ある中規模のコーヒー豆焙煎所が、別々の方法でドリップした12杯のコーヒーについて、それらの濃度の違いを調べようとしています。この実験の目標は、コーヒーの濃度に影響している因子を探し出し、それらの因子の最適な設定を探し出すことです。
応答は、コーヒーの「濃度」です。この濃度は、屈折計を用いて測定された総溶解固形分(TDS; Total Dissolved Solids)です。コーヒーは、カップ用フィルターでドリップし、ドリップから5分後に測定を行います。
既存の研究から、濃度が1.3のコーヒーが最適であることがわかっていますが、1.2 ~ 1.4なら許容範囲です。
既存の研究において、「挽き」、「温度」、「時間」、「豆の量」という4つの因子が特定されています。コーヒーは、3カ所の作業場所でドリップします。場所のばらつきを考慮に入れるため、「場所」をブロック因子として調査に加えました。以下は、因子についての説明です。
• 「挽き」は挽きの粗さで、水準は「Medium」(中)と「Coarse」(粗い)の2つです。
• 「温度」はコーヒー粉に注ぐ直前のお湯の温度(華氏)で、華氏195度と205度に設定します。
• 「時間」はドリップの時間(分)で、設定値は3分または4分です。
• 「豆の量」は円錐型のフィルターに入れるコーヒー粉の量で、水1オンスあたりの量(グラム)です。設定値は1.6と2.4です。
• 「場所」は、コーヒーをドリップする場所で、1、2、3とラベリングされています。
表3.1は、因子とその設定をまとめたものです。これらの因子と水準は、「Design Experiment」フォルダ内の「Coffee Factors.jmp」サンプルデータに保存されています。
因子 |
役割 |
設定の範囲 |
---|---|---|
挽き |
カテゴリカル |
Medium(中)、Coarse(粗い) |
温度 |
連続変数 |
195 - 205 |
時間 |
連続変数 |
3 - 4 |
豆の量 |
連続変数 |
1.6 - 2.4 |
場所 |
ブロック |
1, 2, 3 |
次の点を確認してください。
• 「挽き」は、2水準のカテゴリカル因子です。
• 「温度」、「時間」、「豆の量」は連続尺度の因子です。
• 「場所」は、3水準のブロック因子です。
実験を1回行うごとに、すべての因子の設定はリセットされます。この実験には、変更が困難な因子はありません。
実験で使用する器具を図3.3に示します。これは、ある場所での実験器具です。他の2つの場所でも同様の器具を使います。
図3.3 コーヒーの実験器具
使用可能なリソースと時間を考慮し、全部で12回の実験を行うことにしました。ドリップする場所は3カ所なので、各場所で4回ずつ実験を行うことになります。