「交絡行列」(alias matrix)は、実際には応答に対して影響があるのにモデルには含まれていない項が、モデル項の推定にどのように影響しているかを示します。「交絡項」アウトラインには、あてはめるモデルには含めないものの、モデル項の推定値にバイアス(偏り)を与える可能性がある効果を指定してください。「交絡行列」には、「交絡項」アウトラインの効果ごとに、モデルパラメータに対するバイアスの大きさが表示されます。交絡項および交絡行列の解釈についてを参照してください。
「交絡行列の要約」テーブルには、仮定したモデルの項が一覧されます。これらの項は、「モデル」アウトラインに一覧されているモデル効果に対応しています。モデル項ごとに(つまり交絡行列の行ごとに)、交絡行列における要素の平均2乗値の平方根が計算されます。この値は、計画の「平均2乗値の平方根」列に表示されます。「交絡行列の要約」の数値例の例を参照してください。
メモ: 「交絡行列の要約」レポートは、「交絡項」リストに効果が指定されている場合にのみ表示されます。
図16.27 2つの計画の交絡行列の要約
図16.27は、同じ実験回数の計画で作成された、「モデル」アウトラインに主効果だけを含む、「Plackett-Burman計画」と「決定的スクリーニング計画」の「交絡行列の要約」レポートです。「交絡項」リストには、すべての2因子間交互作用が指定されています。結果を見ると、「決定的スクリーニング計画」では、主効果は2因子間交互作用と直交していることが分かります。
「平均2乗値の平方根」は、「交絡行列の要約」表の下にあるカラーバーで示されている色で色付けされています。「交絡行列の要約」の赤い三角ボタンのメニューで、色の設定を変更できます。カラーバーを参照してください。
「交絡行列」の行の要素は、「モデル」アウトラインに一覧されているモデル項に対応します。列の項は、「交絡項」アウトラインに一覧されている効果に対応します。ある行、ある列の要素は、そのモデル項に対応するパラメータ推定値に交絡項が及ぼす影響の程度を示します。
次に示す2つの条件のいずれかが満たされていれば、パラメータ推定値におけるバイアスは小さくなります。1つ目の条件は、交絡行列における要素の絶対値が小さいことです。第2の条件は、交絡項がもつ効果が小さいことです。いずれかの条件が満たされていれば、バイアスは小さくなります。交絡項が大きな効果を持つと予想される場合は、その項をモデルに含めるか、交絡最適計画を作成することを検討してください。交絡最適計画は、交絡行列の2乗和も考慮して計画を作成します。
「交絡行列」の詳細については、交絡行列を参照してください。また、Lekivetz, R.(2014)も参照してください。
この例では、「交絡行列の要約」アウトラインの数値例を紹介します。ここでは、あてはめるモデルには主効果のみを含めるものとして、2つの計画を比較します。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータ]を選択し、[サンプルスクリプトディレクトリを開く]をクリックし、「Compare Same Run Size.jsl」を開きます。
2. スクリプトウィンドウ内で右クリックし、[スクリプトの実行]を選択します。
実験回数13のデザインが2つ作成されます。
– 決定的スクリーニング計画
– Plackett-Burman計画
ここでは、Plackett-Burman計画だけを取り上げます。「Plackett-Burman計画」テーブルのウィンドウをアクティブな状態にしてください。
3. Plackett-Burman計画のデータテーブルで、[実験計画(DOE)]>[計画の診断]>[計画の評価]を選択します。
4. 「X1」から「X6」まで選択し、[X, 説明変数]をクリックします。
5. [OK]をクリックします。
6. 「交絡項」アウトラインを開き、「交絡項」リストにすべての2因子間交互作用があることを確認します。
7. 「交絡行列」アウトラインを開きます。
この「交絡行列」表では、「効果」列のモデル項に対するパラメータ推定値に各交絡項が及ぼす影響の程度がわかります。
「交絡行列の要約」の値は、これらの平均2乗値になっています。たとえば、図16.27における「X1」の平均2乗値を求めるには、「交絡行列」の「X1」行の要素を2乗し、それらの値を平均し、そして平方根を計算します。これにより、平均2乗値として0.2722が求められます。