。
「モデル全体」、「切片」、「ブランド」という表名の隣にある赤い三角ボタンをクリックすると、さらに固有値、正準相関、重心のリスト、重心プロットなどの情報を生成するオプションが表示されます。また、[正準スコアの保存]コマンドを実行すると、正準相関のスコアが保存されます。
効果(この例では「ブランド」)の赤い三角ボタンメニューには、対比を指定するためのメニュー項目があります。
多変量検定の計算式については、第 “多変量検定”を参照してください。
検定名をリストしたもの。応答側に対する変換行列が1列しかない場合(M行列が1列しかない場合)や、効果の自由度が1応答につき1である場合は、正確なF検定が表示されます。それ以外の場合は、一般的によく使われている4つの多変量検定(WilksのΛ、Pillaiのトレース、Hotelling-Lawleyのトレース、Royの最大根)が、近似のF検定を使って行われます。
F分布から求められたp値。