「適合度統計量」レポートには、複数のモデルを比較するのに役立つ統計量が表示されます。どの統計量も、基本的には、値が小さいほどモデルが優れていることを示しています。2つのモデルを比較するとき、一方のモデルが他方のモデルに内包されている場合は、それらのモデル間で尤度比検定を行えます。そうでない場合は、尤度の比較は慎重に行わなければいけません。例として、空間モデルのあてはめを参照してください。
「適合度統計量」レポートの説明では、次の表記法を使用しています。
• 混合モデルを、次のような記号で表します。
ここで、yは観測された応答値を含むn×1のベクトル、bは固定効果パラメータのベクトル、gは変量効果のベクトル、eは誤差のベクトルです。
• ベクトルgとベクトルeは、次のような多変量正規分布に従うと仮定されます。
および
• これらの仮定に基づくと、yの共分散行列は次式のようになります。
(-2)*残差対数尤度
残差対数尤度をマイナス2倍したもの。これが反復計算の目的関数として使われています。
上式において残差は、次のように計算されています。
また、pはXのランクです。この残差対数尤度は、固定効果の部分が同じで、変量効果や誤差共分散構造だけが異なるモデルでしか、モデルの比較に使えません。尤度・AICc・BICを参照してください。
(-2)*対数尤度
対数尤度をマイナス2倍したもの。尤度・AICc・BICを参照してください。
対数尤度は、残差対数尤度とは異なり、固定効果、変量効果や誤差共分散構造だけではなく、固定効果が異なるモデルでも、モデルの比較に使えます。
AICc
修正済みの赤池の情報量規準。尤度・AICc・BICを参照してください。
BIC
ベイズ情報量規準。尤度・AICc・BICを参照してください。
モデルの収束に問題がある場合、適合度統計量の下に警告メッセージが表示されます。この警告メッセージには、収束の問題に関して考えられる原因と解決法が示されています(図8.11)。また、最終反復での相対的な勾配に対する検定も表示されています。この検定が有意でない場合、モデル自体は正しいのかもしれませんが、それにも関わらず反復計算は収束しなかったことを示唆しています。そのような場合は、注意しながらも、現在のモデルや結果を用いることができるかもしれません。収束スコア検定を参照してください。
図8.11 収束スコア検定