「計画のリスト」で、計画に含まれる因子が、ブロック因子を除いては、すべて連続変数または2水準のカテゴリカル因子であるような一部実施要因計画を選択すると、「計画の表示と変更」アウトラインが開きます。このアウトラインにおいて計画を変更できます。計画の生成ルールを変更するには、一部実施要因計画の生成ルールの変更を参照してください。
注: Plackett-Burman計画とCotter計画では、交互作用は主効果の関係式からは導出されないため、「生成ルールを変更」アウトラインと「効果の交絡関係」アウトラインは表示されません。
生成ルールを変更
計画の関係式を定義します。この関係式によって、一部実施要因計画において、完全実施要因計画のどの一部が使用されるかが決まります。詳細については、生成ルールを変更を参照してください。
効果の交絡関係
一部実施要因計画における完全交絡のパターンを表示します。パネルの下部にある赤い三角ボタンをクリックすると、表示する次数を指定できます。指定した次数に従って、交互作用とその交絡関係がデータテーブルに表示されます。
コード化された計画
各実験において因子がどの水準を取っているかをパターンで表します。
注: Cotter計画では、これらのルールで計画が生成されるわけではないので、「生成ルールを変更」アウトラインと「効果の交絡関係」アウトラインは表示されません。
生成ルールとは、特定の一部実施要因計画を生成する関係式のルールです。「スクリーニング計画」プラットフォームのデフォルトでは、最小逸脱計画が作成されます。最小逸脱計画とは、低次の効果における完全交絡関係の個数が最小であるような計画です。実験の状況によっては、標準的な一部実施要因計画を用いるのではなく、生成ルールを変更し、完全交絡に関して別の関係をもつ計画にしたい場合もあるでしょう。「計画の表示と変更」アウトラインにおいて、生成ルールを変更できます。完全交絡の関係式や生成ルールの詳細については、Montgomery(2009)を参照してください。
ヒント: 特定の効果の推定を目的として計画を作成する場合は、[カスタム計画]の使用を検討してください。カスタム計画については、カスタム計画を参照してください。
計画における完全交絡の関係式は、生成ルールに含まれるワード(word; 語)によって決まります。ワードは因子の積として表記されます。因子の積は、計画行列中の列の要素ごとの積として解釈できます。いずれの関係式も、因子の積が常に1となるワードから導出できます。なお、因子の積がいずれも1となるワードを、恒等(identity)と呼びます。
図9.16は、25-3の計画(5つの因子と8回の実験)のデフォルトの生成ルールです。
図9.16 標準的な25-3計画の生成ルール
「生成ルールを変更」パネルにおいて、各列の一番上に表示されている因子と、その下のチェックボックスがオンになっている因子が、1つのワードを形成します。たとえば、1列目は、温度 = 送り速度*触媒*攪拌速度が、この関係式のワードであることを示しています。
• [+/‐]のチェックボックスがオンになっている場合は、この生成ルールの関係式で使われる符号は正であり、関係するワードを掛け合わせると+1になります(つまり、関係するワードは恒等となっています)。
• [+/‐]のチェックボックスがオフになっている場合は、この生成ルールの関係式で使われる符号は負であり、関係するワードを掛け合わせると-1になります。
詳細については、25-3計画の関係式の取得を参照してください。
完全実施要因計画は複数の一部実施要因計画で構成されていると見ることができますが、完全実施要因計画のなかの主部分(principal fraction)は、恒等のワードで構成される計画になっています。JMPでは、これをデフォルトの一部実施要因計画としています。生成ルールの[+/‐]ボックスは、すべてデフォルトでオンになっています。これにより、関係式のワードは、恒等になっています。
ここで指定された生成ルールは、生成される計画における完全交絡の関係を決めます。場合によっては、標準的ではない一部実施要因計画を使用したい場合があります。そのような場合、生成ルールを変更することにより、完全交絡の関係式を変更してください。
• 生成ルールを変更するには、因子の各チェックボックスを選択してください。
• 選択してから[適用]をクリックすると、「効果の交絡関係」と「コード化された計画」が更新されます。
例として、生成ルールを変更し、一部実施要因計画を変更するを参照してください。
図9.16には、2列のチェックボックスが表示されています。
• 1列目は、温度 = 送り速度*触媒*攪拌速度というワードです。
• 2列目は、濃度 = 触媒*攪拌速度というワードです。
値が+1となる列を、Iで表すとしましょう。各因子の水準は-1か+1のいずれかなので、1列目のワードは、温度*送り速度*触媒*攪拌速度 = Iと置き換えることができます。2列目のワードは、濃度*触媒*攪拌速度 = Iと置き換えることができます。これらをまとめると、25-3計画の関係式は次のように表せます。
I = 温度*送り速度*触媒*攪拌速度 = 濃度*触媒*攪拌速度
「効果の交絡関係」アウトラインに表示される交絡関係は、関係式と、因子の水準が+1または-1であるという事実によって決まります。前節で、生成ルールの1つ目は温度 = 送り速度*触媒*攪拌速度、2つ目は濃度 = 触媒*攪拌速度であることを確認しました。
「効果の交絡関係」アウトラインに表示されている1つ目の交絡関係を求めるには、まず、この2つの生成ルールを次のようにまとめます。
温度 = 送り速度*触媒*攪拌速度 = 送り速度*濃度
– 2つ目の等式は、2つ目の生成ルールを使って触媒*攪拌速度 = 濃度で置換することによって得られます。
次に、1つ目の式と3つ目の式にそれぞれ濃度を掛け合わせると、次の式が得られます。
温度*濃度 = 送り速度*濃度*濃度
計画行列の濃度の列の値は-1または+1ですから、濃度*濃度の列の値は+1となります。これにより、「効果の交絡関係」アウトラインに表示されている1つ目の交絡関係が得られます。
温度*濃度 = 送り速度*I = 送り速度
他の交絡関係も、同じようにして求めることができます。