「因子」セクションでは、カスタム計画で調べたい因子を追加します。
ヒント: 「因子」セクションが完成したら、赤い三角ボタンのメニューから[因子の保存]を選択することを検討してください。これにより、因子の名前・役割・変更・値がデータテーブルに保存され、後で再利用できるようになります。
図4.17 「因子」セクション
因子の追加
因子の種類を選択します。因子の種類を参照してください。
削除
選択されている因子が削除されます。
メモ: [続行]または[戻る]ボタンをクリックした後、すべての因子を削除しようとすると、連続変数の因子が1つ残ります。この因子は、新しい因子を追加した後に削除できます。
N個の因子を追加
複数の因子を追加します。追加する因子の数を入力してから、[因子の追加]をクリックして因子の種類を選択します。「N個の因子を追加」を繰り返すことで、異なる種類の因子を複数追加することができます。
「因子」セクションには、次のような列があります。
名前
因子の名前。追加した因子には、デフォルトで「X1」、「X2」...という名前がつきます。これらの因子の名前を変更するには、ダブルクリックして任意の名前を入力します。
役割
因子の役割を指定します。役割は、「因子の役割」列プロパティとしてデータテーブルに保存されます。この列プロパティがあることで、因子の種類は適切にモデル化されます。
変更
因子水準の変更の難度を、[容易]・[困難]・[非常に困難]の中から選択します。デフォルト値の[容易]を変更するには、[容易]となっている部分をクリックします。因子の変更を[困難]または[非常に困難]に指定すると、ランダム化において、それらの設定に対応した制約が課せられます。因子リストに[困難]な因子がない場合、因子を[非常に困難]に指定することはできません。変更の難易度を指定すると、データテーブルに「因子の変更」列プロパティが保存されます。変更困難度とランダムブロックを参照してください。
値
実験における因子の設定。値を挿入するには、デフォルトの値をクリックし、任意の値を入力します。
単位
因子の測定単位を指定します。単位を設定するには、「単位」の欄をクリックして該当する単位を入力します。
検出限界
応答の測定可能範囲を示す検出限界値を定義し、列プロパティに保存します。「一変量の分布」または「一般化回帰」プラットフォームで応答変数の打ち切りを考慮した分析を行うには、この「検出限界」列プロパティを使用します。
「因子」セクションでは、次のように操作します。
• 因子名を編集するには、因子名をダブルクリックします。
• カテゴリカル因子の場合、因子名の左隣に下向きの矢印があります。この矢印をクリックすると水準が追加されます。
• 因子の水準を削除するには、値をクリックし、キーボードのDeleteキーを押し、最後にテキストボックスの外をクリックします。
• 「変更」の項目を変更するには、「変更」列の値をクリックして適切な値を選択します。
• 値を編集するには、「値」列の値をクリックします。
因子の種類を選択するには、「カスタム計画」の[因子の追加]をクリックします。
メモ: 生成された計画のデータテーブルにおいて、各因子の列に「因子の役割」列プロパティが設定されます。「因子の役割」列プロパティがあることで、因子が適切にモデル化されます。
連続変数
数値データを値として取る因子。連続変数とは、指定された下限から上側までの間において、任意の数値に設定できる因子のことです。
離散数値
数値データを値として取る因子。離散数値の因子は、不連続の数値のみを取ります。これらの値は数値として意味があります。
離散数値の因子がk水準の場合(k > 2)、デフォルトで因子の値は1, 2, ..., kの整数となります。k = 2水準の場合、離散数値の因子の値はデフォルトで-1および1に設定されます。デフォルトの値を、実験で使用する因子設定の値に置き換えてください。
メモ: 離散数値の因子は、すべての水準が計画に出現するとは限りません。どの水準が出現するかは、「モデル」セクションで指定されたモデルによって決まります。全水準が計画に出現する必要がある場合は、「スクリーニング計画」プラットフォームの使用を検討してください。
離散数値の因子にk水準を設定した場合、デフォルトで、k-1次のべき乗項がモデルに含まれます。ただし、kが6以上の場合には、5次のべき乗までしか含まれません。これらのべき乗項には、2次以上の項の「推定」には[可能な場合のみ]が指定されます。[可能な場合のみ]を指定することにより、少ない実験回数でも3水準以上の水準を取り扱うことができます。なお、モデルが1次式の場合は、離散数値の因子は、端の値だけを用います。仮定したモデルで離散数値の因子がどのように扱われるかは、モデルに詳しい説明があります。
一方で、離散数値の因子は、「モデルのあてはめ」では連続尺度の説明変数として扱われます。また、計画のデータテーブルに保存される「モデル」スクリプトには、3次以上のべき乗項は含まれていません。
カテゴリカル
数値または文字の値を取ります。作成されるデータテーブルにおいて、データはカテゴリカルなものとして扱われます。また、水準の値は、入力したときの左から右の順序で並べられます。この順序は、作成された計画のデータテーブルの各列における「値の表示順序」列プロパティに保存されます。
ブロック
数値または文字の値を取ります。ブロック因子は、カテゴリカル因子の特殊形態で、主効果としてのみモデルに含めることができます。ブロック因子を定義した場合は、ブロックごとの実験回数を指定します。作成されるデータテーブルに「ブロックあたり実験回数」列プロパティが保存されます。デフォルトの実験回数は、少なくとも2つのブロックがあると想定しています。ブロックごとの実験回数の整数倍でない実験回数を指定した場合、JMPは可能な限りバランス(釣合い)の取れた計画にしようとします。その過程では、ブロックごとの実験回数が2以上になるようにします。
共変量
データタイプが数値もしくは文字であるいずれの列も共変量に設定できます。配合の共変量を含めるには、「配合」列プロパティを使用します。「共変量」とは、各実験ユニットにおいて、実験前にわかっている測定値を指します。共変量が配合変数である場合は、それが計画に含まれるすべての配合変数を表していなければなりません。
指定された共変量は、計画が最適になるように、最適化基準の計算に使われます。変更困難度とランダムブロックおよび変更が困難な共変量を参照してください。
共変量を指定するには、まず、共変量の値を含んだデータテーブルを予め用意しておいてください。そして、共変量を含んだそのデータテーブルを開いて、アクティブにしてください。[因子の追加]を使用するか、「共変量の候補」セクションにある[共変量の列を選択]をクリックして、共変量を追加します。そうすると、現在のデータテーブルから列を選択するウィンドウが開きます。その列選択のウィンドウで、共変量の列を選択してください。共変量の因子を追加すると、「共変量の候補」セクションの下に候補の行が読み込まれ、表示されます。読み込まれた行の中から、計画に含める行を選択できます。選択した共変量の行を計画に含めるには、「計画の生成」のオプションである[選択されている共変量の行をすべて計画に含める]を使用します。
計画の実験回数が共変量のデータテーブルの行数より少ない場合、計画のデータテーブルに「共変量 行番号」という列が作成されます。この列の値は、それぞれの実験が共変量のデータテーブルのどの行に対応するかを示します。
場合によっては、多数の設定候補の中から、一部の計画点を選択したいことがあります。たとえば、大量のユニットバッチに対して、測定値の列(因子)が複数あるとします。そして、各ユニットの測定値を、1つの候補の実験として扱うとしましょう。これらの候補の実験の中から、応答を測定するのに最適な実験のいくつかを選択したいとします。このような場合は、候補の実験をすべて含むデータテーブルをアクティブにしてから、[因子の追加]>[共変量]を選択し、測定値の列をすべて選択します。そして、[実験の回数]を指定します。すると、データテーブルの中から最適な計画の組み合わせが自動的に抜き出されます。
メモ: 共変量がある場合、「計画の生成」セクションに2つのオプションが表示されます。1つ目は、共変量のデータテーブルで選択した行が計画に含まれるよう指定するオプションです。2つ目は、計画内で共変量の行を反復することを許可するオプションです。
配合
配合物の構成比を表す、連続尺度の因子です。配合因子の値は、合計が定数にならなければなりません。デフォルトでは、配合因子の値を合計すると1になります。配合因子の合計を1以外の正の値に設定するには、赤い三角ボタンのメニューから[詳細オプション]>[配合成分の合計]を選択します。作成される計画のデータテーブルにおいて、配合因子の列には「配合」列プロパティが保存されます。
定数
数値または文字の値を取ります。定数因子の値は、実験の際、固定されたままです。定数因子は、「モデル」セクションに含まれません。また、データテーブル内の「モデル」スクリプトにも含まれません。
調整不可能
数値または文字の値を取ります。調整不可能な因子は、実験において値を制御することができないが、モデルには含めたい因子を指します。そして、1回の実験のそれぞれにおいて因子の値を記録できることを想定しています。
調整不可能な因子を指定すると、連続尺度の列が空の状態で、作成されるデータテーブルに追加されます。必要であれば、「列情報」ウィンドウでデータの種類または尺度を変更します。実験をした後に、該当の列に値を入力してください。調整不可能な因子は、「モデル」セクションに含まれません。また、データテーブル内の「モデル」スクリプトにも含まれません。
因子を実験のたびに変更することの相対的な難度を指定しておくと、特に工業分野での実験に役立ちます。多くの状況で、変更の困難な因子を固定したまま複数の実験を実施できると便利です。「変更」の設定を[困難]にすると、分割実験が作成され、[非常に困難]にすると2段分割実験が作成されます。
連続変数・離散数値・カテゴリカル・配合の因子において、「変更」を[困難]や[非常に困難]に設定できます。因子を[非常に困難]に設定するには、別の因子が[困難]に設定されている必要があります。
共変量においては、「変更」を[困難]に設定できます。ある共変量を[困難]に設定すると、他のすべての共変量も[困難]に設定され、残りの因子は[容易]に設定されます。共変量を含んだ場合のアルゴリズムは、行交換と座標交換の組み合わせを必要とします。そのため、比較的小さい計画でも、計画を生成するのに時間がかかることがあります。
因子の変更が[困難]または[非常に困難]な計画の場合、「カスタム計画」は、指定された最適化基準で最適な計画を見つけようとします。最適化基準を参照してください。分割実験計画を作成する手法の詳細については、Jones and Goos(2007)を参照してください。変更が困難な共変量を持つ計画については、Jones and Goos(2015)を参照してください。
Figure 4.18は、(「Design Experiment」フォルダ内にある)「Cheese Factors.jmp」サンプルデータの因子を使った2段分割実験の例です。
図4.18 2段分割法の「因子」と「計画の生成」
1つまたは複数の因子の「変更」を[困難]に設定し、どの因子も[非常に困難]に設定しなかった場合、「一次単位」というカテゴリカルな因子が追加されます。このような場合、分割実験(1段分割実験)が作成されます。
• 「一次単位」因子の各水準は、ブロックになっています。そして、各ブロック内において、変更が困難な因子の水準がいずれか1つに固定されています。
• 計画のデータテーブルにおける「モデル」スクリプトでは、「一次単位」因子に「変量効果」の属性が設定されています。
• 「一次単位」因子には、「因子の役割」列プロパティとして「ランダムブロック」が設定されます(「ランダムブロック」とは、ブロック因子が、固定効果ではなく、変量効果であることを意味しています)。
[困難]と[非常に困難]の両方を指定した場合、「二次単位」および「一次単位」というカテゴリカルな因子が計画に追加されます。このような場合、2段分割実験が作成されます。
• 「二次単位」因子の各水準は、ブロックになっています。そして、各ブロック内において、変更が非常に困難な因子の水準がいずれか1つに固定されています。
• 「一次単位」因子の各水準も、ブロックになっています。そして、各ブロック内において、変更が困難な因子の水準がいずれか1つに固定されています。
• 計画のデータテーブルにおける「モデル」スクリプトでは、「一次単位」因子と「二次単位」因子に「変量効果」の属性が設定されています。
• デフォルトでは、[困難]な因子の水準が、[非常に困難]な因子の水準からの入れ子になっています。
• 計画のデータテーブルでは、「一次単位」因子と「二次単位」因子の両方に「ランダムブロック」の役割が設定されます(「ランダムブロック」とは、ブロック因子が、固定効果ではなく、変量効果であることを意味しています)。
2方分割実験を作成するには、「計画の生成」の下の[変更が「困難」な因子を、「非常に困難」な因子と独立して設定]を選択します。このオプションは、[困難]な因子の水準と[非常に困難]な因子の水準を交差します。2方分割法を参照してください。
「一次単位の数」と「二次単位の数」のテキストボックスを使用して、一次単位の数と二次単位の数を指定します。これらのボックスには、推奨されるデフォルト値が挿入されています。デフォルト値の計算については、一次単位と二次単位の数を参照してください。
乱塊法・1段分割法・2段分割法・2方分割法の詳細と例については、特殊なランダム化を行う実験計画を参照してください。変更が困難な共変量を持つ計画については、変更が困難な共変量を参照してください。
データテーブルには、各因子のさまざまな列プロパティが保存されます。これらの列プロパティの詳細と例については、列プロパティを参照してください。
因子の役割
データテーブルにおけるすべての因子の列に、「因子の役割」列プロパティが割り当てられます。この「因子の役割」列プロパティの値は、実験を計画するときに指定した役割によって決まります。たとえば、ランダムブロックの因子(変量効果のブロック因子)には「ランダムブロック」という値が割り当てられます。「因子の役割」列プロパティは、データをモデル化するときに、どのように因子を用いるかを示しています。また、「因子の役割」列プロパティの値は、「拡張計画」プラットフォームでも使われます。詳細については、「因子の役割」列プロパティを参照してください。
因子の変更
データテーブルにおけるすべての因子の列には、「因子の変更」列プロパティも割り当てられます。「変更」に対して設定した値が、「因子の役割」列プロパティの値になります。「因子の変更」列プロパティは、データをモデル化するときに、どのように因子を用いるかを示しています。また、「因子の変更」の値は、「拡張計画」プラットフォームと「計画の評価」プラットフォームでも使われます。「因子の変更」列プロパティを参照してください。
コード変換
因子の「役割」が[連続変数]・[離散数値]・[調整不可能]、または連続尺度の[共変量]である場合は、「コード変換」列プロパティが保存されます。このプロパティは、最小値が-1、最大値が+1になるように因子の値を変換します。「コード変換」列プロパティを参照してください。
値の表示順序
因子の役割がカテゴリカルまたはブロックの場合は、「値の表示順序」列プロパティが保存されます。この列プロパティによって、因子水準の表示順序が決まります。値の表示順序を参照してください。
配合
因子の役割が[配合]の場合は、「配合」列プロパティが保存されます。このプロパティは、配合成分に対する限界値と、それらの合計値を指定します。配合因子に対し、コード変換を選択することもできます。配合を参照してください。
ブロックあたり実験回数
ブロック因子において、ブロックごとの標本サイズを示します。「因子」セクションで[ブロック]因子を指定すると、「ブロックあたり実験回数」列プロパティが保存されます。「ブロックあたり実験回数」列プロパティを参照してください。
単位
因子の実験ユニット。「単位」の欄をクリックして任意の値を入力します。