公開日: 09/19/2023

平行性の検定

「曲線のあてはめ」プラットフォームの[平行性の検定]オプションを使用すると、あてはめたモデルの形状がグループ間で同じであるが、X軸に沿ってシフトしているかどうかを調べるための分析を実行できます(Figure 14.9)。「Bioassay.jmp」の例では、製剤Bの曲線が、他の3つ製剤の曲線よりも左にずれています。しかし、すべての曲線が同じ形状なのか(つまり、平行にずれているだけなのか)、製剤Bの形状が異なるのかは、わかりません。平行性の検定を行うと、異なる製剤の曲線について、形状が同じで、横軸に沿ってずれているだけかどうかを判断できます。あてはめたモデルの赤い三角ボタンのメニューから[平行性の検定]を選択すると、レポートが追加されます。

図14.9 平行性の検定 

平行性の検定

このレポートには、以下の結果が表示されます。

モデル比較の検定

平行性に対するF検定およびカイ2乗検定の結果が表示されます。この検定では、フルモデル(Full SSE)と縮小モデル(Fit SSE)の誤差平方和を比較しています。この検定での完全モデルは、グループごとのパラメータがすべて異なっているモデルです。一方、縮小モデルは、変曲点以外のすべてのパラメータが、すべてのグループで同じモデルです。p値が小さいことは、グループモデル間に有意差があることを示しています。したがって、いくつかのパラメータがグループ間で同じになっている縮小モデルでは不十分で、フルモデルを使用する必要があります。Figure 14.9では、p値が0.05より大きいため、曲線の形状に差があるという十分な証拠はありません。この例では、縮小モデルのほうが適切そうです。

検定統計量は次のように求められます。

F値

[(Fit SSE - Full SSE) / NDF] / [Full SSE / DDF]

カイ2乗

Fit SSE - Full SSE

平行性でのパラメータ推定値

縮小モデルにおけるパラメータ推定値が表示されます。また、縮小モデルの曲線もプロットされます。ここでの縮小モデルは、変曲点以外のすべてのパラメータがすべてのグループにおいて同じになっているモデルです。製剤Bの変曲点は、他の3つの製剤の変曲点よりずっと低い位置にあります。

効力比

グループ変数の水準ごとに、効力および効力比(relative potency)を計算します。効力は10^(EC50)です。ここで、EC50は応答が中間値となるときの用量です。ロジスティック2P・3P・4Pの場合、効力は、変曲点パラメータを指数変換した値です。効力比は、これらの効力の比として計算されます。たとえば、Figure 14.10では、standard(標準製剤)に対するtest A(試験製剤A)の効力比は、「test Aの効力」÷「standardの効力」 です。

図14.10 グループ別の効力比 

グループ別の効力比

Figure 14.10[standard に対する効力比]パネルを見ると、製剤Aと製剤Cの効力比はほぼ1です。これは、2つの製剤の毒性が標準の製剤に近いことを意味します。製剤Bの効力はstandardより低い値です。つまり、製剤Bの毒性は、濃度に対してstandardよりも速く増加します。

平行性の検定からは、曲線が平行であることが示唆されており、もし平行性が成立していれば効力比が意味を持ちます。効力比を見る限り、製剤Bの毒性は他の製剤より強いことが示唆されています。これらの結果と過去の試験結果と総合して、製剤Bの毒性が最も高いかどうかを考えることができます。

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