公開日: 09/19/2023

寿命の一変量の統計量

「寿命の一変量」プラットフォームの「統計量」セクションには、次のレポートが含まれています。

モデルの比較

データの要約

ノンパラメトリック推定

パラメトリック推定 - <分布の名前>(「分布の比較」レポートで選択した各分布に対して表示されるレポート)

モデルの比較

「モデルの比較」レポートには、AICc、BIC、および、対数尤度をマイナス2倍したものが、あてはめた分布ごとに表示されます。これらの統計量は、値が小さいほど適合度が良いことを示します。これらの統計量の詳細については、『基本的な回帰モデル』の尤度・AICc・BICを参照してください。

初期状態では、行は「AICc」によって並べ替られています。並べ替えに用いる規準を変更するには、「寿命の一変量」の赤い三角ボタンをクリックし、[比較の規準]を選択します。このオプションの詳細については、「寿命の一変量」レポートのオプションを参照してください。

データの要約

「データの要約」レポートは、観測されたユニットの総数、非打ち切りの個数、右側打ち切りの個数、左側打ち切りの個数、および区間打ち切りの個数が表示されます。

ノンパラメトリック推定

「ノンパラメトリック推定」レポートでは、累積故障確率のノンパラメトリックな推定値が、時点ごとに求められています。「イベントまでの時間」列に1列だけを指定し、右側打ち切りデータを分析した場合には、次の統計量が求められます。

中間点推定値

中間点の調整を行ったKaplan-Meier推定値。

95%時点別区間(下側、上側)

時点別95%信頼区間。信頼水準は、レポートオプションから[信頼水準の変更]を選択することによって変更できます。

95%同時区間(Nair)(下側、上側)

同時95%信頼区間。信頼水準は、レポートオプションから[信頼水準の変更]を選択することによって変更できます。Nair(1984)およびMeeker and Escobar(1998)を参照してください。

Kaplan-Meier推定値

通常のKaplan-Meier推定値。

「イベントまでの時間」列に2つの列を指定した場合には、(「推定値」という列に)Turnbull推定値、時点別信頼区間、(Nairの)同時信頼区間が表示されます。

ノンパラメトリックな推定値については、ノンパラメトリックな推定値を参照してください。

パラメトリック推定 - <分布の名前>

あてはめられた各分布に対して、「パラメトリック推定 - <分布の名前>」というレポートが表示されます。このレポートには、あてはめた確率分布のパラメータ推定値、および、それらに対する標準誤差と信頼区間が表示されます。また、「モデルの比較」レポートに表示されている情報量規準が、このレポートでも「規準」の下に表示されます。故障部分母集団モデルをあてはめると、対応する非故障部分母集団モデルもあてはめられます。また、モデルを比較するために尤度比検定も行われます。

メモ: なお、平均に対する信頼区間は常にWald法によって計算されます。起動ウィンドウの「信頼区間の方法」で[尤度]を選んだ場合でも、平均に対する信頼区間にはWald法が使われます。[尤度]を選んだ場合、「パラメータ」列の「平均」は「平均(Wald信頼区間)」と表記され、平均に対する信頼区間がWald法で算出されたことが示されます。

一変量の確率分布に対するパラメータ表現については、パラメトリックな分布を参照してください。

「パラメトリック推定値」レポートには、次のレポートが含まれます。

共分散行列

プロファイル

「パラメトリック推定値」の赤い三角ボタンメニューからオプションを選択することで、レポートを追加できます。追加できるレポートは、「分布パラメータの指定」・「Bayes推定」・「カスタム推定」(累積故障確率推定と分位点推定)・「平均余寿命」です。「パラメトリック推定」のオプションを参照してください。

共分散行列

「共分散行列」レポートには、パラメータ推定値の分散共分散行列が表示されます。

プロファイル

分布ごとに4種類のプロファイルが表示されます。

「分布プロファイル」は、X軸が時間、Y軸が累積故障確率を表しています。

「分位点プロファイル」は、X軸が累積故障確率、Y軸が時間を表しています。

「ハザードプロファイル」は、X軸が時間、Y軸がハザード(瞬間故障率)を表しています。

「密度プロファイル」は、X軸が時間、Y軸が密度を表しています。

プロファイルの赤い三角ボタンのメニューには、次のようなオプションがあります。

信頼区間

分布・分位点・ハザードの各プロファイルの曲線には、Wald法による信頼区間も描かれます。このオプションは、信頼区間を示す曲線の表示/非表示を切り替えます。

因子グリッドのリセット

因子別のウィンドウで、因子の設定値を入力したり、設定をロックしたり、グリッドを調整したりできます。『プロファイル機能』の因子グリッドのリセットを参照してください。

因子設定

いくつかのオプションがあります。『プロファイル機能』の因子設定を参照してください。

メモ: プロファイルに表示される信頼区間は、起動ウィンドウの「信頼区間の方法」で[尤度]を選んだ場合でも、常にWald法によって計算されます。プロファイルで信頼区間の計算にWald法しか使わないのは、計算時間を短縮するための措置です。

「パラメトリック推定」のオプション

「パラメトリック推定」の赤い三角ボタンをクリックすると、次のようなオプションが表示されます。

確率推定値の保存

累積故障確率の推定値と信頼区間を、データテーブルに保存します。

分位点推定値の保存

分位点の推定値と信頼区間を、データテーブルに保存します。

ハザード推定値の保存

ハザードの推定値と信頼区間を、データテーブルに保存します。

尤度等高線の表示

対数尤度関数を描いた等高線図の表示/非表示を切り替えます。Weibull分布の場合は、位置と尺度についての等高線図に加えて、αとβについての等高線図も描画されます。なお、このオプションが使えるのは、2パラメータの分布に対してだけです。

尤度プロファイルの表示

対数尤度関数を描いたプロファイルの表示/非表示を切り替えます。このオプションは、閾値分布では使用できません。

分布パラメータの指定

このオプションを選択するとレポートが開き、そこで分布パラメータの値を指定できます。パラメータを指定し、適切なチェックボックスにチェックを入れた後、[更新]をクリックしてください。すると、指定された値に該当のパラメータ値を固定しながら、他のパラメータ値、共分散、およびプロファイルが再推定され、それらの結果が「分布パラメータの指定」レポートに表示されます。この時、制約なしのモデルの分布プロファイルも、特定のパラメータを固定したモデルの分布プロファイルの下に示されます。競合原因分析での使用例については、競合原因分析でのパラメータ指定を参照してください。

Weibull分布に対しては、この[分布パラメータの指定]オプションにおいて、Weibayes分析も行えます。例として、WeiBayes分析の例を参照してください。Weibayes分析のオプションは、区間打ち切りデータに対しては使用できません。

Bayes推定

3種類の事前分布([位置と尺度の事前分布]・[分位点とパラメータの事前分布]・[故障確率の事前分布])のいずれかに基づいて、Bayes法により分布パラメータの事後分布を求めます。Bayes推定 - <分布の名前>を参照してください。このオプションは、対数正規分布・Weibull分布・対数ロジスティック分布・Fréchet分布・正規分布・最小極値分布・ロジスティック分布・最大極値分布でのみ使用できます。

カスタム推定

特定の分位点(時間)における故障確率と生存確率、および、特定の故障確率に対する分位点を計算します。また、これらに対する両側または片側の信頼区間も算出されます。「確率の推定」と「分位点の推定」という2つのレポートが表示されます。カスタム推定を参照してください。

平均余寿命

あてはめた分布に基づいて平均余寿命を求めます。「平均余寿命の計算」で「時間」を入力してEnterキーを押すと、推定値が表示されます。複数の平均余寿命を計算したい場合には、プラス記号をクリックしてください。このオプションは、対数正規分布・Weibull分布・対数ロジスティック分布・Fréchet分布・正規分布・最小極値分布・ロジスティック分布・最大極値分布・指数分布でのみ使用できます。

Bayes推定 - <分布の名前>

一部の分布には、Bayes推定モデルをあてはめることができます。この機能では、棄却サンプリング法、もしくは、Markov連鎖モンテカルロ(MCMC; Markov Chain Monte Carlo)アルゴリズムが使われます。より具体的に述べると、まず単純な棄却サンプリング法によって乱数を生成します。棄却サンプリング法で妥当な結果が出た場合は、その結果が表示されます。棄権サンプリング法で妥当な結果が出なかった場合、ランダムウォークによるMetropolis-Hastings法が使われます。そして、「Bayer推定」レポートの冒頭にその旨を表示します。Robert and Casella(2004)を参照してください。

「パラメトリック推定 - <分布の名前>」レポートの赤い三角ボタンから、[Bayes推定]を選択してください。そうすると、「Bayes推定 - <分布の名前>」というアウトラインが開きます。レポートは最初、コントロールパネルになっているので、そこで事前分布パラメータや乱数シミュレーションに関するオプションを指定します。

作業手順は次のとおりです。

「Bayes推定」の赤い三角ボタンメニューから事前分布の種類を選択し、事前分布のパラメータ値を設定します。Bayes推定の赤い三角ボタンのオプションを参照してください。

シミュレーションに関するオプションを指定します。Bayes推定 - 結果 <N>を参照してください。

[モデルのあてはめ]をクリックしてモデルをあてはめます。Bayes推定 - 結果 <N>を参照してください。

Bayes推定の赤い三角ボタンのオプション

「Bayes推定」の赤い三角ボタンのメニューには、次の事前分布が用意されています。

位置と尺度の事前分布

分布パラメータ(位置パラメータと尺度パラメータ)に対して、事前分布を指定できます。「事前分布」の赤い三角ボタンのメニューから、各分布パラメータに対する事前分布を選択してください。また、選択した事前分布に対する適当なハイパーパラメータ値を設定してください。最初に設定されている値は、最尤推定の結果に基づいています。Bayes推定の事前分布を参照してください。

分位点とパラメータの事前分布

分位点と尺度パラメータ(または、Weibull分布においてはb)に対して、事前分布を指定できます。分位点は、「確率」の値に対応したものです。デフォルトの「確率」の値は0.10ですが、関心のある分位点に変更できます。このオプションでは、分位点と尺度パラメータの事前分布における99%下側限界と99%上側限界を指定します。詳細については、Meeker and Escobar(1998)を参照してください。最初に設定されている値は、最尤推定の結果に基づいています。Bayes推定の事前分布を参照してください。

故障確率の事前分布

異なる2時点における故障確率に対して、事前分布を指定できます。故障確率を求める2つの時点を指定できます。各時点での故障確率に対する事前分布は、ベータ分布です。次のいずれかの方法で、事前分布を指定してください。

1. 「故障確率の事前分布を、推定値と推定誤差(%)で指定」。このオプションでは、事前分布であるベータ分布を、確率推定値とその推定誤差で指定します。Kaminskiy and Krivtsov(2005)を参照してください。

2. 「故障確率の事前分布を、範囲で指定」。このオプションでは、事前分布であるベータ分布の99%を含む範囲を、次の方法で入力します。

各故障時間に対して、99%の上下限を入力します。

グラフに描かれている縦の線分の端をドラッグすることにより、2つの時点を変更できます。また、線分の長さを変更して、99%の上下限を変更できます。

シミュレーションのオプション

「Bayes推定」の赤い三角ボタンのメニューで事前分布の手法を選んだ場合、パネルの最下部に次のオプションが表示されます。

モンテカルロ反復数

バーンイン(burn-in)を行った後に、事後分布から生成する標本サイズを指定します。

乱数シード値

シミュレーションにおいて用いる乱数のシード値を設定します。デフォルトでは、現在の時刻に設定されています。この値は、1より大きい正の整数でなければなりません。1を指定すると、現在の時刻が使用されます。

事前分布の散布図を表示

事前分布からの乱数を生成し、その結果を散布図にプロットしたい場合には、このオプションを選択します。このオプションを選択すると、[モデルのあてはめ]をクリックした後、「Bayes推定値 - 結果 <N>」レポートの「事前散布図」というアウトラインに散布図が表示されます。

尤度等高線の重ね合せ

「Bayes推定値 - 結果」レポート内の散布図に、尤度等高線を重ね合わせて描きます。

モデルのあてはめ

指定された設定の事前分布に基づき、事後分布を求めます。「Bayes推定 - 結果 <N>」という名前のレポートが表示されます。ここで、Nは、Bayes推定の結果に対する通し番号です。

Bayes推定 - 結果 <N>

赤い三角ボタンのメニューでいずれかのオプションを選択し、事前分布を指定したら、[モデルのあてはめ]をクリックしてください。指定された事前分布に基づいて、「Bayes推定 - 結果 <N>」レポートが作成されます。このレポートには次のようなアウトラインがあります。

事前確率

Bayes推定に関して「Bayes推定」レポートで指定した設定が表示されます。また、乱数シード値も表示されます。

事後推定値

分布パラメータ(位置パラメータと尺度パラメータ)の事後分布に関して、5つの統計量が表示されます。モンテカルロ標本から計算された周辺分布に関する統計量は、「中央値」・「下側95%」(2.5パーセント点)・「上側95%」(97.5パーセント点)・「平均」・「標準偏差」です。事後推定値が[分位点とパラメータの事前分布]を用いて生成されるとき、この表はまた、分位点(およびWeibull分布の場合にはb)に関する事後分布の統計量を含みます。

分布パラメータの事後分布におけるその他のさまざまな統計量を自分で計算するには、[モンテカルロ標本データの作成]をクリックしてください。

事前分布の散布図

この散布図は、[事前分布の散布図を表示]を選択した状態で、[モデルのあてはめ]をクリックすると表示されます。事前分布の指定を行った分布パラメータや分位点パラメータに関して、事前分布の散布図を描きます。

事後分布の散布図

指定された事前分布に基づいて計算された、パラメータに関する事後分布の散布図を表示します。

プロファイル

事後分布からの標本に基づく2つのプロファイルを表示します。

「分布プロファイル」で描かれている曲線は、指定の時間をtとすると、次のように求められます。

事後分布の標本における各パラメータ値に対して、時間tにおける累積分布関数の値が計算されます。

予測値は、このようにして求めた関数値の中央値です。

上側信用限界(上側信頼限界)と下側信用限界(下側信頼限界)は、このようにして求めた関数値の2.5パーセント点と97.5パーセント点です。

「分位点プロファイル」に示されるプロットと信用限界(信頼限界)も、同様の方法で求められます。与えられた確率pに対して、pに対応する分位点が、パラメータの事後分布から計算されます。

故障がまったくないデータに対するWeiBayes分析

試験によっては故障がまったく生じず、すべての観測値が右側打ち切りになる場合があります。故障がまったくないデータに対しても、Bayes推定やWeibaye推定ならば行えます。Weibayesレポートを参照してください。

メモ: デフォルトでは、故障がまったくないデータはWeibayes推定で分析されます。故障がまったくないデータに対し、より汎用的なBayes 推定を行いたい場合は、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[寿命の一変量]を選択し、[故障ゼロの場合はWeiBayes分析のみ]のチェックボックスを外します。

カスタム推定

「カスタム推定」オプションは、「確率の推定」と「分位点の推定」の2つのレポートを表示します。「確率の推定」レポートでは、特定の時間(分位点)に対して、故障確率と生存確率の推定値を計算します。「分位点の推定」レポートでは、特定の故障確率に対して、分位点の推定値を計算します。各分位点の推定値には、Wald法に基づく信頼区間と尤度に基づく信頼区間の両方が表示されます。これらの信頼区間の信頼水準は、「寿命の一変量」の赤い三角ボタンメニューの[信頼水準の変更]オプションを使って変更できます。

確率の推定

「確率の推定」レポートには、「時間」の値を入力します。そして、キーボードのEnterキーを押すと、故障確率と生存確率、および、それらの信頼区間が表示されます。複数の確率の推定値を計算したい場合には、プラス記号をクリックします。新しいボックスが表示されるので、そこに値を入力して、キーボードのEnterキーを押します。最後の入力を削除するにはマイナス記号をクリックします。

「確率の推定」には[信頼区間の方法]オプションがあり、区間の形式を変更できます。次のいずれかを選びます。

両側

故障確率と生存確率の両側信頼区間が計算されます。

上側故障確率

片側信頼区間(故障確率の上側信頼区間と、生存確率の下側信頼区間)が計算されます。

下側故障確率

片側信頼区間(故障確率の下側信頼区間と、生存確率の上側信頼区間)が計算されます。

分位点の推定

「分位点の推定」レポートには、「故障確率」の値を入力します。キーボードのEnterキーを押すと、分位点とその信頼区間が表示されます。複数の分位点の推定値を計算したい場合には、プラス記号をクリックします。新しいボックスが表示されるので、そこに別の故障確率の値を入力して、キーボードのEnterキーを押します。最後の入力を削除するにはマイナス記号をクリックします。

「分位点の推定」には[信頼区間の方法]オプションがあり、区間の形式を変更できます。次のいずれかを選びます。

両側

分位点の両側信頼区間が計算されます。

下側

分位点の下側信頼区間が計算されます。

上側

分位点の上側信頼区間が計算されます。

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