実験計画(DOE) > 加速寿命試験計画 > 加速寿命試験計画の例加速寿命試験計画の別例
公開日: 09/19/2023

加速寿命試験計画の例

「加速寿命試験計画」プラットフォームを使って1因子の加速寿命試験計画を作成します。

1. [実験計画(DOE)]>[特殊な目的]>[加速寿命試験計画]を選択します。

デフォルトで[1因子]が選択されています。

2. 「因子名」の下の「X1」をクリックし、「温度」と入力します。

「水準数」はデフォルトのまま「3」に設定します。

3. 「因子の変換」は、デフォルトで[Arrhenius 摂氏]に設定されます。

4. 「最低使用条件」「最高使用条件」の両方に「10」と入力します。

最低使用条件と最高使用条件の両方を「10」と設定した場合、「10」が通常の使用条件となります。

5. 「最低試験条件」に「40」、「最高試験条件」に「80」と入力します。

6. [続行]をクリックします。

事前の知識に基づいて確率分布(対数正規分布もしくはWeibull分布のいずれか)、推定パラメータ、加速パラメータの初期値を指定します。

7. Weibull分布を選択します。

8. [分位点を指定]を選択し与えられた時間および加速因子の値における故障確率を入力します。この情報に基づいて切片が計算されます。

9. 活性化エネルギーと1/bのデフォルト値をそのまま使用します。

以前の実験の結果から考えると、最高試験条件下では、720時間以内に90%のユニットが故障すると見込まれます。

10. 「期待故障確率」に「0.9」と入力します。

11. 「時間」に「720」(1ヶ月)と入力します。

12. 「温度の値」に「80」と入力します。

13. [続行]をクリックします。

14. 「加速寿命試験計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[ALT最適化基準]>[故障確率最適計画の作成]を選択します。

15. 「興味がある時間範囲」を9,000~17,000(1年~2年)に設定します。

16. 「観察の方法」を「連続して観測」のままにします。

17. 「試験で用いるユニットの総数」に「200」と入力します。

18. 「試験期間」に「720」(30日)と入力します。

19. [計画の作成]をクリックします。

「最適計画」では、低温に31ユニット、中温に68ユニット、高温に101ユニットが割り振られています。

図23.2 最適計画 

最適計画

寿命試験を実施する前に、計画の診断統計量を使って計画を評価します。

図23.3 計画の診断統計量 

計画の診断統計量

分布プロファイルは、期待される故障確率を示します。計画の設定通り、プロファイルの温度は80度、時間は720になっています。計画を変更すると故障確率がどのように変化するかを調べてみましょう。推定値を挟んで表示されている範囲の幅を見ると、試験計画に関して予測される不確実性の大きさがわかります。

「R精度係数」のプロファイルでは、さまざまな標本サイズ・加速因子・分位点に対する推定精度を知ることができます。このプロファイルからは、特定の標本サイズで加速寿命試験を行った場合の推定精度がわかります。試験ユニットの数を200から400に増やせるなら、推定精度が良くなります(R精度係数が小さくなります)。

加速寿命試験計画の作成

加速寿命試験計画(ALT計画)を作成するには、[実験計画(DOE)]>[特殊な目的]>[加速寿命試験計画]を選択します。

「加速寿命試験計画」は、計画の指定を進めるにつれて更新されていきます。

加速寿命試験の加速因子を指定する

事前確率の指定

加速寿命試験計画の設定の確認・変更

加速寿命試験計画の作成と評価

計画のデータテーブルの作成

加速寿命試験の加速因子を指定する

加速寿命試験計画の最初のステップでは、加速因子と計画の種類を定義します。

図23.4 最初に表示される「加速寿命試験計画」ウィンドウ 

最初に表示される「加速寿命試験計画」ウィンドウ

加速因子の個数

1因子

1因子の計画を作成する場合に選択します。

2因子

2因子の計画を作成する場合に選択します。

交互作用項を含める

(2因子のモデルでのみ使用できます。)交互作用項を含める場合に選択します。

因子名

加速因子の名前を入力します。

水準数

加速因子ごとに、試験に含める水準数を入力します。

因子の変換

加速因子ごとに変換で用いる関数を選択します。この変換で用いる関数には、寿命分布が加速因子によって変化するというモデルにおける、寿命分布と加速因子との関係を指定します。変換方法には、[Arrhenius 摂氏]・[逆数]・[対数]・[平方根]・[線形]があります。

最低使用条件

各加速因子に対して、通常の使用条件での下限値を設定します。

最高使用条件

各加速因子に対して、通常の使用条件での上限値を設定します。

メモ: 「最低使用条件」と「最高使用条件」には、同じ値を設定することができます。使用条件が1つしかない場合は、その使用条件を「最低使用条件」と「最高使用条件」の両方に指定してください。

最低試験条件

各加速因子に対して、試験条件の下限値を入力します。

加速寿命試験計画の別例

加速寿命試験計画の事前確率を推定する例

加速寿命試験を拡張する例

加速寿命試験計画の事前確率を推定する例

この例では、ある機械部品の加速寿命試験計画として、故障確率最適計画を作成します。加速因子はトルクで、通常の使用応力は35Nm(ニュートンメートル)です。この試験の加速因子は、この1因子だけです。通常の使用応力においてユニットの10%が故障する寿命を推定したいとしましょう。そこで、故障確率を最適化する加速寿命試験計画を作成することにします。

この加速寿命試験を計画するにあたり、次のような条件や仮定を置きます。

合計100個のユニットを試験に使用できる。

寿命の確率分布にはWeibull分布を仮定する。

寿命と応力の関係は対数変換によって定義されると仮定する。

トルクを50Nm, 75Nm, 100Nmの3つの応力レベルで試験する。

これらの試験水準での故障時間の事前推定値が求められている。事前推定値の取得を参照してください。

試験は5,000サイクル実施する。

連続的に故障を監視する。つまり、正確な故障時間を得る。

事前推定値の取得

加速寿命試験計画を作成するには、パラメータ値の事前分布を指定する必要があります。次のような方法で、想定する事前分布を設定できるでしょう。

1. 故障メカニズムの知識に基づき、各応力水準に対する故障時間の仮想データを作成します。生じる可能性の高いと考えられる、小規模なデータを作成してください。

2. 「寿命の二変量」プラットフォームによって、加速寿命モデルをあてはめ、モデルパラメータの推定値を求めます。

3. 「加速寿命試験計画」プラットフォームにおいて、この推定値を事前推定値に指定します。

ここでは、釣合い型計画での故障サイクル数の仮想値を含むデータテーブルを使い、上記の方法を実行します。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Design Experiment」フォルダの「Torque Prior.jmp」を開きます。

2. [分析]>[信頼性/生存時間分析]>[寿命の二変量]を選択します。

3. [サイクル][Y, イベントまでの時間]に指定します。

4. [トルク][X]に指定します。

5. 「関係」リストから[対数]を選択します。

6. 「使用条件」として「35」を入力します。35Nmは通常の使用条件です。

7. 「分布」リストから、[Weibull]を選択します。

図23.8 「寿命の二変量」起動ウィンドウ 

8. [OK]をクリックします。

9. 「Weibull結果」までスクロールダウンし、「相関行列」を開きます。

図23.9 「寿命の二変量」モデルの事前データ 

「推定値」に平均パラメータに対するモデルの推定値が含まれています。「推定値」行には、切片(b0)・回帰係数(b1)・尺度(s)のパラメータ推定値が表示されます。「標準誤差」列には、推定値の標準誤差が表示されます。「相関行列」は、パラメータ推定値の相関の推定値です。これらのパラメータ推定値・標準偏差・相関を事前推定値として使用し、加速寿命試験計画を作成します。

ALT計画の基本設定の入力

事前推定値を使って加速寿命試験計画を作成します。

1. [実験計画(DOE)]>[特殊な目的]>[加速寿命試験計画]を選択します。

デフォルトで[1因子]が選択されています。

2. 「因子名」の下の「X1」をクリックし、「トルク」と入力します。

「水準数」はデフォルトのまま「3」に設定します。

3. 「因子の変換」で[対数]を選択します。

4. 「最低使用条件」「最高使用条件」の両方に「35」と入力します。

最低使用条件と最高使用条件の両方を「35」と設定した場合、「35」が通常の使用条件となります。

5. 「最低試験条件」に「50」を、「最高試験条件」に「100」と入力します。

図23.10 入力を完了した加速寿命試験計画のウィンドウ 

入力を完了した加速寿命試験計画のウィンドウ

6. [続行]をクリックします。

事前分布の設定の入力

1. 「加速寿命試験計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[ALT最適化基準]>[故障確率最適計画の作成]を選択します。

2. 「分布の選択」[Weibull]が選択されていることを確認します。

1. 「事前平均」の下で[切片を指定]を選択し、「寿命の二変量」プラットフォームで仮想データを使って求めた加速寿命モデルの事前パラメータ推定値を入力します。

「切片」に「15.88」と入力します。

「べき乗 (トルク)」として「-1.87」を入力します。

「1/b(Weibullモデルの尺度パラメータ)として「0.05」を入力します。

2. [事前分布のばらつきを指定]を選択します。

3. 事前加速モデルの標準誤差と相関の推定値を入力します。「事前分布のばらつき」の入力を終えると、Figure 23.11のようになります。

図23.11 入力後の「事前分布の設定」 

入力後の「事前分布の設定」

4. [続行]をクリックします。

「トルク水準値」が50, 75, 100に設定されています。

メモ: これは、低い方の試験条件から高い方の試験条件までを範囲として等間隔に並ぶように自動計算された値です。水準は変更できます。

試験は5,000サイクル実施する予定です。しかし、10,000サイクルでの予測値を取得したいと考えています。

5. 「診断の設定」で、「興味がある時間範囲」の両方のボックスに「10000」と入力します。

6. 「計画の設定」では、「観察の方法」「連続して観測」になっていることを確認します。

7. 「試験で用いるユニットの総数」に「100」と入力します。

8. 「試験期間」に「5000」と入力します。

図23.12 入力後の「診断の設定」と「計画の設定」 

入力後の「診断の設定」と「計画の設定」

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