「混合モデル」の赤い三角ボタンのメニューには、以下のオプションがあります。
モデルのレポート
混合モデルの推定や検定に関するレポートを作成します。これらのレポートには、モデルパラメータの推定値、効果に対する検定、モデル全体の適合度などがあります。
適合度統計量
「適合度統計量」レポートの表示/非表示を切り替えます。適合度統計量を参照してください。
変量効果の共分散パラメータ推定値
(起動ウィンドウで変量効果を指定した場合のみ使用可能。)「変量効果の共分散パラメータ推定値」レポートの表示/非表示を切り替えます。変量効果の共分散パラメータ推定値を参照してください。
固定効果のパラメータ推定値
「固定効果のパラメータ推定値」レポートの表示/非表示を切り替えます。固定効果のパラメータ推定値を参照してください。
反復構造の共分散パラメータ推定値
(起動ウィンドウで反復構造を指定した場合のみ使用可能。)「反復構造の共分散パラメータ推定値」レポートの表示/非表示を切り替えます。反復構造の共分散パラメータ推定値を参照してください。
ランダム係数
(起動ウィンドウで変量効果を指定した場合のみ使用可能。)「ランダム係数」レポートの表示/非表示を切り替えます。ランダム係数を参照してください。
変量効果の予測値
(起動ウィンドウで変量効果を指定した場合のみ使用可能。)「変量効果の予測値」レポートの表示/非表示を切り替えます。変量効果の予測値を参照してください。
指示変数に対する推定値
(固定効果の中に名義尺度の列がある場合のみ使用できます。)「指示変数に対する推定値」レポートの表示/非表示を切り替えます。このパラメータ推定値は、名義尺度の説明変数に対して、SASシステムのGLMプロシジャで採用されているコード変換を採用して計算されたものです。なお、順序尺度の列に対しては、JMPの通常のコード変換によって計算されています。SASのGLMプロシジャとJMPの相違点に関しては、因子(説明変数)の取り扱い方を参照してください。
注意: 「指示変数に対する推定値」レポートの標準誤差、t値などの値は、「パラメータ推定値」レポートとは異なります。これは、推定値の計算において、異なるコード変換が使われているためです。
固定効果の検定
(少なくとも1つの固定効果を含むモデルでのみ使用可能。)「固定効果の検定」レポートの表示/非表示を切り替えます。固定効果の検定を参照してください。
逐次検定
(少なくとも1つの固定効果を含むモデルでのみ使用可能。)「逐次(タイプ1)検定」レポートの表示/非表示を切り替えます。このレポートの平方和は、モデルに1つずつ効果が追加されていったときのモデル平方和の増加量です。また、F検定が、このタイプI平方和に基づいて計算されています。逐次検定を参照してください。
多重比較
「多重比較」起動ウィンドウが開き、固定効果内の水準を比較できます。このオプションは、あてはめられたモデルにカテゴリカルな固定効果がある場合にだけ表示されます。多重比較を参照してください。
分散成分の線形結合
(G行列の効果がない場合は使用できません。)分散成分の線形結合の信頼区間を計算するレポートが表示されます。デフォルトでは、テキストボックスと、モデルに含まれる分散成分の表が表示されます。テキストボックスを使って、線形結合のラベルを指定します。表の右側の列のセルに値を入力し、信頼区間の線形関数を指定します。パラメータの線形結合を指定し、[完了]をクリックすると、指定した線形結合の信頼区間の表が表示されます。
この表には、推定誤差、標準誤差、および、2種類の信頼区間(Satterthwaite法およびWald法)と、Wald検定のp値が表示されます。Wald検定のp値は、推定値がゼロと異なるという仮説検定に対応しています。
ヒント: Satterthwaite法の信頼区間は正の値に限定されるので、指定した係数が負の場合には推奨されません。推定値が負の場合、Satterthwaite法の信頼区間は計算することができず、レポートに表示されません。
傾きの比較
(名義尺度の項が1つ、連続尺度の項が1つ、および固定効果に対する両方の交互作用があるときだけ使用可能。)共分散分析(ANCOVA)モデルの交互作用の各水準の傾きを比較するレポートを作成します。傾きの比較を参照してください。
逆推定
(連続尺度の固定効果の項が1つ以上と、残差誤差の分散の項がある場合にのみ使用可能。)応答変数の特定の値に対して、説明変数の値を逆予測します。応答変数の値には、複数の値を指定できます。逆推定を参照してください。
周辺予測値プロット
周辺予測値に基づくプロットの表示/非表示を切り替えます。周辺予測値は、固定効果の部分だけから求められた予測値です。
予測値と実測値のプロット
予測値と実測値とのプロットを作成します。このプロットで使われる予測値は、変量効果を含めていません。このプロットはデフォルトで表示されます。予測値と実測値のプロットを参照してください。
残差プロット
残差プロットを作成します。このプロットで使われる残差は周辺予測値から計算されたものであり、変量効果を含めていません。残差プロットを参照してください。
プロファイル、等高線プロファイル、配合プロファイル、曲面プロファイル
各種のプロファイルを作成します。このプロファイルで使われる予測値は、変量効果を含めていません。周辺モデルプロファイルを参照してください。
バリオグラム
観測値間の距離の増加に従って共分散がどのように変化するかを示すバリオグラムが作成されます。構造として「残差」を指定した場合は、時間的または空間的座標として使用する列を選択できます。バリオグラムを参照してください。
条件付き予測値プロット
条件付き予測値に基づくプロットの表示/非表示を切り替えます。条件付き予測値は、変量効果の各水準も考慮した予測値です。
条件付き予測値と実測値のプロット
予測値と実測値とのプロットを作成します。このプロットで使われる予測値は、変量効果を含めています。このプロットはデフォルトで表示されます。条件付き予測値と実測値のプロットを参照してください。
条件付き残差プロット
残差プロットを作成します。このプロットで使われる残差は条件付き予測値から計算されたものであり、変量効果を含めています。条件付き残差プロットを参照してください。
条件付きプロファイル、条件付き等高線プロファイル、条件付き配合プロファイル、条件付き曲面プロファイル
各種のプロファイルを作成します。このプロファイルで使われる予測値は、変量効果を含めています。条件付きプロファイルを参照してください。
共分散行列と相関行列
モデルと関連のある共分散行列および相関行列を表示するオプションがあります。
固定効果の共分散
モデルに含まれる固定効果パラメータの共分散行列の表示/非表示を切り替えます。
共分散パラメータの共分散
モデルに含まれる変量効果パラメータの共分散行列の表示/非表示を切り替えます。行列内の効果の順番は次のとおりです: G行列の変量効果パラメータ、R行列のパラメータ、残差の効果。
すべてのパラメータの共分散
モデルに含まれるすべての効果パラメータの共分散行列の表示/非表示を切り替えます。行列内の効果の順番は次のとおりです: 固定効果パラメータ、G行列の変量効果パラメータ、R行列のパラメータ、残差パラメータ。
固定効果の相関
モデルに含まれる固定効果の相関行列の表示/非表示を切り替えます。
反復測定の共分散診断
(反復の共分散構造として無構造を指定したモデルでのみ使用可能。)反復測定分析で、共分散構造候補の特定に役立つ診断ツールを表示します。このレポートでは、反復測定部分の共分散構造を表す共分散行列および相関係数行列が表示されます。また、相関係数行列のヒートマップも表示されます。ヒートマップの尺度は、相関係数の範囲に基づいて決まります。相関係数がすべて正の場合、尺度は0~1になり、それ以外の場合は、-1~1になります。
列の保存
推定されたモデルのさまざまな結果を、データテーブルの列として保存するオプションがあります。
予測式
「予測式 <列名>」という列が作成され、その列に周辺予測値を算出するための計算式が保存されます。この列には、予測式を計算式として含んでいる列であることを示す列プロパティが与えられます。周辺予測値プロットを参照してください。
予測値の標準誤差
「予測値の標準誤差 <列名>」という列が作成され、周辺予測値の標準誤差が保存されます。
平均の信頼区間
「平均 <列名>の下側95%」と「平均 <列名>の上側95%」という列が作成され、応答の平均に対する両側95%信頼区間の下限と上限が保存されます。この区間には推定誤差は含まれますが、個々の応答値の変動は含まれません。信頼水準(a)を変更するには、「モデルの指定」の赤い三角ボタンのメニューから[有意水準の設定]を選択します。
個別の信頼区間
(G行列の効果のみを含むモデルで使用可能。)「個別 <列名>の下側95%」と「個別 <列名>の上側95%」という列が作成され、個々の応答値に対する両側95%信頼区間の下限と上限が保存されます。この区間には、推定誤差と個々の応答値の変動の両方が含まれます。信頼水準(a)を変更するには、「モデルの指定」の赤い三角ボタンのメニューから[有意水準の設定]を選択します。
残差
「残差 <列名>」という列が作成され、残差が保存されます。この残差は、応答の観測値から周辺予測値を引いたものです。周辺予測値プロットを参照してください。
条件付き予測式
「条件付き予測式 <列名>」という列が作成され、その列に条件付き予測値を算出するための計算式が保存されます。この列には、予測式を計算式として含んでいる列であることを示す列プロパティが与えられます。条件付きプロファイルを参照してください。
条件付き予測値の標準誤差
「条件付き予測値の標準誤差 <列名>」という列が作成され、条件付き予測値の標準誤差が保存されます。
条件付き平均の信頼区間
(G行列の効果を含むモデルで使用可能。)「条件付き平均 <列名>の下側95%」と「条件付き平均 <列名>の上側95%」という列が作成され、条件付き予測の期待値に対する両側95%信頼区間の下限と上限が保存されます。この信頼区間の計算には変量効果が含まれます。条件付き予測値プロットを参照してください。信頼水準(a)を変更するには、「モデルの指定」の赤い三角ボタンのメニューから[有意水準の設定]を選択します。
条件付き残差
「条件付き残差 <列名>」という列が作成され、残差が保存されます。この残差は、応答の観測値から条件付き予測値を引いたものです。条件付き予測値プロットを参照してください。
シミュレーション計算式の保存
(分散成分およびランダム係数のモデルでのみ使用可能。)あてはめたモデルのパラメータ推定値を使って値をシミュレーションする計算式を含む列を保存します。このオプションによって保存した列は、「シミュレーション」ユーティリティで切り替え先の列として使用できます。『基本的な統計分析』のシミュレーションを参照してください。
モデルダイアログ
現在の分析の起動ダイアログを呼び出します。「モデルのあてはめ」起動ウィンドウを参照してください。
以下のオプションの詳細については、『JMPの使用法』の「JMPレポートのローカルデータフィルタ」、「JMPレポートの[やり直し]メニュー」、および「JMPレポートの[スクリプトの保存]メニュー」を参照してください。
ローカルデータフィルタ
データをフィルタリングするためのローカルデータフィルタの表示/非表示を切り替えます。
やり直し
分析を繰り返したり、やり直したりするオプションを含みます。また、[自動再計算]オプションに対応しているプラットフォームにおいては、[自動再計算]オプションを選択すると、データテーブルに加えた変更が、該当するレポートに即座に反映されるようになります。
プラットフォーム環境設定
現在のプラットフォームの環境設定を表示したり、現在のJMPレポートの設定に合わせて環境設定を変更したりできます。
スクリプトの保存
レポートを再現するためのスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。
Byグループのスクリプトを保存
By変数の全水準に対するレポートを再現するスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。起動ウィンドウでBy変数を指定した場合のみ使用可能です。
[混合モデル]手法の「適合度統計量」レポートは、モデルの比較に役立つ統計量が表示されます。どの統計量も、基本的には、値が小さいほどモデルが優れていることを示しています。2つのモデルを比較するとき、一方のモデルが他方のモデルに内包されている場合は、それらのモデル間で尤度比検定を行えます。そうでない場合は、尤度の比較は慎重に行わなければいけません。例として、空間モデルのあてはめを参照してください。
「適合度統計量」レポートの説明では、次の表記法を使用しています。
• 混合モデルを、次のように記します。
ここで、yは観測された応答値を含むn×1のベクトル、bは固定効果パラメータのベクトル、gは変量効果のベクトル、eは誤差のベクトルです。
• ベクトルgとベクトルeは、次のような平均ベクトルと共分散行列の多変量正規分布に従うと仮定されます。
および
• これらの仮定に基づくと、yの共分散行列は次式のようになります。
(-2)*残差対数尤度
残差対数尤度をマイナス2倍したもの。これが反復計算の目的関数として使われています。
ここで、
また、pはXのランクです。この残差対数尤度は、固定効果の部分が同じで、変量効果や誤差共分散構造だけが異なるモデルでしか、モデルの比較に使えません。尤度・AICc・BICを参照してください。
(-2)*対数尤度
対数尤度をマイナス2倍したもの。尤度・AICc・BICを参照してください。
対数尤度は、残差対数尤度とは異なり、固定効果、変量効果や誤差共分散構造だけではなく、固定効果が異なるモデルでも、モデルの比較に使えます。
AICc
修正済みの赤池の情報量規準。尤度・AICc・BICを参照してください。
BIC
ベイズ情報量規準。尤度・AICc・BICを参照してください。
モデルの収束に問題がある場合、適合度統計量の下に警告メッセージが表示されます。この警告メッセージには、収束の問題に関して考えられる原因と解決法が示されています(Figure 8.11)。また、最終反復での相対的な勾配に対する検定も表示されています。この検定が有意でない場合、モデル自体は正しいのかもしれませんが、それにも関わらず反復計算は収束しなかったことを示唆しています。そのような場合は、注意しながらも、現在のモデルや結果を用いることができるかもしれません。収束スコア検定の統計的詳細を参照してください。
図8.11 収束スコア検定