この例では、薬剤の毒性を濃度の関数としてモデル化します。標準的な製剤を、3つの新しい製剤と比較したいとしましょう。
各薬剤で、特定の濃度における生存細胞と非生存細胞の比を調べます。調査では、製剤ごとに16点における濃度の毒性を調べます。非生存細胞の生存細胞に対する比は、その値が高いほど毒性が高いことを意味します。毒性が高いと、その薬剤は好ましくありません。なお、この例では、濃度の範囲を狭くし、曲線の差を検出しやすくするため、濃度そのものではなく、濃度の対数をモデルで用います。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Nonlinear Examples」フォルダにある「Bioassay.jmp」を開きます。
2. [分析]>[発展的なモデル]>[曲線のあてはめ]を選択します。
3. 「毒性」を[Y, 応答変数]に指定します。
4. 「対数 濃度」を[X, 説明変数]に指定します。
5. 「製剤」を[グループ化]に指定します。
6. [OK]をクリックします。
図14.2 最初の「曲線のあてはめ」レポート
「プロット」レポートには、製剤ごとにあてはめられたモデルが重ねて表示されます。
7. 薬剤の製剤を示す凡例を表示するため、いずれかのグラフを右クリックし、[行の凡例...]を選択します。「製剤」の列を選択し、[OK]をクリックします。
図14.3 「曲線のあてはめ」レポートとプロットの凡例
曲線がS字型であることから、シグモイド曲線が適切であると判断できます。Table 14.1に、「曲線のあてはめ」プラットフォームで使用できる各種モデルのプロット例と計算式がまとめられています。
8. 「曲線のあてはめ」の赤い三角ボタンをクリックし、[シグモイド曲線]>[ロジスティック曲線]>[ロジスティック 4Pのあてはめ]を選択します。
図14.4 「ロジスティック 4P」レポート
「ロジスティック 4P」レポートが表示されます。また、製剤ごとの、個別のプロットも表示されます。プロットの曲線を見ると、製剤Bは、他の薬剤と大きく異なっていることがわかります。「test B」の曲線は、他の曲線よりも早くに上昇し始めています。曲線の上昇がどれぐらいから始まるかは、変曲点のパラメータによって決まります。
9. 「ロジスティック 4P」の赤い三角ボタンをクリックし、[パラメータ推定値の比較]を選択します。
図14.5 「パラメータの比較」レポート
「test B」の製剤の変曲点が、全体の平均よりも、かなり低いことがわかります。これは、Figure 14.4のプロットの様子と一致しています。製剤Bは、他の製剤より毒性が強くなっています。