「曲線のあてはめ」の赤い三角ボタンのメニューでは、予め用意されている様々なモデルが、いくつかの種類に分類されています。特定のデータで使用できないモデルについては、メニューオプションが淡色表示になっています。個々のモデルの詳細およびデータの要件については、Table 14.1を参照してください。
多項式
1次から5次までの多項式、およびべき乗モデルをあてはめます。
シグモイド曲線
ロジスティック曲線・プロビット曲線・Gompertz曲線・Weibull曲線といったモデルをあてはめます。これらの曲線はS字型で、上側と下側に漸近線があります。ロジスティック2P・3P・4P、およびプロビット2P・4Pは対称です。ロジスティック5Pモデル、プロビット3Pモデル、および2つのGompertzモデルは非対称です。ロジスティック2Pとプロビット2Pは、応答変数のデータ値が0以上1以下である場合にだけ使用できます。Weibull成長曲線が利用できるのは、応答変数と説明変数の値が非負の場合だけです。シグモイド曲線の例としては、学習曲線や、腫瘍の成長を示すモデルが挙げられます。シグモイド曲線は、最初のほうは上昇が大きく、やがて上昇が緩やかになっていきます。
指数 成長と減衰
指数・双指数・単分子成長・ハイブリッド指数・細胞成長のモデルをあてはめます。「指数 2P」は漸近線が0に固定されていますが、「指数 3P」ではその漸近線が推定されます。双指数モデルは、成長過程(もしくは、減衰過程)を表す指数関数が2つあります。単分子成長モデルと指数3Pモデルは常に増加(または減少)しますが、モデルには漸近線があり、成長率(減衰率)は鈍化します。指数成長モデルの例としてはウイルスの拡散、指数減衰モデルの例としては薬物の半減期が挙げられます。
ピークモデル
Gauss型ピーク・ExGaussian型ピーク(指数修正Gauss型ピーク)・Lorentz型ピークのモデルをあてはめます。これらのモデルは、ピークまで増加し、その後、減少します。Gauss型ピークモデルは、正規分布の確率密度関数のスケールを変更したものです。ExGaussian型ピークモデルはGauss型ピークに似ていますが、歪んだ形状になることがあります。Lorentz型ピークモデルは、Cauchy分布の確率密度関数のスケールを変更したものです。これらの曲線は、一部の化学濃度における測定や人工ニューラルネットワークで利用されています。
薬物動態モデル
1コンパートメント経口投与・2コンパートメント急速静注モデル・双指数 4Pモデルをあてはめます。このオプションは、体内の薬剤濃度をモデル化するときに使用します。
反応速度モデル
Michaelis-Mentenモデルと逆Michaelis-Mentenモデル、ならびにいくつかの1次および2次の速度モデルをあてはめます。Michaelis-Mentenモデルは生化学動態モデルです。このモデルは、基質濃度に対する酵素反応速度を表したものです。1次および2次の速度モデルは、化学反応のモデル化に便利です。
Antoineのあてはめ
Antoineモデルをあてはめます。Antonieモデルは、蒸気圧を温度の関数としてモデル化するためによく使用されています。Antoineモデルには、水平方向と垂直方向の両方の漸近線があります。
溶出曲線分析
(応答変数と説明変数の両方において、すべての値が0以上の数値である場合にのみ使用可能。)溶出曲線分析のためのサブメニューオプションがあります。溶出曲線は、錠剤が時間の経過とともに溶出する速度を測定したものです。溶出曲線分析では、新しい試験製剤の溶出曲線を標準製剤(つまり基準となる製剤)の溶出曲線と比較します。試験製剤ごとに個別の分析が行われます。[溶出曲線分析]メニューには、溶出曲線を比較するためのパラメトリック手法とノンパラメトリック手法が用意されています。予め用意されている溶出曲線モデルのいずれかをあてはめた場合には、そのモデルのあてはめに関するレポートが作成されます。
モデルフリーの比較
溶出曲線を比較するためのノンパラメトリック手法です。[モデルフリーの比較]サブメニューにあるノンパラメトリック手法の1つを使用すると、その手法固有の溶出曲線レポートが作成されます。「モデルの比較」レポートを参照してください。
メモ: モデルフリーの比較手法ではすべて、曲線に欠測値が含まれていないことが必須となります。
F1分析
曲線の違いを表す指標としてF1に基づいて分析を実行します。F1分析では、各時点における標準製剤の曲線と試験製剤の曲線との間の差をパーセントで測定します。「曲線のあてはめ」モデルの統計的詳細を参照してください。F1に対する信頼区間は、ブートストラップ法により算出されます。このブートストラップ法では、BCaパーセント点法(バイアス補正および加速を用いたパーセント法)が使用されます。Efron(1981)を参照してください。
[F1分析]オプションを選択すると、「溶出曲線の指定」ウィンドウが表示されます。このウィンドウにおいて、標準群(標準製剤を示すデータ値)、信頼区間の計算に使用される有意水準、ブートストラップ標本の数、および乱数シード値を指定します。データが積み重ねたデータ形式の場合は、標準群と試験群における個々の曲線(つまり、個々の錠剤や個々のベッセル)を識別する、曲線ID列も指定する必要があります。
F2分析
曲線の類似性を表す指標としてF2に基づいて分析を実行します。F1分析では、各時点における標準製剤の曲線と試験製剤の曲線との間の類似性をパーセントで測定します。「曲線のあてはめ」モデルの統計的詳細を参照してください。F2に対する信頼区間は、ブートストラップ法により算出されます。このブートストラップ法では、BCaパーセント点法(バイアス補正および加速を用いたパーセント法)が使用されます。Efron(1981)を参照してください。F2に対する信頼区間の下限が50より大きい場合、試験製剤の溶出曲線は標準製剤の溶出曲線と類似しているという結論になります(Paixão et al. 2017)。
[F2分析]オプションを選択すると、「溶出曲線の指定」ウィンドウが表示されます。このウィンドウにおいて、標準群(標準製剤を示すデータ値)、信頼区間の計算に使用される有意水準、ブートストラップ標本の数、および乱数シード値を指定します。データが積み重ねたデータ形式の場合は、標準群と試験群における個々の曲線(つまり、個々の錠剤や個々のベッセル)を識別する、曲線ID列も指定する必要があります。
多変量距離
標準製剤の溶出曲線と試験製剤の溶出曲線との間の多変量距離としてMahalanobisの距離Mを使用して分析を行います。「曲線のあてはめ」モデルの統計的詳細を参照してください。信頼区間は、多変量正規分布を仮定し、Mに対して算出されます。Mに対する信頼区間の上限が「10%差距離」より小さい場合、試験製剤の溶出曲線は参照製剤の溶出曲線と類似しているという結論になります(Paixão et al. 2017)。
[多変量距離]オプションを選択すると、「溶出曲線の指定」ウィンドウが表示されます。このウィンドウにおいて、標準群(標準製剤)と、信頼区間の有意水準を指定します。データが積み重ねたデータ形式の場合は、標準群と試験群における個々の曲線(つまり、個々の錠剤や個々のベッセル)を識別する、曲線ID列も指定する必要があります。
Higuchi曲線
Higuchiモデルをあてはめます。タイムラグ成分のあるHiguchiモデルやバースト成分のあるHiguchiモデルも用意されています。
Hixson-Crowell曲線
Hixson-Crowellモデルをあてはめます。タイムラグ成分のあるHixson-Crowellモデルも用意されています。
Korsmeyer-Peppas曲線
Korsmeyer-Peppasモデルをあてはめます。タイムラグ成分のあるKorsmeyer-Peppasモデルやバースト成分のあるKorsmeyer-Peppasモデルも用意されています。
シグモイド曲線
ロジスティック曲線・プロビット曲線・Weibull曲線といったモデルをあてはめます。シグモイド曲線を参照してください。
以下のオプションの詳細については、『JMPの使用法』の「JMPレポートのローカルデータフィルタ」、「JMPレポートの[やり直し]メニュー」、および「JMPレポートの[スクリプトの保存]メニュー」を参照してください。
ローカルデータフィルタ
データをフィルタリングするためのローカルデータフィルタの表示/非表示を切り替えます。
やり直し
分析を繰り返したり、やり直したりするオプションを含みます。また、[自動再計算]オプションに対応しているプラットフォームにおいては、[自動再計算]オプションを選択すると、データテーブルに加えた変更が、該当するレポートに即座に反映されるようになります。
プラットフォーム環境設定
現在のプラットフォームの環境設定を表示したり、現在のJMPレポートの設定に合わせて環境設定を変更したりできます。
スクリプトの保存
レポートを再現するためのスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。
Byグループのスクリプトを保存
By変数の全水準に対するレポートを再現するスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。起動ウィンドウでBy変数を指定した場合のみ使用可能です。