指数分布・Weibull分布・対数正規分布のプロットとあてはめ
Weibull分布は、イベントまでの時間データをモデリングするための最もよく使われている分布です。Weibull分布としては、2パラメータのWeibull分布と、3パラメータのWeibull分布が有名です。「生存時間分析」プラットフォームは2パラメータのWeibull分布をあてはめます。Weibull分布の確率密度を表す式は、人によってさまざまです(Weibull分布のさまざまな表し方を参照)。JMPのレポートには2種類のパラメータ表現による結果が表示されます。1つはAlpha(α)とBeta(β)を使った「Weibullパラメータ推定値」、もう1つは最小極値分布に基づく「極値パラメータ推定値」です。
「Weibullパラメータ推定値」レポートに示されているαとβパラメータ化は、信頼性分析の文献で広く使用されています(Nelson 1990)。αパラメータは、63.2%のユニットが故障する分位点を示します。βパラメータは、時間の経過と共にハザード(瞬間故障率)がどのように変化するかを決定します。Betaが1より大きい場合、ハザードは時間の経過とともに増加します。Betaが1より小さい場合、ハザードは時間の経過とともに減少します。Betaが1の場合、ハザードは一定になります。ハザードが一定であるWeibull分布は指数分布に等しくなります。
λとδを使った極値パラメータ化は、「極値パラメータ推定値」レポートに示されています。このパラメータ化は、Weibull分布を位置パラメータと尺度パラメータで表現しているので、統計的な意味で望ましい場合があります(Meeker and Escobar 1998, p. 86を参照)。位置パラメータはλ、尺度パラメータはδです。前述のαとβを用いたパラメータ表現との関係では、λはαの自然対数に等しく、δはβの逆数に等しくなっています。したがって、δパラメータは、時間の経過と共にハザードがどのように変化するかを決定します。Deltaが1より大きい場合、ハザードは時間の経過とともに減少します。Deltaが1より小さい場合、ハザードは時間の経過とともに増加します。Deltaが1の場合、ハザードは一定になります。ハザードが一定であるWeibull分布は指数分布に等しくなります。
alpha=alpha
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beta=beta
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eta=alpha
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beta=beta
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c = alpha
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m = beta
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eta=alpha
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beta=beta
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exp(X beta)=alpha
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lambda=beta
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beta=alpha
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alpha=beta
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lambda = 1/alpha
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p = beta
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lambda=log(alpha)
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delta=1/beta
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mu=log(alpha)
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sigma=1/beta
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対数正規分布は、イベントまでの時間データをモデリングするための最も単純な分布です。対数正規分布では、値の対数をとったときの分布が正規分布になる分布です。つまり、データを指数変換したものに対数正規分布をあてはめれば、元データに正規分布をあてはめたことになります。「生存時間(パラメトリック)のあてはめ」章の「「生存時間(パラメトリック)のあてはめ」の別例」(352ページ)を参照してください。
追加のオプションを表示するには、指数分布・Weibull分布・対数正規分布の各分布をあてはめるときに、Shiftキーを押しながら「Kaplan-Meier法によるあてはめ」タイトルバーの赤い三角ボタンをクリックし、希望のあてはめをクリックします。
図13.6 信頼率の等高線図
JMPでは、指数分布をあてはめるときはθ、Weibull分布をあてはめるときはβ、対数正規分布をあてはめるときはσの各値を、特定の値に固定することができます。この機能は、以下のようなWeiBayesと呼ばれる状況で利用できます。
WeiBayes状況の詳細については、Abernethy(1996)を参照してください。