Space Filling計画は、決定論的な(またはそれに近い)データに対してモデルを作成する場合に役立ちます。決定論的データの一例は、コンピュータによるシミュレーションです。コンピュータ実験では、多変数間に存在するさまざまな相互関係を示す複雑なモデルに基づき、データをシミュレートします。このようなコンピュータ実験を計画する場合、限られた因子範囲でシステムの振る舞いが予測でき、かつ比較的単純な実験モデルを作成することが実験目的となります。
データにノイズ(ランダムな誤差)が存在する場合なら、予測値の分散を最小化することが実験の目標になります。決定論的システムの実験では、ノイズによるデータのばらつきはありませんが、バイアス(偏り)は生じます。バイアスとは、近似モデルと真の数学的関数との差を指します。Space Filling計画の目標は、バイアスを小さくすることです。
そのようなバイアスを小さくする1つの実験計画は、計画点をできる限り拡散させ、実験の境界を超えない範囲で2点間の距離を最大にするような計画です。もう1つの実験計画は、対象とする領域全体に点を一様に配置する計画です。
[Space Filling計画]には、次のような手法が用意されています。
球の詰め込み
2つの計画点の間の最短距離が最大化されます。球の詰め込み法および試錘孔データで球の詰め込み計画を作成するを参照してください。
ラテン超方格法
各因子の水準を均一にするという制約のなかで、計画点の間の最短距離が最大化になるように配置します。この手法では、一様分布を模倣した計画が作成されます。ラテン超方格法は、球の詰め込みと一様計画の中間にあたります。ラテン超方格法を参照してください。
一様
計画点の分布と理論上の一様分布とのディスクレパンシを最小化します。詳細については、一様計画を参照してください。
最小ポテンシャル
球面内に点を拡散します。詳細については、最小ポテンシャル計画を参照してください。
最大エントロピー
データの分布における情報量をもとに計画を作成します。詳細については、最大エントロピー計画を参照してください。
Gauss過程 IMSE最適計画
Gauss過程モデルの平均2乗誤差を実験領域で積分した値が最小になるような計画を作成します。詳細については、Gauss過程 IMSE最適計画を参照してください。
高速柔軟充填計画
高速柔軟充填法は、まず、計画空間内にランダムに点を散りばめて、そこからクラスターを形成します。そして、これらのクラスターをもとに、最適化基準に則って計画点を選択します。高速柔軟充填法だけが、カテゴリカルな因子を扱うことができます。また、この手法だけが、線形制約や許可しない組み合わせを指定できます。高速柔軟充填計画および制約を指定した高速柔軟充填計画の作成と表示を参照してください。
注: 実験数が500以下の場合は、Gauss過程モデルがデータテーブルに保存されます。実験数が500を超えている場合は、ニューラルネットワークモデルがデータテーブルに保存されます。