この例では、射出成形工程によって製造された部品の収縮について調べます。「Design Experiment」フォルダにある「Thermoplastic.jmp」サンプルデータには、この実験で使用する原料(熱可塑性物質)の25個のバッチが一覧されています。各バッチについて、材料の比重と抗張力を共変量として測定されています。3番目の共変量である「供給業者」もわかっています。
ここで調べたいのは、制御可能な因子である温度(型温)、速度(スクリューの速度)、時間(押している時間)が、収縮に及ぼす影響です。ただし、3つの共変量(「比重」、「抗張力」、「供給業者」)の影響についても調べるつもりです。リソースの都合で、実験回数は12に限られます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Thermoplastic.jmp」を開きます。
2. [実験計画(DOE)]>[カスタム計画]を選択します。
3. 「応答名」の欄の「Y」をダブルクリックして、「収縮」と入力します。
4. 「目標」の欄の[最大化]をダブルクリックして、[最小化]に変更します。
5. [因子の追加]をクリックし、[共変量]を選択します。
6. リストから「比重」、「抗張力」、「供給業者」を選択し、[OK]をクリックします。
これらは、共変量であるため制御できません。
7. 「N個の因子を追加」の右側のボックスに「3」と入力します。
8. [因子の追加]>[連続変数]を選択します。
9. 連続変数の因子の名前を、それぞれ「温度」、「速度」、「時間」に変更します。
これらの因子は制御可能です。
図5.62 「応答」および「因子」アウトライン
10. [続行]をクリックします。
「実験の回数」には、共変量の値の行数が入力されています。共変量が測定済みであるバッチは25個あります。
11. 「実験の回数」の横に「12」と入力します。
注: 乱数シード値(ステップ12)と開始点の数(ステップ13)を設定すると、以下の数値例と同じ実験設定が得られます。同じ実験設定でなくても良い場合は、これらの手順は不要です。
12. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「84951」と入力して[OK]をクリックします。
13. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンのメニューから[開始点の数]を選択し、「40」と入力して[OK]をクリックします。
14. [計画の作成]をクリックします。
図5.63 実験数が12の最適計画
作成された計画は、指定された共変量の値を使ったD-最適計画になっています。共変量と制御可能な3つの因子に関して最適な設定が選ばれています。
1. 「計画の評価」>「相関のカラーマップ」アウトラインを開きます。
図5.64 相関のカラーマップ
主効果に相当する7つの項が、カラーマップの左上に表示されます。7つの項が直交に近いことに注目してください。相関の絶対値が最も大きいのは、「抗張力」と「供給業者2」の相関です。ただし、この相関の絶対値、約0.43は、与えられているデータの共変量の値から求めたものです。(図5.64は、JMPのデフォルトの色を使用しています。)