「構造方程式モデル」レポートで[実行]をクリックすると、分析者が指定した構造方程式モデルに対する推定結果が表示されます。起動ウィンドウでグループ変数を指定すると、グループ変数の水準ごとのレポートにモデルのオプションが表示され、各種の表示/非表示を切り替えられます。このレポートの赤い三角ボタンをクリックすると、以下のオプションが表示されます。
パス図の表示
パス図の表示/非表示を切り替えます。
パス図の設定
モデルのパス図に関する以下のオプションがあります。
パス図のカスタマイズ
パス図に対してさまざまなカスタマイズを行えます。パス図のカスタマイズオプションを参照してください。
レイアウト
パス図の全体的なレイアウトとして、[左から右へ]および[上から下へ]が選択できます。
ヒント: レイアウトは、パス図で項目をマウスでドラッグして移動することによっても変更できます。
パス図のコピー
パス図の画像をクリップボードに保存します。高画質を維持するには、クリップボードの画像をベクトル形式グラフィックとして貼り付けてください。
ダイヤグラムのプロパティをコピー
現在のパス図のプロパティをクリップボードにコピーします。コピーしたプロパティは、別の構造方程式モデルのパス図に貼り付けることができます。
ダイヤグラムのプロパティを貼り付け
クリップボードにあるパス図のプロパティを現在の構造方程式モデルのパス図に貼り付けます。
適合度指標
あてはめたモデルを評価するためのさまざまな指標の表示/非表示を切り替えます。「あてはめの要約」レポートの指標のほかに、以下の指標が表示されます。
TLI
Tucker-Lewis指標(Tucker-Lewis Index; TLI)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。この指標は、NNFI(Non-Normed Fit Index; 非規準化適合指標、非標準化適合指標)とも呼ばれています。TLIは0から1の間の値をとり、0.95を超えることが望ましいとされています(West et al. 2012)。TLIを参照してください。
NFI
規準化適合指標(標準化適合指標, Normed Fit Index; NFI)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。NFIは0から1の間の値をとり、0.95を超えることが望ましいとされています(West et al. 2012)。NFIを参照してください。
修正済みGFI
修正済み適合指標(revised Goodness-of-Fit Index; revised GFI)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。修正済みGFIは0から1の間の値をとり、0.95を超えることが望ましいとされています(West et al. 2012)。Revised GFIとRevised AGFIを参照してください。
修正済みAGFI
修正済み調整適合指標(revised Adjusted Goodness-of-Fit Index; revised AGFI)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。修正済みAGFIは0から1の間の値をとります(West et al. 2012)。Revised GFIとRevised AGFIを参照してください。
RMR
平均平方残差の平方根(Root Mean square Residual)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。RMRの計算に使われる残差は、観測データから求めた共分散と、推定されたモデルから求められた共分散の差です。RMRは正の値をとり、小さいほど望ましいです(West et al. 2012)。RMRとSRMRを参照してください。
SRMR
標準化平均平方残差平方根(SRMR; Standardized Root Mean Square Residual)。モデルの適合度を判断する手がかりとなります。SRMRの計算に使われる残差は、観測データから求めた共分散と、推定されたモデルから求められた共分散の差を標準化したものです。SRMRは正の値をとり、小さいほど望ましいです(West et al. 2012)。RMRとSRMRを参照してください。
メモ: このレポートに表示されるその他の指標については、構造方程式モデルの推定結果を参照してください。
あてはめの要約
モデルのあてはめに関する詳細情報の表示/非表示を切り替えます。
パラメータ推定値
標準化していないパラメータ推定値の表示/非表示を切り替えます。
標準化したパラメータ推定値
標準化したパラメータ推定値の表示/非表示を切り替えます。
信頼区間
「パラメータ推定値」レポートおよび「標準化したパラメータ推定値」レポートの信頼区間の表示/非表示を切り替えます。
総合効果
(回帰係数または因子負荷を少なくとも1つ含むモデルで、効果が収束する場合のみ使用可能。)総合効果の標準化解(標準化された推定値)および非標準化解(標準化されていない推定値)の表を表示します。それらの標準誤差も計算されます。効果が収束するかどうかのチェックについては、Bentler and Freeman(1983)で説明されています。表の右側には、標準化解の棒グラフが表示されます。
間接効果
(媒介変数を含むモデルで、効果が収束する場合のみ使用可能。)間接効果の標準化解(標準化された推定値)および非標準化解(標準化されていない推定値)の表を表示します。それらの標準誤差も計算されます。効果が収束するかどうかのチェックについては、Bentler and Freeman(1983)で説明されています。表の右側には、標準化解の棒グラフが表示されます。
予測プロファイル
予測変数(説明変数)が結果変数(応答変数)の条件付き期待値に及ぼす効果を描く。このオプションを選択すると、1つまたは複数の予測変数および結果変数を選択するウィンドウが表示されます。この予測および95%信頼区間は、モデルから求めた共分散行列に基づきます。予測プロファイルの詳細については、『プロファイル機能』のプロファイルを参照してください。
メモ: 設定ウィンドウには、初期状態では、現在のモデルにおいて予測変数と結果変数になりうる変数のみが表示されます。「予測変数の選択」リストには、モデル内で他の変数を予測する変数のみが、「結果変数の選択」リストには、モデル内で他の変数によって予測される変数のみが含まれます。[すべての変数を表示]チェックボックスを選択すると、両方のリストにすべてのモデル変数が表示されます。
モデルから求められる共分散推定値
推定されたモデルに基づいて計算される共分散行列の表示/非表示を切り替えます。
モデルから求められる相関推定値
推定されたモデルに基づいて計算される相関係数行列の表示/非表示を切り替えます。
モデルから求められる平均推定値
推定されたモデルに基づいて計算される平均ベクトルの表示/非表示を切り替えます。
残差
残差を要素とする行列の表示/非表示を切り替えます。この残差行列は、モデルから求められる共分散行列と、観測データの共分散行列の差です。
正規化した残差
正規化した残差を要素とする行列の表示/非表示を切り替えます。
RAM行列
RAM構造で表現されたモデル行列の表示/非表示を切り替えます。
推定値の共分散
パラメータ推定値に対する共分散行列の表示/非表示を切り替えます。
推定値の相関
パラメータ推定値に対する相関係数行列の表示/非表示を切り替えます。
内生変数のR2
(あてはめたモデルが逐次モデルであり、内生変数が含まれる場合のみ使用できます。)内生変数のR2の表示/非表示を切り替えます。各内生変数について、誤差分散を内生変数の分散で割った値を、1から引いた値です。なお、誤差分散や内生変数の分散は、推定されたモデルに基づいて計算されます。R2の値は、そのモデルによって説明される内生変数の分散の割合を示しています。内生変数とは、パス図において矢印の先になっている変数のことです。
ヒートマップ
以下のオプションでは、モデルの残差・共分散・相関を図示したグラフが描かれます。
正規化した残差のヒートマップ
正規化した残差のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。
「モデルから求められる共分散推定値」のヒートマップ
モデルから求められる共分散行列のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。
「モデルから求められる相関推定値」のヒートマップ
モデルから求められる相関係数行列のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。
「推定値の共分散」のヒートマップ
パラメータ推定値の共分散行列のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。
「推定値の相関」のヒートマップ
パラメータ推定値の相関係数行列のヒートマップの表示/非表示を切り替えます。
修正指標
モデルの修正指標のすべてまたは一部を表示する。この結果に基づいて、どのパラメータをモデルに追加すれば適合度が改善できるかを判断できます。各表は、カイ2乗の列の降順で並べられます。
すべての修正指標
すべての修正指標の表示/非表示を切り替えます。この表には、推定値のパラメータの種類を示す列があります。
平均の修正指標
平均および切片の修正指標の表示/非表示を切り替えます。
因子負荷の修正指標
因子負荷パラメータの修正指標の表示/非表示を切り替えます。
回帰の修正指標
回帰パラメータの修正指標の表示/非表示を切り替えます。
共分散の修正指標
共分散パラメータの修正指標の表示/非表示を切り替えます。
測定モデルの評価
(独自因子の間に共分散がない確証的因子モデルでのみ使用できます。)質問や指標の信頼性および妥当性を示す統計量およびグラフの表示/非表示を切り替えます。これらの統計量には、指標変数の信頼性(indicator reliability)、ω係数、H係数、構成概念妥当性行列(construct validity matrix)などがあります。
「指標変数の信頼性」プロットには、「指標変数の信頼性」(indicator reliability)がプロットされます。この「指標変数の信頼性」は、潜在変数から各指標変数への標準化負荷量の2乗と定義されています。また、それらの「指標変数の信頼性」の下限に対する1つの推奨値として、0.25に線が引かれています。「指標変数の信頼性」が低い場合、その指標変数は対応する潜在変数(構成概念)の変動をあまりよく捉えていないということを示しています。
「合成信頼性」(Composite Reliability)および「構成概念最大信頼性」(Construct Maximal Reliability)には、各潜在変数のω係数(McDonald 1999)およびH係数(Hancock and Mueller 2001)が示されます。これらは0~1の値をとり、推奨値は約0.70以上です。ω係数は、標準化された指標変数の単純和(加重なしの合計)で合成スコアを構成した場合に、その合成スコアの変動のうち潜在変数の変動が占める割合を示しています。H係数は、標準化された指標変数の加重和(加重ありの合計)で合成スコアを構成した場合に、その合成スコアの変動のうち潜在変数の変動が占める割合を示しています。これらの係数は、分析者が設定したモデルに依存します。すべての指標変数に1因子モデルがあてはめられた場合のω係数は、特に、「一般ω」(general omega)と呼ばれています。2つ以上の潜在変数が指標変数の異なる組に対して負荷をもつ因子モデルがあてはめられた場合、「構造方程式モデル」プラットフォームで計算されるω係数は「下位尺度ω」と呼ばれています。また、2因子モデルで、1因子は一般因子(general factor)としてすべての指示変数に、もう1因子は群因子(group factor)として指示変数の一部分にあてはめられた場合は、一般因子に対するω係数は「階層ω」(hierarchical omega)と呼ばれ、群因子のω係数は「階層下位尺度ω」(hierarchical subscale omega)と呼ばれています(Rodriguez et al. 2015)。レポートでは1つの推奨値として0.75に印が付いていますが、これらの指標がどれぐらい大きければいいかは、調査の目的に依ります。たとえば、個人について何かしらの判断や意思決定をするために合成スコアを利用する場合は、信頼性の目安としては、推奨値である0.75より高い値(約0.90以上)を使用したほうがよいでしょう。一方、研究目的で合成スコアを使用する場合は、推奨値より低めの値でもいいかもしれません(Nunnally 1978)。
「構成概念妥当性行列」は、顕在変数が潜在変数を期待どおりに構成しているかどうかを判断するのに役立ちます。
– 行列の下三角部分には、潜在変数間の相関係数が示されます。これらの値は、潜在変数間の相関の大きさをチェックし、事前に想定される相関の強さと比較するのに役立ちます。
– 行列の上三角部分には、潜在変数間の相関係数の2乗が示されます。これらは、潜在変数の分散の重なりに着目した指標であり、特に、行列の対角要素と比較すると有益な情報が得られます。
– 行列の対角要素は、各潜在変数によって説明される分散を平均したものです。これは、「指標変数の信頼性」を、潜在変数ごとに平均した値です。良い潜在変数であれば、指標変数を十分に説明しており、それを適切に表現しているので、対角要素の値は大きくなるはずです。各潜在変数の対角要素における数値が、上三角部分における数値よりも大きいのが理想的です。
構成概念妥当性行列を見れば、行列の対角要素と上三角部分の要素を一目で比較できます。
「測定モデルの評価」レポートの例を参照してください。
予測値プロット
モデルの内生変数に対する予測値プロットの表示/非表示を切り替えます。経時的データの場合、モデルから求めた成長の軌道が時間の経過に対して示されます。デフォルトで、箱ひげ図として示されます。[データ点を折れ線でつなぐ]チェックボックスを選択すると、折れ線グラフが表示されます。
列の保存
あてはめた構造方程式モデルに基づく、データ行ごとの統計量を含む列をデータテーブルに保存できます。
因子スコアの保存
(モデルに潜在変数がある場合のみ使用できます。)各潜在変数について、推定された因子スコアの列をデータテーブルに保存します。このとき、因子スコアを回帰法により推定します。このオプションを選ぶと、データテーブルに非表示の列も追加されます。その非表示の列を用いて、回帰法によって因子スコアが計算されます。非表示の列は、JSL関数のEstimate Factor Score()を使用しています。この関数の詳細については、[ヘルプ]>[スクリプトの索引]を参照してください。
Bartlett因子スコアの保存
(モデルに潜在変数がある場合のみ使用できます。)各潜在変数について、因子スコアの列をデータテーブルに保存します。このとき、因子スコアをBartlett法により推定します。このオプションを選ぶと、データテーブルに非表示の列も追加されます。その非表示の列を用いて、Bartlett法によって因子スコアが計算されます。非表示の列は、JSL関数のEstimate Bartlett Factor Score()を使用しています。この関数の詳細については、[ヘルプ]>[スクリプトの索引]を参照してください。
予測式の保存
(モデルに内生変数や従属変数が少なくとも1つ含まれるときにのみ使用できます。)内生的な観測変数に対して、予測値を求める計算式の列をデータテーブルに保存します。モデルに潜在変数があるときは、Bartlett法を使って計算した因子スコアもデータテーブルに保存されます。
残差の保存
(モデルに内生変数または従属変数が少なくとも1つ含まれるときにのみ使用できます。)各変数について、観測された結果変数の残差の列をデータテーブルに保存する。モデルに潜在変数があるときは、Bartlett法を使って計算した因子スコアもデータテーブルに保存されます。
モデルの指定をコピー
現在の構造方程式モデルの指定内容をクリップボードにコピーします。コピーした内容は、別の「構造方程式モデル」レポートに貼り付けることができます。
「モデルの指定」の「前回の設定」
当該のモデルを、「モデルの指定」で指定されているモデルに設定します。
あてはめの削除
レポートウィンドウから、当該のモデルのレポートを削除します。