「モデルのあてはめ」プラットフォームの[混合モデル]手法では、変量効果および複雑な誤差共分散構造をもつモデルを分析できます。次のようなモデルをあてはめることができます。
• 分割実験モデル
• ランダム係数モデル
• 反復測定モデル
• 空間モデル
• 相関がある応答に対するモデル
分割実験では、実験単位が多段階になっており、段階ごとに誤差が想定されます。実験において変更するのが容易な因子と、変更するのが困難な因子がある場合に、分割実験は用いられています。『実験計画(DOE)』のカスタム計画を参照してください。
ランダム係数モデルは、「階層モデル」・「階層線形モデル」・「多層モデル」などとも呼ばれます(Singer 1998; Sullivan et al. 1999)。ランダム係数モデルでは、切片や傾きが個体やバッチごとにランダムに分布していると仮定されます。製薬での安定性試験や教育研究での成績調査で広く使われています。
反復測定データ、空間データ、相関がある応答のデータなどは、いずれも誤差が独立ではありません。そのため、誤差の相関構造もモデル化する必要があります。
• 反復測定モデルでは、複数時点で測定された応答の変化をモデル化します。反復測定モデルでは、誤差の間に相関を仮定します。
• 空間データは、2次元以上(通常は2次元)の座標上で測定されたデータです。空間データには、多くの場合、距離が近いほど、高い相関が見られます。空間モデルでは、距離によって誤差の間の相関が変化すると仮定します。
• 同じ単位に対していくつかの測定を行うと、それらの測定値の間には相関が見られます。たとえば、ある1個人における身長・体重・血圧などの医療データや、ある1製品における硬度・強度・弾力性などの特性値は、互いに相関しているでしょう。これらの測定値は、1つ1つバラバラに分析することもできますが、相関のある応答データとして一度に分析すると、より有益な情報が得られることもあります。
誤差に対して共分散構造を仮定しないと、処置や処理がもつ効果を誤って見積もってしまうかもしれません。しかし、一方で、誤差の共分散構造におけるパラメータは、既知ではないので、得られたデータから推定しなければいけません。推定するパラメータの個数は、検出力と第1種の誤りに影響を及ぼします。このため、誤差の共分散に対してどのような構造を仮定するかは、慎重に考えなければいけないでしょう。反復測定の例を参照してください。