「変動性図」プラットフォームでは、[分散成分]オプションは、測定値のばらつきを分散成分モデルによってモデル化します。この分散成分モデルでは、「測定値は、いろいろな変量効果を一定の平均に加えたものである」と仮定されています。
メモ: [分散成分]オプションを選択すると、起動ウィンドウで「モデルタイプ」が未選択だった場合([後で決定]を選択した場合)、モデルの種類を選択するためのウィンドウが開きます。モデルタイプの詳細については、「計量値用ゲージ」プラットフォームの起動を参照してください。
図6.5 「分散成分」レポートの例
「分散分析」レポートは、分散成分の推定にEMS法が使用されている場合にのみ表示されます。このレポートには、モデルに含まれている各効果の有意性が表示されます。
「分散成分」表には、分散成分の推定値が表示されます。分散成分の統計的詳細を参照してください。
起動ウィンドウで[分析の設定]をクリックすると、分散成分の計算方法を選択できます。
図6.6 「分析の設定」ウィンドウ
最適な分析を選択(EMS、REML、またはBayes)
次の論理に従い、最適な分析法をEMS法・REML法・Bayes法の中から選択します。
– データのバランス(釣合い)が取れていて、負の分散成分がない場合は、EMS法(期待平均平方法)で分散成分の推定値が計算されます。
– データのバランスが取れていない場合は、REML法(制限最尤法)が使用されます。ただし、分散成分の推定値が負になる場合は、Bayes法が使用されます。
– EMS法を用いて分散成分の推定値が負になる場合は、Bayes法が使用されます。
– 分散成分に交絡関係がある場合は、分散推定値に対して非負の制約を付けたREML法が使用され、分散成分の推定値が負となった場合は0とされます。
最適な分析を選択(EMSまたはREML)
最適な分析法をEMS法またはREML法から選択します。[最適な分析を選択(EMS、REML、またはBayes)]オプションと同じ論理に従いますが、分散成分の推定値が負になる場合でもBayes法は使用されません。分散成分の推定値が負になる場合は、分散推定値に対して非負の制約を付けたREML法が使用され、負の分散成分は常に0とされます。
REML分析を使用
データのバランスが取れている場合も、分散成分を非負とする制約付きのREML法を使用します。この制約付きのREML法では、バランスの取れていないデータも扱え、また、負の分散成分は常に0とされます。
Bayes分析を使用
Bayes法を使用します。Bayes法では、バランスの取れていないデータを扱うことができ、分散成分の推定値は常にゼロでない正の値になります。分散成分に交絡関係がある場合は、分散推定値に対して非負の制約を付けたREML法が使用され、分散成分の推定値が負となった場合は0とされます。JMPの「変動性図」で採用しているBayes分析では、調整を加えたJeffreysの事前分布を用いて事後平均が算出されます。Portnoy(1971)およびSahai(1974)を参照してください。
最大反復回数
(REML法にのみ適用)問題が複雑で最適計算が収束しない場合は、反復回数を増やすと収束する場合があります。この値を増やすと、最適化における反復回数が多くなります。
収束限界
(REML法にのみ適用)高い精度が求められる場合は、収束限界を小さくした方が良いです。この値を小さくすると、最適化における収束値の精度を向上できますが、計算時間が長くなります。収束限界を大きい値にすれば結果が短時間で得られますが、精度は低くなります。
積分の分点数
(Bayes法にのみ適用)積分の分点数を増やすと、結果の数値精度は良くなりますが、計算時間が長くなります。この値を小さくすると、計算時間は短くなりますが、精度は悪くなります。
関数評価の最大回数
(Bayes法にのみ適用)関数評価の最大回数を増やすと、結果の数値精度は良くなりますが、計算時間が長くなります。この値を小さくすると、計算時間は短くなりますが、精度は悪くなります。