この節では、最終計画から得た結果を分析します。価格などの商品属性を変更すると、消費者にとってのノートパソコンの望ましさはどのように変化するでしょうか。製品に対する望ましさを、製品の効用値(utility value)といいます。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Laptop Results.jmp」を開きます。
2. 「選択モデル」スクリプトを実行します。
図18.10 「選択モデル」起動ウィンドウ
複数の回答者を対象とした数種類の調査なので、「回答者」、「調査」、「選択肢集合」という3つのグループ変数があります。
3. [モデルの実行]をクリックします。
図18.11 ノートパソコンに関する最終計画の分析
「効果の要約」と「尤度比検定」を見ると、「ディスク容量」、「速度」、「価格」が有意水準0.05で有意となっています。「バッテリー駆動時間」は、やや有意ではありません。
次に、プロファイルを使って効用値を確認し、製品の属性を変更したときの効用値の変化を見てみましょう。
1. 「選択モデル」の赤い三角ボタンをクリックし、[効用プロファイル]を選択します。
図18.12 価格 = $1000における効用プロファイル
各属性の値を最も低いものに設定したとき、「効用」は–0.3406になります。ここで、効用1単位あたりの価格を求めることにします。
2. 「価格」のスライダを「$1,500」に動かします。
図18.13 価格 = $1500における効用プロファイル
「価格」を$1,000から$1,500に変化させると、「効用」は–0.3406から–2.3303に変化します。つまり、ノートパソコンの価格を500ドル引き上げることで、効用(望ましさ)はおよそ2単位低くなります。したがって、効用1単位あたりの価格は、およそ250ドルであると推定できます。
効用1単位あたりの価格が算出できたところで、今度は、各属性がどれだけの金額に値するかを調べてみます。たとえば、最も有意な属性である「速度」を取り上げます(図18.11)。
3. 効用プロファイルで、「価格」を1000ドルに戻してから、「速度」を2.0 GHzまで上げます。
図18.14 速度を上げた後の効用値
図18.12を見ると、「効用」の値がの-0.3406から0.9886へ、つまり1.3292単位変化することがわかります。効用1単位あたりの価格は250ドルでしたから、ノートパソコンのCPU速度を1.5GHzから2.0GHzに変えれば、価格を332.30ドル(= 250ドル × 1.3292)だけ高くすることができると推定できます。このような選択モデル分析は、さまざまな機種のノートパソコンに価格をつける際に役立ちます。CPU以外の属性についても、同じような計算が可能です。