「最小2乗法によるあてはめ」レポートには、データが特定の構造をもつときや、効果に特定の属性を指定したときに、特別なレポートが表示されます。
モデル効果の間に一次従属性がある場合、先頭に「特異性の詳細」レポートが表示されます。このレポートには、モデル項の間で成立している線形式が表示されます。この線形式は、モデル項の間の交絡関係を示しています。Figure 3.7は、「Singularity.jmp」サンプルデータでの例です。
図3.7 「特異性の詳細」レポート
モデル項に一次従属性がある場合、いくつかのパラメータ推定値は一意には決まりません。一次従属性がある場合を参照してください。
「応答曲面(&RS)」または「配合応答曲面(&RS&Mixture)」の属性をもつ効果がモデルにある場合、「応答曲面」レポートが表示されます。Figure 3.8は、「Tiretread.jmp」サンプルデータに対する「応答曲面」レポートです。
図3.8 「応答曲面」レポート
「応答曲面」レポートの冒頭にある「係数」表は、モデルパラメータの推定値を簡潔に表したものです。最初のほうの列は、2次項に対する係数です。最後の列は、線形項(1次項)に対する係数です。これらの係数から構成される予測式を見るには、レポートの赤い三角ボタンのメニューから[推定値]>[予測式の表示]を選択してください。
臨界点(最大、最小、または鞍点)がある場合、「解」レポートに臨界点の座標とその予測値が表示されます。また、臨界点がデータの範囲外にある場合は、その旨を伝える警告が表示されます。
2次項に対するパラメータ推定値の行列から、固有値と固有ベクトルを計算すると、曲面の形状が分かります。固有値からは、曲面が最大値をもつか、それとも最小値をもつかが分かります。また、固有ベクトルからは、曲面(楕円)の主軸が分かります。
固有値は「正準曲率」表の1行目に表示されます。
• 固有値がすべて負の場合、応答曲面は最大値をもちます。そして、曲面の形状は、最大値から下へカーブする形になります。
• 固有値がすべて正の場合、応答曲面は最小値をもちます。そして、曲面の形状は、最小値から上へカーブする形になります。
• 固有値に正と負が両方存在している場合は、一方で上へ、もう一方で下へとカーブする、馬の鞍(くら)のような形になります。Figure 3.9は、「Tiretread.jmp」サンプルデータの例です。
図3.9 鞍状の曲面プロット
固有値の下には、固有ベクトルが表示されています。固有ベクトルは、主軸の方向を示します。固有値の絶対値が大きいほど、その方向での応答曲面の曲がり具合が大きくなります。固有値がゼロになることもあります。固有値がゼロの場合、それに対応する固有ベクトルの方向では、曲面は変化せず、平らになっていることを意味します。
メモ: 因子が21個以上の場合には、「応答曲面」レポートは表示されません。このとき、エラーメッセージや警告も表示されません。応答曲面計画の詳細については、『実験計画(DOE)』の応答曲面計画を参照してください。
「モデルのあてはめ」起動ウィンドウで変量効果を指定すると、「方法」のリストが表示されます。このリストには、[REML(推奨)]と[EMS(従来)]という2つの推定方法があります。推定方法によって、レポートに出力される結果や、[列の保存]および[プロファイル]オプションが異なってきます。
REMLのレポートの詳細については、REML法(制限最尤法)を参照してください。EMSのレポートの詳細については、EMS法のレポートを参照してください。
「モデルのあてはめ」起動ウィンドウで「検証」列を指定した場合は、「モデルの評価」レポートが表示されます。このレポートには、データの種類(学習・検証・テスト)ごとに次のような値が表示されます。
ソース
セットの名前(学習・検証・テスト)。
R2乗
学習セットで推定されたモデルに基づき、各セットのデータから計算されたR2乗値。なお、学習セットのR2乗値は、通常のR2乗値です。
R2乗値は、学習・検証・テストの各セットに対し、次のように計算されます。
– 与えられたセットの各行について、残差が計算されます。残差は、実測値から、学習セットで推定されたモデルに基づく予測値を引いたものです。
– その残差から、各セットにおいて、残差平方和「SSESource」が計算されます。「Source」の部分は、「学習」・「検証」・「テスト」といったセット名です。
– 各セットにおいて、実測値とそれらの全平均との差の平方和が求められます。この値を「SSTSource」とします。
– 各セットのR2乗値は、次の式で求められます。
メモ: 検証セットとテストセットのR2乗値は、負の値になる場合があります。
RASE
平均平方誤差の平方根。RASEは、学習・検証・テストの各セットに対し、次のように計算されます。
– 検証セットの各行について、残差が計算されます。残差は、実測値から、学習セットで推定されたモデルに基づく予測値を引いたものです。
– その残差から、各セットにおいて、残差平方和「SSESource」が計算されます。「Source」の部分は、「学習」・「検証」・「テスト」といったセット名です。
– 標本サイズ(観測値の個数)をnとします。
– RASEは次の式で求められます。
度数
各「ソース」における標本サイズ。