公開日: 11/25/2021

各列に対する詳細レポート

[各列に対する詳細レポート]オプションを選択すると、分析対象の変数ごとに、工程能力に関するレポートが作成されます。

正規分布の場合に対する詳細レポート

図7.14は、正規分布に従うデータの分析例で説明している「Semiconductor Capability.jmp」サンプルデータの「PNP1」列に対する詳細レポートです。

図7.14 各列に対する詳細レポート 

Individual Detail Report

正規分布に従う変数の「各列に対する詳細レポート」には、ヒストグラム、工程に関する要約の詳細、工程能力指数と不適合率の統計量が表示されます。ヒストグラムには、上側および下側の仕様限界、(指定されている場合は)工程の目標値、あてはめられた確率分布の密度曲線が表示されます。図7.14のヒストグラムに見られる2本の正規分布密度曲線のうち、一方は標準偏差の全体推定値、他方は標準偏差の群内推定値に基づいています。

工程に正規分布をあてはめた場合は、「工程の要約」に工程の安定性を示す「安定指数」が含まれます。安定指数は、次のように定義されます。

「全体シグマ」÷「群内シグマ」

起動ウィンドウで工程に「群間+群内シグマによる計算」が指定されている場合、その工程の安定指数は次のように定義されます。

「全体シグマ」÷「群間+群内シグマ」

安定した工程の安定指数は、1に近い値を取ります。安定指数が大きいほど、工程が安定していないことを示しています。

メモ: 安定性に関する指標の種類は、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[工程能力]で変更できます。これにより、「工程能力分析」プラットフォーム全体で使用される安定性に関する指標が変わります。

非正規分布

メモ: 非正規分布をあてはめた工程に対しては、群内シグマに基づく工程能力指数、および、安定指数は計算されません。

図7.15は、非正規分布に従うデータの分析例で説明している「Process Measurements.jmp」サンプルデータの「工程 1」列に対する詳細レポートです。

図7.15 「工程 1」の詳細レポート 

Individual Detail Report for Process 1

レポートの冒頭には、起動ウィンドウで選択した非正規分布のオプションの要約がメモとして表示されます。

非正規分布に従う変数の「各列に対する詳細レポート」には、ヒストグラム、工程に関する要約の詳細、工程能力と不適合率の統計量が表示されます。ヒストグラムには、上側および下側の仕様限界、(指定されている場合は)工程の目標値が表示されます。また、あてはめた確率分布の密度曲線がヒストグラムに重ねて表示されます。ノンパラメトリックな分布を選択した場合、分布の密度曲線はカーネル密度推定法で求められた密度です。

さらに、パラメトリックな非正規分布を選択した場合は「パラメータ推定値」、ノンパラメトリックな分布を選択した場合は「ノンパラメトリック密度」レポートが表示されます。パラメータ推定値およびノンパラメトリック密度を参照してください。

各列の詳細レポートのオプション

「各列の詳細レポート」の各変数のアウトラインには、「工程能力 <変数名>」というタイトルが付きます。ただし、非正規分布を指定した場合は、その分布名もタイトルに追加されます。

それぞれの「工程能力」レポートに赤い三角ボタンのメニューがあり、次のようなオプションが用意されています。

分布の比較

工程の分布を比較するコントロールパネルを表示します。分布の比較を参照してください。

工程の要約

各変数に関する要約統計量の表示/非表示を切り替えます。統計量としては、全体シグマの推定値が表示され、正規分布を指定した場合は群内シグマの推定値と安定指数も表示されます。起動ウィンドウで少なくとも1つの工程に対して「群間+群内シグマによる計算」を指定した場合、「群間シグマ」と「群間+群内シグマ」の推定値も表示されます。

ヒストグラム

各変数の分布を描いているヒストグラムの表示/非表示を切り替えます。「ヒストグラム」レポートにある赤い三角ボタンのメニューには、ヒストグラムに重ねて描く要素を制御する次のようなオプションが含まれます。

仕様限界の表示

ヒストグラム上で、工程の仕様限界を示す赤色の縦線を表示します。

目標値の表示

工程の目標値を示す緑色の縦線を表示します。

群内シグマ密度の表示

標本平均と群内シグマに基づく正規密度曲線を描きます。

群間+群内シグマ密度の表示

(起動ウィンドウで少なくとも1つの工程に「群間+群内シグマによる計算」が選択されている場合のみ使用できます。)標本平均と「群間+群内シグマ」に基づく正規密度曲線を描きます。

全体シグマ密度の表示

標本平均と全体シグマに基づく正規密度曲線を描きます。

度数軸の表示

ヒストグラムの右側に、観測値の度数を示す軸を表示します。

密度軸の表示

ヒストグラムの右側に、密度を示す軸を表示します。

工程能力指数

次の工程能力指数レポートの表示を制御します。

群内シグマ 工程能力

(正規分布の場合に使用できます。)群内シグマに基づく工程能力指数(と信頼区間)を表示します。

群間+群内シグマ 工程能力

(正規分布であり、起動ウィンドウで、「群間+群内シグマによる計算」が少なくとも1工程で選択されている場合のみ使用できます。)群間+群内シグマに基づく工程能力指数の表示/非表示を切り替えます。

群内シグマ Zベンチマーク

(正規分布の場合に使用できます。)群内シグマに基づくZベンチマーク指数(と信頼区間)を表示します。

群間+群内シグマ Zベンチマーク

(正規分布であり、起動ウィンドウで、「群間+群内シグマによる計算」が少なくとも1工程で選択されている場合のみ使用できます。)群間+群内シグマに基づくZベンチマーク指数の表示/非表示を切り替えます。

群内シグマ 目標指数

(正規分布の場合に使用できます。)群内(短期)シグマに基づいた目標指数の推定値の表示/非表示を切り替えます。

群間+群内シグマ 目標指数

(正規分布であり、起動ウィンドウで、「群間+群内シグマによる計算」が少なくとも1工程で選択されている場合のみ使用できます。)群間+群内シグマに基づいた目標指数の推定値の表示/非表示を切り替えます。

全体シグマ 工程能力

全体シグマに基づく工程能力指数(と信頼区間)を表示します。

全体シグマ Zベンチマーク

(正規分布の場合に使用できます。)全体シグマに基づくZベンチマーク指数(と信頼区間)を表示します。

メモ: デフォルトでは、工程能力指数の信頼区間は、a = 0.05 で求められます。デフォルトの信頼水準を変更するには、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[工程能力]を選択します。

不適合率

LSL未満・USL超え・仕様限界外となる割合の表示/非表示を切り替えます。この割合としては、観測値と予測値が計算されます。この「不適合率」表には、非表示の状態ですが、PPMと度数の列も含まれています(これらについても、観測値と予測値があります)。

対話式工程能力プロット

対話式工程能力プロットの表示/非表示を切り替えます。対話式工程能力プロットでは、1つまたは複数の要約統計量の値を変更し、それらが工程能力分析の結果に与える影響を確認できます。元と変更後について、要約統計量・工程能力指数・PPMがレポートされます。スライダやテキストボックスで、仕様限界・平均・全体シグマの元の値を変更できます。また、「平均のシフト」ボックスに元のシグマの倍数を入力して、平均をシフトさせることもできます。「対話式工程能力プロット」レポートの赤い三角ボタンには、次のようなメニューオプションがあります。

工程能力

元と変更後における工程能力指数の表示/非表示を切り替えます。

PPM

元と変更後におけるPPMの表示/非表示を切り替えます。

最初の設定に戻す

変更後の対話式工程能力プロットと要約統計量を、元の状態に戻します。

新しい仕様限界を列プロパティとして保存

元のデータテーブルの列に、新しい仕様限界を[仕様限界]列プロパティとして保存します。

メモ: [自動再計算]オプションがオンになっていない限り、新しい仕様限界を使った場合の分析は再実行されません。

パラメータ推定値

(非正規分布で、かつ、ノンパラメトリック以外のものを選択した場合に使用できます。)選択した確率分布のパラメータの推定値をまとめた「パラメータ推定値」レポートを表示します。

Johnson分布族を除くすべての分布で、最尤法を使った推定が行われます。Johnson分布族のあてはめの詳細については、Johnson分布の推定法を参照してください。

正規分布・ベータ分布・指数分布・ガンマ分布・Johnson分布・対数正規分布・Weibull分布の各確率分布のパラメータと確率密度関数については、非正規分布の工程能力指数: パーセント点法とZ-スコア法に説明があります。これらの確率分布のパラメータ表現は、「一変量の分布」プラットフォームで使用されているものと同じです。ただし、「工程能力」プラットフォームの確率分布は、閾値パラメータをサポートしていません。『基本的な統計分析』の一変量の分布を参照してください。

分布パラメータの指定

(非正規分布で、かつ、ノンパラメトリック以外のものを選択した場合に使用できます。)非正規分布に対して、1つ以上のパラメータ値を変更することができるウィンドウを表示します。「ユーザ定義値」列に固定したいパラメータの値を入力してください。[OK]をクリックすると、数値を指定しなかったパラメータの値は、変更したパラメータの値を用いて再推定されます。再推定されたパラメータ値は、どのパラメータを固定したかを示す列とともに、「パラメータ推定値」レポートに表示されます。

ノンパラメトリック密度

(分布として[ノンパラメトリック]を選択した場合に使用できます。)ノンパラメトリックな分布のあてはめに使用されるカーネルのバンド幅を調整するための「ノンパラメトリック密度スライダ」レポートを表示します。デフォルトにおけるカーネルのバンド幅は、次の式で求められます。nは標本サイズ(観測値の個数)、Snで割って求めた標本標準偏差です。

Equation shown here

分布の比較

「分布の比較」レポートでは、異なる確率分布を比較し、適用することができます。次の点に注意してください。

選択した確率分布は、「選択されている列」のラジオボタンがオンになっています。

最初の「比較の詳細」レポートには、すべてのあてはめた確率分布の適合度統計量が表示されます。[最良]の確率分布を選択した場合、「比較の詳細」レポートには、すべてのパラメトリックな確率分布の統計量が表示されます。

「分布」リストで、比較したい確率分布にチェックマークを付けてください。

あてはめた確率分布に対し、確率密度関数が計算され、「ヒストグラム - 分布の比較」レポートのヒストグラムに重ねて表示されます。

パラメトリックな確率分布の場合、「比較の詳細」レポートに推定結果を含む行が追加されます。

「分布」リストで[ノンパラメトリック]を選択した場合、カーネルのバンド幅を調整するための「ノンパラメトリック密度スライダ」レポートが「分布の比較」レポートに追加されます。ノンパラメトリック密度を参照してください。

別の確率分布を選択するには、「選択されている列」のラジオボタンを使ってください。そうすると、新たに選択した確率分布の結果が計算され、「工程能力分析」レポートが更新されます。

図7.16は、「Process Measurements.jmp」サンプルデータの「工程 1」の「分布の比較」レポートです。対数正規分布が選択されており、正規分布と比較されています。「比較の詳細」レポートには、両確率分布の適合度統計量が表示されます。

「分布の比較」の赤い三角ボタンをクリックし、[確率プロット]を選択すると、確率プロットが表示されます。図7.16の正規分布の確率プロットを見ると、点が線に沿って並んでいません。これは、適合度が悪いことを示します。

図7.16 正規分布の確率プロットを表示した「分布の比較」 

Compare Distributions with Probability Plot for Normal

「分布の比較」のオプション

「分布の比較」の赤い三角ボタンのメニューには、次のようなオプションがあります。

比較の詳細

各確率分布のAICc・BIC・(-2)*対数尤度の値が表示されます。『基本的な回帰モデル』の尤度・AICc・BICを参照してください。(ノンパラメトリックな確率分布では使用できません。)

比較ヒストグラム

「ヒストグラム」の表示/非表示が切り替わります。

確率プロット

あてはめたパラメトリックな確率分布のそれぞれの確率プロットの表示/非表示が切り替わります(図7.16)。グラフの横軸は、観測されたデータ値です。グラフの縦軸の座標は、そのデータ値の順位に対応した、あてはめた確率分布の分位点です。正規分布の場合、全体シグマの推定値を使って正規分布が決められます。

各確率プロットに関連付けられている赤い三角ボタンのメニューには、次のようなオプションがあります。

同時経験的信頼限界

同時経験的信頼限界の表示/非表示を切り替えます。この時の信頼水準は95%となっています。データが選択されたパラメトリックな確率分布に従うと仮定したとき、真の確率関数が含まれる信頼水準が95%となっています。この同時経験的信頼限界は、すべての点において等しい推定精度を持ちます。この信頼限界から、選択したパラメトリックな確率分布がデータによくあてはまっているかどうかを判断できます。Nair(1984)とMeeker and Escobar(1998)を参照してください。

同時経験的信頼限界の陰影

同時経験的信頼限界の領域に陰影を付けます。

あてはめの直線

あてはめた確率分布の分位点を示す直線を表示します。

あてはめの信頼限界の陰影

あてはめた確率分布の累積分布関数に対する信頼限界の領域に陰影を付けます。あてはめた確率分布の累積分布関数に対する信頼限界は、信頼水準が1 - αで、αには起動ウィンドウで指定した値が使われます。(信頼限界に意味があり、その計算が可能である場合のみ使用できます。)

あてはめた確率分布の累積分布関数に対する信頼限界は、可能であれば、確率分布Fを位置-尺度分布族として扱って、つまり、F(y) = G(z)として扱って算出されます。ここで、z = (y - m)/sです。そして、zに対する標準誤差を、デルタ法によって計算します。その後、その標準誤差を使い、zの信頼区間をWald法で計算します。累積分布関数Fに対する信頼限界は、そうして求められたzに対するWald法の信頼限界をGによって変換したものです。なお、場合によっては、端に近いところで適切な信頼限界を求めるには、特別な調整が必要なことがあります。

比較の規準で並べ替え

「比較の詳細」にある分布が、選択した規準で並べ替えられます。起動ウィンドウの「分布を比較する規準」パネルで別の規準を選択していない限り、デフォルトではAICcの順に並びます。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).